仮想通貨の取引、購入には仮想通貨取引所を利用しなければなりません。仮想通貨取引所は国内外に幾多もあり、特徴がそれぞれで異なります。仮想通貨をすでに保有していたり、活発に取引して投資を楽しんでいる方は複数の仮想通貨取引所をうまく使い分けて保管や取引に生かしていることでしょう。実際、仮想通貨取引所を一つに絞って利用するのは資産の管理面や有効的な投資を行う上で避けたほうがいいと考えられます。そこで、今回は仮想通貨取引所を使い分けすることに着目し解説します。ぜひ、参考にしてください。
仮想通貨取引所を銘柄ごとに使い分け
仮想通貨の銘柄ごとに取引所を使い分けると取引において有利にはたらく面があります。少し踏み込んで紹介する仮想通貨の売買は「取引所形式」と「販売店形式」にて取引ができます。取引所形式とはその取引所のユーザー同士が仮想通貨を売買する取引方法です。一方の販売所形式では取引所の運営元から仮想通貨を購入、もしくは売却を行います。取引所方式でも販売所方式でも取引手数料が発生します。
取引や売買を頻繁に行えば手数料もどんどん積みあがっていくため、資産が目減りすることになります。手数料は取引所形式での取引が安く済みますが、ユーザー同士の取引となるため取引量の少ない取引所を利用すると思うような取引ができない可能性もあります。販売所形式は欲しい時に好きな分だけ購入できますがスプレッドと呼ばれる隠れた手数料が存在します。スプレッドは売値と買値の差額のことで、その差額が大きいほど購入(売却)が不利になります。手数料は銘柄によって異なるケースもあり、取引所によっても高い低いがあります。ですから銘柄によって取引所を使い分けるのは有効的なのです。
仮想通貨取引所は国内と海外を使い分ける
国内の仮想通貨取引所は金融庁に登録している数でいうと16事業所あります。(平成30年9月3日現在)金融庁に認可されていない、みなし業者もありますから実際はもう少し多くなります。海外に目を向けると国内と比較にならないほどの仮想通貨取引所があります。格安な手数料で人気のHuobi、日本人ユーザーも多いBINANCE、最大100倍までレバレッジをかけた取引ができるBITMEXなど数多くの取引所があります。
海外の取引所は国内の取引所に比べて手数料が安かったり、取引方法や取り扱い銘柄も多彩ですから投資家にとって非常に魅力的です。また、世界中のユーザーが集まりやすい取引所は取引量も豊富で、望むような取引が成立しやすくなります。それらの特徴を踏まえて海外の取引所はより高度な取引をしたいときに利用してみるといいでしょう。
しかし、注意点もあります。海外の取引所はほぼ全てと言っていいほど取引画面が日本語に対応していません。使いこなすまでに時間がかかるかもしれません。また、国内の取引所より安全面や信頼性で劣るのも否めないところです。国内の取引所であれば金融庁からお墨付きをもらった登録業者がいますから安心して取引ができます。海外の取引所はセキュリティ面の説明や問い合わせなども英語であったりするので、トラブルが生じると上手く対応できない可能性もあります。よって、初心者がいきなり海外の取引所を利用するのはハードルが高いと言えます。国内の取引所で取引になれてから海外の取引所に口座を開いてみましょう。
仮想通貨取引所の使い分けだけではなくウォレットも活用
複数の仮想通貨取引所に口座を開くと自由に仮想通貨や日本円(国内の取引所のみ)を出し入れできます。銀行口座を複数持っているような感覚に近いといえます。ただし、気を付けてほしいのは仮想通貨取引所に資産を預けっぱなしにしないことです。預けたままにしてはいけない法律やルールが存在するわけではありませんが資産を失うリスクが非常に高くなります。
具体的なトラブルも国内では発生しています。2018年1月にコインチェックが多額の仮想通貨流出を引き起こし、9月には国内でも大手の取引所であるZaifも同様の仮想通貨の流出を引き起こしました。仮にコインチェックやザイフにしか口座を持っておらず、すべての財産を預けていたらそれを失ってしまうことも考えられます。ですから、取引所に預けたままにしているのは危険なのです。
そこでウォレットを用意することで資産を失うリスクに備えられます。ウォレットにはインターネットを介して保存するウェブウォレットやインターネットにつながっていない状態で保管するハードウォレットなどがります。国内の取引所は顧客の資産をハードウォレットで管理し、ハッキングを未然に防ぐ対策を取り始めていますがウェブウォレットに保管していると思ったほうがいいでしょう。絶対に失いたくない資産であればハードウォレットにいれておくべきです。
また、取引所には取引に必要な最小限の資産だけを残し、少なくなったら入金用のウォレットから送金するなど使い分けてみましょう。仮想通貨に関して消費者保護が少しずつ進んでいますが完全とは言えません。まずは自分で資産を守ることを考えましょう。
仮想通貨取引所を使い分けてリスク分散
資産を守るうえで取引所だけではなくウォレットの活用も必要であると先に解説しました。付け加えるなら、やはり、複数の取引所に口座を持つのもリスク管理の一つになります。先ほども取り上げましたがコインチェックやZaifといった安心感のある国内の取引所でも資産を流出する事件が発生しています。さらに、ハッキング等のリスク以外にも運営している会社が倒産することでも資産が戻ってこなくなる可能性があります。
取引所A、B、C…と複数の取引所のユーザーとなっていれば取引所Aで取引ができなくてもほかの取引所を使うことで円滑に切り替えることが可能でし、資産のすべてが消滅してしまうこともありません。投資の格言で「卵は一つのカゴに盛るな」と言い伝えられています。資産管理では「分散」をキーワードに考えて対策をとっていきましょう。また、投機的なリスクを考えても取引所を使い分けるのは効果的です。
例えば、価格暴騰を狙って海外の取引所を使ってマイナーな銘柄を購入したとしましょう。ところが徐々に価格を下げ、高騰の見込みがないと考えられるときに有名銘柄に売却することで損失を抑えることができます。その際に価格の高い取引所に送金して売却すればより損失を防ぐことができます。最近注目されている価格が一定に保たれたステーブルコインに替えることでもリスク回避が可能です。ステーブルコインはいくつかの種類があり海外の取引所で取り扱いが多くなっています。このように取引所を使い分けると資産の管理や取引で損失を防ぐことにもつながります。
仮想通貨取引所を使い分けて投資するアービトラージ
最後に、複数の取引所間の価格差を利用した取引の「アービトラージ」を紹介します。アービトラージは「裁定取引」と表現する場合もあります。通称、サヤ取りです。取引手法はさほど難しくなく、仮にビットコインの価格が取引所Aでは1BTC=10万円、取引所Bでは1BTC=9万円とします。この時に取引所Bでビットコインを購入し取引所Aで売却すれば1万円の儲けになります。
実際はそこまで大きな価格差は生じませんが初心者でも取り組みやすい取引方法となります。通常の現物取引なら価格の上がり下がりを予測しながら売り買いを行いますのでチャートを読む知識が必要です。ところが、アービトラージは価格が暴落しているときにでも行えるトレード方法です。価格に影響されず、少額でも利益を出しやすい特徴もあります。
デメリットは価格差をより多くチェックするため、事前に多くの取引所に口座開設を行わなければなりません。さらに、数多くの取引所でどのような価格になっているか逐一チェックする必要があります。時間的に余裕がある時でなければ簡単にトレードできない方法でもあります。