コインチェックに続き、Zaifでも仮想通貨の盗難が起きました。仮想通貨取引所も、セキュリティ対策に手を抜いているわけではないでしょうが、やはりハッカーにとって大量の通貨を保管している取引所を攻撃対象とするモチベーションは大きく、その攻撃手法も日々進歩しているということは念頭に入れなければなりません。ある程度以上に資産を保有しているならば、取引所に管理を一任せず、ウォレットを作成して自己責任で保管するといったことも必要になってくるのではないでしょうか。
もちろん、パスワードや、ハードウェアウォレットであれば物理的な紛失・消失のリスク等も存在するのですが、それらも踏まえた上で、自己責任でウォレットを管理することも、昨今の取引所の状況を見るに、必要になってきそうです。今回は主要アルトコイン、イーサリアムについて、ウォレット作成の手順や、単にセキュリティに留まらないイーサリアムのウォレットのメリットについて解説していきます。
流動性の高いスマホ対応のイーサリアムウォレット
イーサリアムのウォレットですが、もちろん「唯一無二」のイーサリアムのウォレットがあるわけではなく、複数あるイーサリアムのウォレットの中から自身が使うイーサリアムのウォレットを選び、保管する形になります。もちろん、一つのイーサリアムウォレットに限定する必要はなく、イーサリアムの保有量によっては分散も考えた方がいいかもしれません。
流動性の高さを考えると、ある程度のイーサリアム量までであれば、スマホで保管できるようなイーサリアムのウォレットを一つ所有しておくのが有効な手段の一つです。ひとえにイーサリアムウォレットをスマホで保管できる、といってもスマホ専用のイーサリアムのウォレットと、スマホアプリにも対応しているWebウォレットが存在します。
いずれにしても復元パスフレーズをメモしておくようなトラブル時の対応は当然抑えておくべき事項ですが、その前提のもとでもスマホのみのイーサリアムのウォレットであれば、スマホを紛失したり、イーサリアムデータが全て消失したりといったような突発的なインシデントの際に、新しい端末の確保も含めてイーサリアムのウォレット復元まで時間を要するリスクがあることは念頭に置かなければなりません。
スマホ専用のイーサリアムのウォレットとして国内で評価が高いのはGinco、もしくはHB Walletです。どちらも日本の企業が開発しており、互角的なハードルやセキュリティ面で安心が置けるものです。ただし、Gincoは2018年10月時点でAndroidアプリは非対応となっております。
後者では評判が高いJaxxというウォレットがイーサリアムにも対応しています。こういった管理方法は莫大な資産を管理するには少々リスキーな面もありますが、使い勝手を考えると、保有し少額の通貨を入れておくのも有効です。
イーサリアムウォレットの作り方
イーサリアムを保管するためのウォレットというのはどのように作ればよいのか、といったことがわからず、何となくイーサリアムを取引所保管を選んでしまっているような方も少なくないかもしれません。結論から言うと、イーサリアムのウォレットの作成自体は非常に簡単な手続きで行うことができます。たとえばですが、スマホでiPhone、Androidに対応している先述のHBウォレットを例にとると、アプリストアから無料でダウンロードし、言語を選択して「新しいウォレットを作成」をタップし、利用規約に同意するだけで、すぐにイーサリアムのウォレットとしては機能します。
イーサリアムのウォレットの受信用アドレスも既に用意されているため、ここに取引所で買ったイーサリアムを送ることもできます。もちろん、だからと言ってそのまま何も設定せずに本当にイーサリアムのウォレットを使用開始するのを実際には奨励はできませんが、まずイーサリアムのウォレットの作成にあたっては非常にハードルが低いということは一つ認識しておいていただきたい事項です。スマホアプリ対応していないようなデスクトップのイーサリアムのウォレットであっても、他に必要なのはメールアドレスくらいのもので大きく手間が変わるわけではありません。
