仮想通貨市場は、急激な仮想通貨ビットコインの価格高騰を見せ、その勢いは約95万円に到達するまで維持されました。しかし、今や価格は下落しています。これはウィンクルボス兄弟の2度目の仮想通貨のETF申請が拒否されたことに起因すると見られています。仮想通貨への法規制と仮想通貨やブロックチェーンの融和は常々検討されていますが、もちろん一朝一夕には行きません。

それでも、仮想通貨の規制側の前向きな姿勢や発言が散見されるようになり、仮想通貨市場もそれに合わせて活気を取り戻しつつあります。現在、仮想通貨市場はどのような状況にあり、ブロックチェーン技術はどのようなブロックチェーン開発段階にあるのか。各国の仮想通貨への態度や、ブロックチェーン技術の開発に取り組む企業を端的に知ることで、仮想通貨とブロックチェーンが社会に実装され得ることが現実的に感じられます。

仮想通貨のブロックチェーンに対する前向きな姿勢

まず、米議会の公聴会での、CFTC(米商品先物取引委員会)のジャンカルロ委員長の発言に大きな期待を感じることが出来ます。委員長は、仮想通貨市場の成熟化を待って仮想通貨の規制を始めるべきだとしました。CFTCは、歴史的に見ても仮想通貨の現物市場の規制を行っていません。これを原則として、仮想通貨の規制の対象はデリバティブ(金融派生商品、株式や先物取引)市場にするべきだとし、実際に昨年末にCMEとCBOEで開始された仮想通貨ビットコイン先物取引を監修しています。

委員長は商品先物市場は数百年前から存在し、市場は自主規制によって発展してきたことを指摘しています。また、1990年代のインターネットの発展を阻害しなかった規制側の対処を良き具体例として提示してました。テクノロジーによるイノベーションの速度は加速しており、対して規制というのは本質的に遅いものであるということを述べています。

消費者保護の観点からすれば、最低限の規制は必要ですが、現在の行き過ぎた規制を緩和する方向に各国が動き出していることは間違いありません。特にアメリカ規制側の仮想通貨市場に対しての肯定的な発言は仮想通貨の価格上昇の主な要因とされています。

ブロックチェーン産業の開発が進みブロックチェーンの社会実装の可能性がより具体的になってきたことで、安易に無視することが、将来的なリスクになるという認識が広まり定着しつつあります。ICOが有価証券であるかどうかの議論も時間の経過とともに解釈が変わりつつあります。明確な答えはまだ出ていませんが、今後の仮想通貨市場とブロックチェーン技術の進展に合わせて前向きな解釈に変わりつつあることは伺えます。

仮想通貨のブロックチェーン対するロシアの姿勢

ロシアでは、仮想通貨のマイニングや仮想通貨取引に関する特別な税制は当面敷かれないそうです。あくまで、他の電子マネーへの税制が整った後での検討が行われるべきだということです。しかし、現時点でロシアは日常的な生活においてはデジタル決済を導入するつもりはないようです。主に、仮想通貨のマイニングにおいて国家的な利益を享受する環境があるため、このような考え方に至るのでではないでしょうか。

仮想通貨のマイニングには多量の電気代がかかります。日本でマイニングをしても、利益を出しにくいことを多くの有識者が主張していますし、実際に日本企業の仮想通貨マイニング事業は、温度の低い北半球で行われています。

各国の地理的な状況によって、法の適用にも差異が見られます。ブロックチェーンは国境をまたぐので、ブロックチェーンは地理的な状況に縛られる従来の国家基盤と相性が悪いのは当然です。それゆえブロックチェーンは、国によって仮想通貨に対する姿勢は異なってくるのでしょう。そこでブロックチェーンに、恣意的な解釈や判断が行われていることは否定できません。

ただ、ロシアの仮想通貨マイニングに対する解釈として、「仮想通貨マイニングは、他の電気的なデータ収集・管理業務と本質的に同様である。」という考え方は、これからのグローバルスタンダードになりえるかもしれません。ブロックチェーンが恒常的な社会インフラになれば、ブロックチェーンを維持するためのコストに、余計に税金を課することが適切とは言い難いからです。むしろ、国策としてブロックチェーンに税制的な免除や支援があってもおかしくはないのです。

