仮想通貨元年と言われた2017年と打って変わって、2018年は1年全体を通して厳しい年であったと言わざるをえません。一時期の過熱状態の中で参加しつつも、見切りをつけて退場してしまったというプレーヤーも、少なくはないでしょう。一方で、仮想通貨が良くも悪くも注目されることにより、その未来を信じる人も増え続けているのも事実です。
仮想通貨に未来はあるのでしょうか?それとも「元年」をピークに、このまま失速していくのでしょうか?もちろん、正確な未来を見通すことは誰にもできませんが、少しでも精度の高い未来予測を行うために、重要な考え方についてまとめてみました。ぜひ、参考にしてみてください。
仮想通貨の未来は予想できるのか
今後、仮想通貨がどうなっていくか未来は予想できるのでしょうか?もちろん、正確な未来を見通すことなど人間にもAIにも不可能です。その時の未来予想が正しかったかどうかは先になってみて過去を振り返り、初めてわかることです。
ただし、あらゆる情報を中立的に取り入れていくことによって、近い未来を比較的高い精度で見通すことくらいであれば可能かもしれません。どのような情報が発信されていて、その情報の発信者は誰で、どのような意図をもってその情報を発信しているのかを未来を見通すために見極めることが大切です。
世の中の情報の大半は、ポジショントークによって成り立っていますから、発信されている情報の裏側を読み取ろうという目線を持つだけで、未来予想の精度は格段に上がることが期待されます。その上で、もう一つ重要なのが、複数の未来を予想するということです。人は自身の願望を反映した未来が実現することに期待を抱きがちです。その通りになればよいのですが、その実現可能性は、客観的にみると本人が考えているよりも低い傾向にあります。常に悪い未来のシナリオも想定しておくことが、予想を外した時、取り返しのつかない損失を被ることを避けることにつながります。
仮想通貨は未来の決済手段になりうるか
まず、コインのなかでもとりわけビットコインが決済の手段として今後使われるかどうかに、仮想通貨の未来のある程度の部分がかかっていると考えることができます。2017年は大型の小売店でビットコイン決済が可能になったなどのニュースを受け、価格が上がったりもしましたが、2018年はそういったニュースへの反応も薄いままでした。
結論としては決済手段としての仮想通貨の未来には依然として期待は高いものの、現状は難しいと言わざるを得ないでしょう。一時期の暴騰、暴落を繰り返していた時に比べるとコインの値動きは比較的安定してきたと言えますが、それでもなお通貨と呼ぶにはあまりにも値動きが大きいのも事実です。
現状、決済手段として大々的に導入するのはリスクがあるといわざるをえません。逆に言えば、仮想通貨の価格が安定した時、決済手段として使用に足る可能性は十分にあります。 今後、「現金」の使用が少なくなっていくであろうことはほぼ疑いの余地がありませんが、その中でビットコインやアルトコインがどれだけの力を持っていくかは今後に期待されるところです。
仮想通貨は未来への投資対象となるか
何かを持っていれば上がった2017年、市場に参入しているほとんどのプレーヤーが利益を得ていたか、もしくは含み益の状態であったでしょう。しかし、細かい上下動を繰り返しながらも全体としては下降の一途であった2018年。レバレッジをかけすぎて退場した方もいれば、ろうばい売り、失望売りをして退場したという方もいらっしゃると思います。
現在、市場に参加しているプレーヤーは大きく2通りに分かれるのではないでしょうか。一方は短期のトレーダーです。仮想通貨の未来などお構いなしに、短期の値動きの上下動を使い、レバレッジをかけてトレードを行う。現在の低迷している市場において、資産を増やす方法と言えば、ゼロサムゲームで誰かの資金を自分の手元に置くほかありません。
もう一方は、仮想通貨の未来を信じ、長期投資の対象として保有している層です。仮想通貨が現在の低迷など関係なく未来長期的に人々に受け入れられ、生活の中に浸透し、お金の在り方や人々の生き方まで変えてしまう未来を信じ、その未来に対して投資を行うというスタンスです。このような考え方であれば、低迷している市場すら、保有しているコインの量を増やすチャンスであると言えるでしょう。むしろ、暴落の中での買い支えはこういった層からの買いで起きていると言っても過言ではありません。
もちろん、トレードと投資どちらが良い、悪いといったものではないですし、長期投資する一方で、トレードもするというスタンスも問題ありません。ただ、自分が行っている取引の内、どれが投資で、どれがトレードなのかは意識を持っておくことが大切です。
仮想通貨がなくなる未来はある?
仮想通貨は上がったり下がったりする、と理解はしていても2018年のように全体としては下げ相場一辺倒であると、「将来的に仮想通貨はなくなってしまうのではないか」という悲観的な予想をされてしまう方もいらっしゃるのではないかと思います。結論としては、わかりません。
当然、なくなる未来というのも覚悟はしておかなければなりません。仮想通貨を否定的に見る論調の中には「ブロックチェーンの技術は素晴らしいがビットコインはその実験的な運用で生まれただけの副産物にすぎない」というものもあります。
仮に、ブロックチェーンが人類にとって画期的な発明であったとしても、それは必ずしも仮想通貨の明るい未来を約束したものではないのです。また、なくならないにしても、もしくは今後価値を上げていくにしても、すべての銘柄の価値が上がっていくとは限りません。特定の銘柄は上がっていったとしても、別の銘柄は無価値になってしまうということも十分考えられます。
イーサリアムやネムといった主要アルトコインだけでなく、ビットコインすらそのリスクの例外ではありません。常に、仮想通貨市場の世界における立ち位置や、それぞれのコインの立ち位置などをチェックしておくことが望ましいです。
仮想通貨の未来はビットコインにかかっている?
仮想通貨の未来を握っている主要プレーヤーは何になるのでしょうか?諸説ありますが、現在最も有力なのはやはりビットコインでしょう。もちろん、ビットコインといえども今後他のコインが価値を上げていく中で淘汰される可能性はあります。しかし、少なくとも現状は最も時価総額が高く、相対的には世界中から信用されているコインと言えばビットコインです。世間一般の仮想通貨に触れていない層からみれば、仮想通貨=ビットコインといっても過言ではないでしょう。
現在、法定通貨の中での基軸通貨は米ドルですが、仮想通貨の世界の中で同様の立ち位置にあるのがビットコインです。仮想通貨に資金が集中している時であればビットコインとアルトコイン同士で資金を奪い合うような市況もありましたし、今後も想定されます。しかし、現在のように界隈全体が低迷していると、ビットコインの価格(≒信用)が仮想通貨全体への信用と言っても過言ではないでしょう。
長い目線で見ると、今後のことはまったく予想がつきませんが、短いスパンで仮想通貨全体のことを考えるのであれば、基本的にはビットコインの未来が握っていると考えても的外れということはないでしょう。見る指標が多すぎて混乱してしまう場合は、まずビットコインを見ておけば問題ありません。