仮想通貨を利用するなら「スマホ」が便利

「ビットコインやイーサリアムなどを実際にものを売買するときの取引に利用してみたい」と思ったあなたは、まず何と何を用意すればいいのでしょうか?もちろん、支払い取引をするには、まずはビットコインなどを購入するお金(円)が必要です。それはお札(紙幣)やコイン(硬貨)の形でサイフの中に入っているかもしれませんし、自分の銀行口座に残高として入っているかもしれません。でも「お金のことなら銀行に行けば何とかなるだろう」「海外旅行に行く前に、銀行で円をドルに交換してもらったから」ということで、銀行の窓口まで行って「日本円をビットコインにしてください」と言っても、「ビットコインと現金の交換をしましょう」といったような取引は受け付けてもらえません。

第一に「通貨を両替して手に入れる」と言っても、仮想通貨にはお札や硬貨のような「実体」が存在しません。それは、電子ネットワークの中に存在する仮想(バーチャル)のお金で、インターネット上で取引されるような形がないものですから、たとえあなたが何らかの取引でビットコインを手にいれたとしても、実際に手で受け取って持ち帰ることができません。第二に、日本の銀行ではまだ、支店の窓口でのビットコイン取引や、ビットコインを現金と取引できるようなATM(自動預払機)がお役所(金融庁)から認められていませんので、そのような交換取引ができるような機械は存在していません。

第三に、ビットコインを売っているショップのようなものも存在しません。ひと口に仮想通貨と言っても数多くの種類のコインがあり、それらは世界中で取引されています。しかし、実際にそれらのコインすべてを何らかの場所で取り扱うとなると大変です。最も有名で活発に取引されているのは「ビットコイン」ですが、それ以外にも様々なコインがあり、取引されているコインは、一説には全世界で1000種類以上と言われており、それらをすべて取り扱うのは現実的ではありません。しかし、そもそもビットコインなどは「物」ではなくある種のデータのようなものなので、実物を取引したり、触ったりすることはできず、お店で売買することはできないのです。それでは、通常のお金のように簡単に、ものを売買したり、支払い取引に利用できないような仮想通貨で買い物をするには、どうすればいいのでしょうか。

仮想通貨を支払い取引で利用するために、第一に必要になるのは、電子ネットワークにつながっているパソコンやスマートフォン(スマホ)やタブレット端末です。パソコンやタブレットを持っていない人でも、「iOS」が入ったアップルのスマホ「iPhone」や、「Android」が入ったその他の会社のスマホは、おそらく持っていると思います。端末の値段や通信料が安い「格安スマホ」でも、「Android」が入っていれば仮想通貨を取引に利用できます。初心者にとっては、パソコンやタブレットよりもスマホのほうが、すぐ取引に使えるのでおすすめです。

その理由の第一は、ノートパソコンやタブレットよりも軽くて、小さくて、携帯に便利なので、外でビットコインやリップルなどを買い物のための取引に使いやすいことです。理由の第二は、スマホは電源を切らない限り、通信キャリア(NTTドコモやauやソフトバンクモバイルなど)を通じて、電子ネットワークにはつながりっぱなしになっているからです。仮想通貨は電子ネットワークの中に存在するものなので、つながりっぱなしだと、利用する時にいちいち光回線やWi-Fiなどの通信につなぐ手間がいらず、すぐに取引に使えるので便利です。パソコンでもビットコインなどの利用はできますが、スマホはパソコンに比べると画面がずっと小さいので、表示する情報が必要最小限に抑えられていて、シンプルです。初心者にとってはスマホでの取引の方が簡単ですし、表示も見やすく、使いやすいでしょう。

ただし、外でビットコインなどを使った買い物がしたいのなら、スマホに「バーコードリーダー(読取カメラ)」の機能がついている必要があります。お店での仮想通貨を使って取引をするときには、「QRコード」をスマホで読み取って支払いをしなければならないからです。また、スマホがかなり旧機種で、「iOS」「Android」のバージョンが古い(数字が少ない)と、仮想通貨を利用するのに必要なアプリがスマホにダウンロードできず、色々な支払いのための取引に利用できない場合がありますので注意してください。

スマホに2つの「アプリ」をインストール

仮想通貨取引は決して難しくない電子ネットワークにつながったスマホやパソコンやタブレットを用意すれば、ビットコイン支払いに利用できる「ハードウェア(電子機器)」は揃いました。しかしそれだけでは不十分です。その機器に、まずは必要な「ソフトウェア」を「インストール」しなければなりません。横文字ばかりで難しく思うかもしれませんが、その作業はとても簡単です。スマホであれば、あなたが新作ゲームなどでやっているように「アプリのダウンロード」をすればいいだけです。では、どんなアプリが必要なのでしょうか? 始めるのに最低限必要なアプリは、次の2つです。

「仮想通貨取引所のアプリ」
「ウォレットのアプリ」

「仮想通貨取引所」とは、あなたのサイフや銀行口座から円を入金して、それを貯めておき、必要な時には、ビットコインなど、自分が希望するコインを買ったり、逆にコインを売って円に交換して戻したりする取引ができるアプリです。現在、日本で利用者が多い仮想通貨取引所は、次の3つです。「ビットコイン」はこの3つとも取り扱っています。