今後のブロックチェーン技術の発展やブロックチェーンの日常生活への親和によって各国はブロックチェーンに的確な法制度の整備を求められることになるでしょう。実際に、イギリスや中国では巨額の資金を投じてブロックチェーン産業の開発が進められているのです。

仮想通貨のブロックチェーンを応用した新たなサービス

仮想通貨ブロックチェーン仮想通貨やブロックチェーンの現実的な使用方法は、未だ発展途上にあります。むしろ、仮想通貨やブロックチェーンにとっては、現実的にどう利用され得るかが一番の課題だと言えます。現状では、仮想通貨やブロックチェーンを個人が適切に管理・使用するための環境が整っているとは言い難く、また、多くの人にとっては馴染みのないブロックチェーンシステムに移行するメリットがありません。

一部の企業では、仮想通貨のブロックチェーンでの決済や仮想通貨決済サービス利用が実現されているものの、個人がそれらを利用するにはブロックチェーンはまだ、十分な規模とは言えません。そんな中、最近では米仮想通貨取引所コインベースのニュースが目立ちます。既存の法や環境に順応する形で、様々な施策を打ち出しています。

7月25日のコインベースのブログでは仮想通貨とギフトカードを交換するサービスを開始したことを発表しました。このサービスはヨーロッパの主要国とオーストラリアに提供され、今後も提供範囲を拡大する方針です。実質的に仮想通貨を、ナイキやグーグルで使用出来る電子マネーとに交換することが出来ます。

また、寄付においては、仮想通貨が使用される事例が多くあり、日本では筑波大学が、ブロックチェーンを使ったビットコインでの寄付を受け付けた実績があります。他にもNPO関連の寄付にブロックチェーンを使った仮想通貨を利用する事例もあり、少しずつ仮想通貨とブロックチェーンを利用する事例は増えつつあります。

仮想通貨のブロックチェーンと生体認証

KDDIは日立のブロックチェーンと生体認証技術を利用したクーポン決済の実証実験を行うと発表しました。生体認証により秘密鍵を作成することで、秘密鍵の管理を不要にします。さらに、利用履歴はブロックチェーンで管理され安全性も高く、店舗側で確認出来ることになるので、サービス利用者はブロックチェーンの生体認証だけでクーポンを利用することが出来ます。ブロックチェーンを使ったクーポン利用には、スマートフォンさえ必要ないということです。

限定的な環境(KDDI直営のau新宿店とミスタードーナツ高田馬場店)で実験を行い、課題を発見する段階ですが、画期的な技術が日本企業によって開発されたことは日本にとって大きな価値であると言えます。KDDIと日立は、今後もブロックチェーンを利用したサービスを開発していくということです。既存の仮想通貨に関しては法整備などが整っていませんが、ブロックチェーンを利用した新たな決済環境が開発されています。

仮想通貨のブロックチェーンに対する期待

ウィンクルボス兄弟とは、フェイスブックのマークザッカーバーグとのエピソードで知られる仮想通貨長者です。ウィンクルボス兄弟のETF申請は2度目ですが、今回もSEC(米国証券取引所)から拒否されました。拒否の理由としては、取引所のセキュリティやビットコインの価格操作への懸念などとされています。

このニュースを受けて相場は下落しており、COBEが申請中のビットコインETFの認可への影響も懸念されます。ただ、非承認の理由は、上場先のBats BZX取引所のセキュリティや価格操作の管理システムがSECの求める水準に満たないこととされています。CBOEのビットコインETF申請は手堅く堅実な準備がされており、最も早くビットコイン先物取引を上場させた実績もあります。

いずれにしてもCBOEのETF申請が承認されれば、市場にとっては大きなニュースとなります。早ければ、8月10日にはSECからの回答があります。ビットコインETFが上場することは、仮想通貨が確固とした金融商品として認められるということです。大幅な価格上昇が期待されます。仮想通貨市場と規制側の折り合いがどう変化していくのかは、現在最も価格への影響が大きい事柄です。しかし、ブロックチェーン技術の進展、ブロックチェーン産業の開発は日進月歩で進んでいます。両側面からニュースを追っていくことが大切です。