仮想通貨の相場は相も変わらず低迷しています。昨年度の仮想通貨の過熱の反動とも考えられますが、この横ばいの相場のなかで投資に対する意欲を失っている方に、一つ紹介できる手法があります。仮想通貨の「マイニング」です。マイニングであれば、法定通貨で購入したり、仮想通貨をトレードしたりというコストやリスクなく、手持ちの保有量を増やすことができます。

最近では大手企業がマイニングマシンを個人でも買えるくらいの価格で販売しはじめていますし、極端な話個人のPC1台、もしくは自作のマイニングマシンでもマイニングを行うことができます。さらに、自作のマイニングマシンを量産することができるならば、その機械の販売という別の稼ぎ口も考えられます。そういったそれぞれの手法について、おおよその価格帯なども踏まえながら実現性について改めて考察します。

マイニングマシンのおすすめと種類について

どのようなマイニングマシンがおすすめかということを考察する前に、そもそもどういった種類のマイニングマシンがあるのかを概観します。一番メジャーなのはASICタイプと呼ばれるマシンです。

マイニング業界で最も有名なBitmain社が利用しているモデルですが、近年GMOも同様の仕様のマイニングマシンを生産販売しています。収益性は高いですが、消費電力が高く、ビットコインしか採掘できないといったリスクも抱えています。また、起動中の音が大きいため、自室での利用には適さないなど、個人利用においては環境を選びます。

次に挙げられるのがAMD製のRXシリーズと呼ばれているマイニングマシンです。このシリーズのマイニングマシンであれば、大量の電気消費や発熱を伴わないため、自宅などでの小規模なマイニングのハードルも低くなっています。ただし、イーサリアムのマイニングには適しているものの、他の通貨のマイニングの性能が低いことが課題として挙げられます。

そして、レートが低迷する市場の中で存在感をあらわしているのが、NVIDIA製のGTXシリーズのマイニングマシンです。様々な通貨のマイニングに対応しているため(ただし受け取りはビットコイン)、長期的に安定した収益が見込めます。初心者が手を出すのであれば、GTXシリーズのマイニングマシンが現状手堅い選択肢と言えるでしょう。

マイニングマシンの重要な要素であるマシンパワーについて

仮想通貨マイニングのマイニングを自分で行うにあたって、重要なポイントの一つとなってくるのがそのマシンの「マシンパワー」と呼ばれる処理能力です。そもそも、ビットコインを例に挙げると、マイニングとはビットコインの取引の暗号化されたデータを検算・承認することで報酬として新たに生み出されるビットコインを受け取る行為です。その承認に必要な処理能力を「ハッシュパワー」と言いますが、マイニングに必要な処理能力をマシンが備えていることが、マイニングの報酬を受けとるために必須となります。

なお、現実的にはビットコインにおいては個人が所有できるマイニングマシン1台が必要なパワーを備えていることは現実的ではなく、実際にはそれらマイニングマシンのパワーを集約してマイニングを行い、成功報酬を得た際に、その報酬を、それぞれのマイニングマシンから提供されたパワーに応じて所有者に分配する方式が取られています。(マイナーな仮想通貨であれば販売されているマシン1台でマイニングが完結することも可能です)

マイニングのマシンを選定する上では、このマシンパワーを考慮する必要があります。当然、パワーが高い方が良いというのが基本的な前提にはなるのですが、消費電力が大きすぎるとマイニングの報酬が多少多くなっても、それ以上にランニングコストがかかってくるといったケースもあるのでバランスを考慮する必要があります。

マイニングマシンを購入すると価格はどのくらいなのか

市販のマイニングマシンを購入した場合、価格はどの程度になるか、見てみます。機械のスペックなどによっても大きく変わってくるのですが、安価なもので言えば、GMOが販売しているマイニングマシンであれば約22万円で購入することができます。個人利用や、企業の副業程度での利用であれば、数10万~100万円といった価格帯のものが一般的に流通しているようです。

問題は、その価格を払っただけのマイニング収益が見込めるか、といった点ですが、実績のあるマシンであれば、月々の収支は電気代を差し引いても数万円、初期投資額のおよそ10%程度というものもあるようです。ある程度の安定稼働するようであれば、回収も十分考えうる数字と言えます。

また、仮想通貨を購入した場合と比較し、機械の費用やランニングコストを経費とできるため、節税効果もあるようです。とはいえ、将来安定稼働する可能性、機械の故障のリスク、今後の仮想通貨の価格変動のリスク等考慮すべき事項はあり、確実に儲かる保証はありません(投資、ビジネス全般に言える話ではありますが)。

マイニングマシンを自作することは可能か

仮想通貨マイニング購入するとそれなりの金額が必要であることがわかりました。もちろん今後の仮想通貨の価格次第ではあるのですが、仮に仮想通貨が長期的に現在の価格帯で低迷すると考えると、月々の収支が赤字ということも大いに考えられます。そこで、次に思いつくのがマイニングマシンを自作してしまうという手法です。技術と知識さえあればマイニングマシンの自作はそれほど難しくはありません。しかも、市販のパーツで十分に作成は可能です。

具体的には、CPU、マザーボード、メモリー、グラフィックボード、ライザーケーブル、電源ユニット、SSD、USBメモリー、リグフレーム、OSといったものの用意があれば最低限稼働するマシンを作成することができます。具体的な組み立て方や、それぞれの単語の意味がわかるようであれば、少なくともマシンの組み立ては可能です。

あとは、ソフトの側の設定や操作を行うことができれば、自宅で仮想通貨マイニングを行うことも夢ではありません。マシンのスペックや、拡張性、消費電力などを自分で考えながら、組み合わせるパーツを変えることができるのも、自作ならではです。作成の予算は、当然スペック次第となってくるのですが、初期費用を抑えるだけ抑えるならば10万円未満で作成することが可能なようです。

一般的なスペックのパーツを購入して作成する場合は15万円前後。市販のマシンの購入に比べると少し低く抑えることができますが、劇的な削減とは言い難い数字です。やはり作成したマシンで現実的にマイニングが可能かという点や、マシンの稼働に必要な消費電力がどの程度かといったことが判断指標になります。どうやっても採算が取れそうにない場合は、素直に通貨を購入した方が投資判断としては経済的ではありますが、趣味や夢を重視するのであれば、非現実的な選択肢ではないことがわかりました。

マイニングマシンの販売はビジネスとなるのか

次に思い浮かぶのは、自作のマシンを販売して収益を上げるという手法です。月々のランニングコスト以上のマイニング収益が見込め、ある程度の期間で初期費用を回収できるようであれば、それは十分販売するに足る商品として市場に流通させることができるポテンシャルを秘めています。

ただし、筆者の結論としてはよほどの差別化要素がない限りは本格的なビジネスにするのは簡単ではない。理由としては、市場に流通しているマイニングマシンの(の内比較的安価なもの)の価格と、自作のマイニングマシンにかかる費用の差が、とりわけ、個人向けのマーケットであれば、それほど乖離しているわけではないため、その差分として挙げられる利益分は1台1台、それほど膨大な水準とは言えません。

また、1台1台を自作する必要があるためその時間を考えても、費用対効果の高いビジネスになるとは言いづらいのではないでしょうか。ただでさえ、比較対象はある程度の信頼のあるメーカーですので、作成者自身が、競合と比較されうる信頼を何らかの形で獲得していることも条件として求められます。以上を踏まえると本格的なビジネスとするのは簡単ではないと言えます。