「コインチェック(coincheck)」
「ビットフライヤー(bitFlyer)」
「ザイフ(Zaif)」

もう一つの「ウォレット」とは、仮想通貨取引所で交換したコインを貯めておく「サイフ」のようなアプリです。例えばビットコインを使って外のお店で買い物をする時や、誰かに送金する時や、ネットショッピングをする時のように、様々な取引で保有しているコインを使う場合は、ウォレットからビットコインなどを出して支払いや送金をするための操作をします。操作と言ってもQRコードを読み取ったり、相手の番号を入れた後に金額を入れたりするだけで、簡単です。

仮想通貨取引所の「コインチェック」「ビットフライヤー」「ザイフ」のアプリをダウンロードすると、まるで「おまけ」のようにウォレットのアプリも一緒にダウンロードできます。取引所付属のウォレットは、アプリのダウンロードが1回ですみ、仮想通貨を取引所からウォレットに移す操作が不要になるなどわかりやすく初心者にはおすすめですが、ある危険が伴います。それは、仮想通貨取引所が「障害の発生」「ハッカーの攻撃」「会社の営業停止や倒産」などで使えなくなってしまうと、付属のウォレットも同時に使えなくなり、自分が持っている仮想通貨が取引に利用できなくなる恐れがある、ということです。仮想通貨取引所から自分が持っている仮想通貨を移して利用できる独立系のウォレットには、おもなもので「Jaxx」「indiespare wallet」「Blockchain」などがあります。

仮想通貨取引所に登録し、円を交換して利用

仮想通貨を始める際に必要な手順を解説アプリをダウンロードしたら、仮想通貨取引所でユーザー登録を行って、それに円を入金して、仮想通貨に交換すれば、それだけで取引所付属のウォレットに仮想通貨が入り、利用できるようになります。ここでは次のような想定でご説明しますが、他の仮想通貨取引所、仮想通貨でも、手続はだいたい似通っています。

・使う機器:スマホ
・仮想通貨取引所:コインチェック(coincheck)
・仮想通貨:ビットコイン(単位はBTC)
・ウォレット:コインチェック付属

スマホでコインチェックのアプリを立ち上げて、最初にユーザー登録を行います。自分のメールアドレスを記入して、パスワードを設定します。送信ボタンを押せばメールアドレス宛に確認メールが届きますから、そこに書いてあるURLリンクをクリックします。現れた画面にスマホの電話番号を入れると、SMS(ショートメッセージ)で認証コードが送られてきます。それを入力すれば電話による本人確認が行われて、ユーザー登録の作業は完了です。コインチェックではここまでやれば、円で5万円以内の金額であれば、保有しているコインを色々な取引に利用できます。手持ちの円の現金を入金する方法は、銀行口座への入金、コンビニでの入金、クイック入金の3種類です。

銀行口座への入金は指定口座に振り込むだけで簡単ですが、入金は土曜、日曜、祝日、大みそかと正月三が日はお休みで、3時以降の振込は翌日扱いです。振込手数料の他に入金手数料が差し引かれます。コンビニでの入金は、アプリの画面で入金額を送信すれば、返信される手数料込みの支払合計金額と受付番号をメモします。その紙をコンビニに持っていき、店内に設置されたチケットなどを発行する機械を操作して、レジで現金を払います。24時間365日、10分ほどで入金できます。クイック入金は公共料金の支払いに使われている「ペイジー」を利用して、24時間365日、入金に対応しています。入金の確認は、アプリの「取引アカウント」で円の残高が増えていますから、それを見て確認できます。受け付けられたら最長でも1時間以内に入金されています。

コインチェックは仮想通貨取引所ですから、その次に「取引アカウント」の円の残高の一部でビットコインやイーサリアムなど、上場しているコインを取引(購入)します。アプリを操作して、購入を希望する分の金額を円で指定し、自動的に換算されるコイン(ビットコインならBTC)の金額を確認します。それで問題がなければ「購入」ボタンをクリックするだけで購入、交換は直ちに行われます。その際、一定の取引手数料が差し引かれています。24時間365日、仮想通貨の購入や売却などの取引ができます。コインチェックは仮想通貨の購入をクレジットカード払い、後で口座引き落としという方法で行うこともできます。購入は24時間365日可能ですが、トータルの取引手数料は他の入金方法よりも高くつきます。

交換したら、コインチェック付属のウォレットの「取引アカウント」にビットコインが自動的に入っています。これで送金でも、外のお店での支払いでも、ネット通販の支払いでも、様々な取引でビットコインを利用可能です。いったんビットコインに交換すれば、使わないままにその交換レートが変動しても、「取引アカウント」のビットコインの残高は決して変動しません。仮想通貨取引所では、ビットコインなどを売って円に交換したり、交換した円を自分の預金口座へ戻すような取引や資産移動も自由にできます。なお、コインチェックで5万円を超える金額の仮想通貨を入手したい場合は、住所、氏名、性別、自分の写真のデータ、運転免許証やマイナンバーカードのような本人確認書類の写しのデータをあらためて送信する必要があります。日数がかかりますが、その返事が簡易書留で届けば5万円を超える入金ができるようになります。