仮想通貨FXは空売りやレバレッジなどによって大きな利益を狙える取引です。これから仮想通貨FXを始めようとしている方やすでに始めている方の中には、利益にかかる税金について疑問を抱いている方もいらっしゃるでしょう。確定申告の時期が近づいてくればなおさらです。本ページでは、仮想通貨FXで得た利益に対して税金がかかるタイミングや計算方法、課税されるケースなどをご紹介していくのでぜひ参考にしてみてください。
仮想通貨FXはどのような仕組みで利益を得られるの?
まず仮想通貨FXとは何かについて知り、どのような仕組みで利益を得られるのか理解しておくことは大切です。FXは通常の取引とは異なる仕組みがいくつかあります。ここではその違いを3つに分けて見ていきましょう。
1つ目の違いは、FXが「差金決済取引」であるという点です。通常の取引ではまず目当ての仮想通貨、例えばビットコインを日本円で購入し、値上がったタイミングなどでそのビットコインを売却して日本円を受け取ります。つまり、通常の取引は現物のやり取りを行っているということになります。一方で、FXではこのような現物のやり取りを行いません。FXは差金決済取引なので、実際にお金が動くのは「差額」のみです。例えば10万円分のビットコインを購入してそれを15万円で売却した場合、利益である5万円のみが残高に反映されます。
2つ目の違いは、「資金以上の取引ができる」という点です。通常の取引では一度目当ての仮想通貨を購入する必要があるため、資金の範囲内でしか取引ができません。一方で、FXではこのような現物のやり取りを行う必要がないため、「レバレッジ」と呼ばれる倍率をかけて資金以上の取引をすることができます。例えば資金が10万円だったとして、通常であれば10万円分の取引しかできないはずが、10倍のレバレッジをかけることで100万円分の取引ができるということです。よって、得られる利益も10倍になります。ただし、同じように損失も10倍になるので注意が必要です。
3つ目の違いは、「売りから取引を始められる」という点です。通常の取引では現物がないとやり取りができないので、まずは買いから取引を始めなければなりません。一方で、FXは差額のみが動く差金決済取引なので、「まず高い時に売っておいてあとから安い時に買い戻す」ということが可能です。なお、このような取引は「空売り」と呼ばれています。空売りができる分、FXは通常の取引と比べて利益につながる機会が多いと言えるでしょう。
仮想通貨FXで得た利益に対して税金がかかるタイミングはいつ?
仮想通貨FXで利益を得ると税金がかかります。では、どのタイミングで利益を得たとみなされ、税金がかかるのでしょうか。結論から言うと、それは仮想通貨FXの取引が完了し、実際の損益が確定したタイミングです。買いから入ったにしても、売りから入ったにしても、含み益がある状態ではまだ利益が確定していないため、税金はかかりません。取引が完了して差額の利益が残高に反映されたタイミングで税金がかかります。
通常の取引であれば購入した仮想通貨を使って商品を購入したり、仮想通貨同士を交換したりするタイミングでも税金がかかりますが、仮想通貨FXにおいてはそのようなケースを考える必要がありません。なぜなら仮想通貨FXは差金決済取引なので、購入した仮想通貨を決済や送金などの用途に使用できないからです。
仮想通貨FXで得た利益の計算方法
確定申告を行うためには得た利益を計算しなくてはなりません。計算といっても特に難しいことをする必要はなく、レバレッジをかけられるという点以外は通常の取引とほとんど同じように考えることができます。では、得た利益の計算方法を見ていきましょう。
仮想通貨FXで得た利益は総合課税のうち、雑所得に分類されます。通常のFXで得た利益が分離課税であるのに対し、仮想通貨FXで得た利益は総合課税であるという点に注意しましょう。総合課税なので、給与所得や事業所得など他の所得と合わせて計算され、最終的な税率が決まります。
また、仮想通貨FXで得た利益は、損失と通算することができます。例えば1年を通し、FXで100万円の利益を得て80万円の損失を出した場合、所得として計算される利益は100万円ではなく、通算後の20万円です。また、取引所に支払った取引手数料などの経費も利益から差し引くことができます。他にも仮想通貨FXの勉強をするために購入した書籍代やセミナー費用、取引に使ったパソコンやスマートフォンの通信費などは経費として認められる可能性があります。これらの領収書はとっておくとよいでしょう。
仮想通貨FXの利益で再投資したら税金はどうなる?
仮想通貨FXで利益を得た場合、その利益を使って再投資を行うケースは多いかと思います。では、再投資を行った場合に税金の扱いはどうなるのでしょうか。ここでは200万円の利益を再投資に回したケースについて考えていきましょう。
まず第一に、200万円の利益は確定しているため、その200万円を再投資に回したとしても税金の対象になります。ただし、例えばその再投資によって50万円の損失が確定した場合、税金の対象となる最終的な利益は200万-50万円=150万円となります。
ここで注意が必要なのは、「含み益や含み損は税金の対象にならない」という点です。例えば再投資によって500万円の含み損を抱えてしまった場合、その損失を確定させない限り「含み損があるのにもかかわらず200万円の利益に対して税金を支払わなければならない」という事態が発生してしまいます。場合によっては同じ年度内に損切りをしてしまったほうがよいというケースもあるので、この税金制度も取引の判断材料の1つとして考えることをおすすめします。
仮想通貨FXで得た利益に対して課税されるケース
「仮想通貨FXでどれくらい利益を得たら確定申告しなければならないの?」と疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。給与の支払いを受けている方とそうでない方で課税ルールが異なるので、ここではこの2つに分けて見ていきます。
まず給与の支払いを受けている方についてですが、「給与所得及び退職所得以外の所得金額」の合計が20万円を超える場合は、確定申告をしなくてはなりません。つまり、仮想通貨FXで20万円を超える利益を得た場合は課税されるということです。逆に、仮想通貨FXで得た利益が20万円以下で、他に給与や退職金以外の収入がない場合は課税されません。
次に、給与の支払いを受けていない方は、基本的に「合計所得金額が38万円を超える場合」に確定申告をしなくてはなりません。例えば個人事業主の方で事業所得が38万円を超えていれば、得た利益が1万円だったとしても課税されます。
このように、「仮想通貨FXで○○円利益を得たら課税される」というように一定の金額が決まっているわけではありません。自分がどのルールに当てはまるのかを頭に入れておき、申告漏れがないように取引履歴の明細をとっておくなど、いつでも自分が得た利益を把握できるようにしておきましょう。