まず、手元に送受信を行えるウォレットを手にしたら、最重要なのは「復元パスフレーズ」を保存すること。これをしておくことにより、PCやスマホを紛失したとしても、このフレーズの入力によりイーサリアムのウォレットを復元することができます。
逆に言うと、イーサリアムのウォレット作成時にこのパスフレーズを失い、かつデバイスも物理的に紛失、破損した場合、中のイーサリアムは2度と取り出せなくなりますので、注意しなければなりません。また、仮にイーサリアムのウォレットそのものが復元できたとしても、デバイスが盗難にあった場合、中のイーサリアムが不正送金されるようなリスクも孕んでいますので、イーサリアムのウォレット自体に例えばPINコードのような別のセキュリティをかけておくことも必須となってきます。(もちろんスマホやPC本体のパスワードとは別のものを用意することが望ましいです)
デスクトップ型のイーサリアムウォレットのインストール方法
アプリやブラウザを使ってオンラインで保管するのはセキュリティ面で不安という方はPCにイーサリアムのウォレットをインストールし、オフラインで保管するという手法もあります。例えばイーサリアムの公式ウォレットであるmistはそういった種別に分類されます。こちらも、イーサリアムのウォレットをダウンロードし、PCにインストールするだけなのでオンラインのイーサリアムのウォレットに比べると多少手順が多くなるだけで、イーサリアムのウォレットを作る時には特別に難しい操作を必要とするわけではありません。
仮想通貨ウォレットだけでなく、インターネット上からダウンロードしてきたファイルをPCにインストールした経験がある方であれば手順書などを見ながら容易にイーサリアムのウォレットのインストールが可能でしょう。ただし、PCの容量を使うことになるため、その点でのPC本体のスペックが求められる点は一点注意しなければなりません。
イーサリアムウォレットの使い方
オンライン上のホットウォレットであれ、オフライン上に保管するコールドウォレットであれ、一度ダウンロードやインストールが完了すればあとは取引所で扱っているのと同様に、直観的にイーサリアムをやり取りをすることができます。すなわち、受信用のイーサリアムアドレスが、テキストベース、もしくはQRコードで即時で表示することができるため、自身で取引所で購入したイーサリアムの受信を行ったり、他社から何らかの対価としてイーサリアムを受け取る際にも柔軟に対応できます。
もちろん、イーサリアムの送金も簡単で、送金先のアドレスを入力すればいいだけでなく、スマホアプリであればQRコードをスキャンするだけでイーサリアムを送金できるといった機能が実装されています。イーサリアムのウォレットによっては他の仮想通貨との交換を即時に行うような、取引所のような機能が付帯されているイーサリアムのウォレットも存在します。なお、取引所保管のケースと異なり100%自己責任でのウォレット保管となるため、定期的にバックアップを取るといった防衛策も必要になってきます。
イーサリアムウォレットのメリットとなるエアドロップでの無償配布
イーサリアム自体が魅力的な仮想通貨ではありますが、イーサリアムのウォレットを作成していることで他にもメリットを受け取りやすいことがあります。イーサリアムのウォレットの作成をすることで、ICOトークンの無料入手をしやすいという点です。ICOのトークンの多くがイーサリアムをべースに作られています。そして、その中には、最初に公告目的や流通促進のため、エアドロップで少額のトークンを無償配布するようなものも少なくありません。
イーサリアム系のウォレットの中でもそういったイーサリアム系のトークンの受け取りに柔軟に対応できるものがありますので、そういったものを一つ作成しておけば、案件ごとに逐一ウォレットを作成するといった手間を減らし、イーサリアム系のトークンを受け取ることが可能になるかもしれません。無料配布トークンは多くが少額ですし、ICOは上場後価値が下がるケースも最近では多いのでどの程度の価値が担保されるかは保証できないところではありますが、無料配布のものは価値が0になったとしてもリスクは0ですので、受け取っておくにこしたことはありません。もしその価値が高騰すれば大きな臨時収入になる可能性も秘めています。