トラブルも増加しているビットコイン

2017年は仮想通貨元年と言われており、2017年に入ってから多くの仮想通貨がこれまでの価格の数倍から数十倍の価値を持つようになりました。仮想通貨の市場規模は、価値の上昇とともに拡大の一途を辿っています。仮想通貨の中でも流通量ランキングのトップに君臨しているのが、ビットコインです。

仮想通貨は円やドル等の法定通貨との違いは、通貨を管理する中央銀行が存在せず、発行を司る組織や流通を管理する組織が存在していません。ビットコインを含めた仮想通貨の全ては、国家や企業が運営している訳ではなく、管理者は居ません。円やドルと同じように扱うことが可能な通貨であり、ビットコインは現在1BTCの価値が100万円を超える最も高価で有名な仮想通貨となっています。しかし、ビットコインにまつわるニュースはプラスのものばかりではありません。これまでビットコインに関連した不正及び事件が起こっている為、被害に遭わない為にもどのような事例があったのかを知るが大切と言えるでしょう。

ビットコイン投資トラブルによる殺人事件の発生

2017年6月から所在不明になっていた名古屋市のパート従業員の女性が、滋賀県の山林で遺体となって発見されるという事件が発生しました。この事件で犯人として逮捕されたのは、滋賀県と岐阜県の男性で、3人はビットコインのセミナーで出会い顔見知りとなっていました。容疑者は逮捕されてからの供述で「ビットコインの投資ビジネスを巡って金銭トラブルがあった」と供述しています。

「購入すれば資産が増加する」といったキャッチコピーを用いて、資産運用の運用費を募り、お金を返さないトラブルやセミナーなどの会員を勧誘する事で紹介者がお金をもらえるマルチ商法に似たトラブルが発生している現状があります。
このように殺人事件に至る例は稀ですが、セミナーなどの情報交換の場に参加した場合でも「儲け話」には気を付けましょう。思いがけない形でトラブルに巻き込まれる可能性は決して低くはありません。

ビットコイン取引所からの搾取

事件が発生したのは2016年11月、取引所からビットコインを不正に搾取した事件が起こりました。事件の概要は、他人のクレジットカードの情報を利用し、ビットコイン取引所からビットコインをだまし取った事件で、30代の会社員の男性3人が逮捕されたというものです。事件の手口は、まず、他人のクレジットカード情報等の個人情報を利用し、ビットコイン取引所にアカウントを作成し、他人のクレジットカード情報を用い、ビットコインを購入します。次に、購入したビットコインを複数のアカウントに送る等、経由を繰り返し行った後に、最終的に自分が使用しているアカウントに送付し、現金化したというものです。

この手口で、30代の3人の男性は数百万円のお金をだまし取る事に成功しましたが、犯行はすぐに発覚し逮捕に至りました。犯行を発覚させたのはビットコインのブロックチェーン技術であり、ブロックチェーンには全ての取引実績が追記されており、アカウントがいくつあっても犯行の痕跡を消すことは不可能という結果を示しています。その為、この事件は被害額や手口よりもビットコインを利用した資金洗浄が非常に困難であることを世間に知らしめたと言えるでしょう。

違法な闇サイトでの取引に活用

ビットコインが関連している国内外の事件を知る2013年11月「SilkRoad」という闇サイトがFBIによって取り締まられ、サイトを閉鎖しました。SilkRoadは、パソコンのハッキングツール、銃、クレジットカード情報、大麻などのドラッグ、偽造パスポートの売買など違法な取引の温床になっていました。この闇サイトの取引に関して、管理人は当時扱われている場所が限られ、取引の匿名性が高かったビットコインを支払い方法として指定していました。結果的に取引記録が逮捕への糸口になりサイトを閉鎖させる事に成功しています。

しかし、SilkRoadのような闇サイトは後を絶たず、取り締まりの目を掻い潜りながら現在も存在しているといわれています。価値が高まっているビットコインがこうした闇サイトに利用されていた事実はあまり知られていませんが、ビットコインに限らず仮想通貨の取引は匿名性の高いものであり、悪用されている面もあることを忘れないでください。

ビットコインが身代金として要求される

2017年に世界規模でのハッキング・サイバー攻撃が行われました。世界104カ国の大学や企業、病院のパソコンが攻撃され、攻撃によってパソコン内のファイルが強制的に暗号化され、300ドル分のビットコインを支払わないと額が倍になり、7日を経過すると全てのファイルが消去されるという文章が表示されるものでした。これは、ランサムウェアという不正プログラムのWannacryを使用したサイバー攻撃であり、日本も攻撃対象の1つとなっていました。PCにウイルスを感染させ、パソコンへのアクセスを不能にし、お金の支払いに応じない場合はデータを消去するという脅迫です。この世界規模でのハッキング・サイバー攻撃はアメリカ在住のマーカス・ハッチンズ氏がランサムウェアを停止させるスイッチを発見し、全米への感染並びに脅威にさらされていた国々への被害の拡大を食い止めた事で話題になりました。

結果として、身代金の送金手段としてビットコインが使用されましたが、使用方法を知っている人が少なかったことから、攻撃が行われた規模に対しての被害額は大きくなかったと言われています。しかし、それでも世界各地で約330億円以上の被害が出ており、マーカス氏が停止スイッチを発見できていなければ、被害額は増大していたでしょう

ビットコインを利用した架空請求

日常生活を送っている上で、非常に被害に合いやすい詐欺として架空請求詐欺が挙げられます。有料サイトの視聴料の支払いが無い場合裁判を起こす等といって、現金ではなく、仮想通貨であるビットコインを使い、コンビニからお金を払わせる詐欺の被害が増加しつつあります。

詐欺の手法は、詐欺をおこなう犯人が仮想通貨取引所のアカウントを開設し、ビットコインの購入方法をコンビニからの現金支払いに設定した後に、架空請求を行います。そして、被害者に自らの仮想通貨取引所のアカウントに入金が行われるように、口座に関する情報を提供し、コンビニから支払わせるというものです。
従来の方法とは異なり、ビットコインの料金の上限を架空請求側が決めることができるという点、振り込みが容易なので誘導しやすいという詐欺を行う側にとって有益な点がある為、ビットコインを利用しての架空請求が増えています。

ビットコインを中心とした仮想通貨はこれからも利用可能店舗の拡大、仮想通貨に投資する参入者の増加が見込まれる事から、市場の拡大は続いていき、仮想通貨はこれからますます価値の上昇を続けるでしょう。価値の上昇に伴って、ハッキング・サイバー攻撃、詐欺、仮想通貨に関連したトラブルは増加する可能性はあるものの、不正や事件が起こっても、人々に使われ続けている仮想通貨はこれからも多くの人に利益をもたらします。詐欺や、仮想通貨関連のトラブルに関しては、怪しい仮想通貨や個人・セミナー等で購入を勧められるものは出来る限り購入を控える、身に覚えのない請求は相手にしない等、対応次第で未然に防ぐことは可能です。しかし、サイバー攻撃やハッキング等で自分の保有している仮想通貨が消失する可能性は常にある為、仮想通貨投資は必ず余剰資金で行いましょう。