コインチェックに引き続き、Zaifからも仮想通貨の盗難事件が起きました。世界各国ある取引所の中でも、運営体制やセキュリティ面の安心感から使われがちであった日本の取引所ですが、ここにきてその信頼性に少し疑いがかかっているかもしれません。今回は、日本だけでなく世界の仮想通貨取引所について、主要取引所や、主要な国については国ごとの考察も行ってみました。
海外の仮想通貨取引所もセキュリティは個社ごとに異なりますので一概な評価は下せませんが、仮想通貨を扱っている銘柄の数の多さや、仮想通貨取引手数料の安さなど、日本の仮想通貨取引所を利用することと比較しても、大きなメリットを受けることができる仮想通貨取引所も多数あります。また、中には多少の英語力を要する取引所もありますが、日本語対応しているものもあり、最初から「英語ができないから海外取引所は手を出せない」とあきらめる必要はありません。取引所選びの参考にご活用ください。
仮想通貨取引所の世界での人気ランキング
世界中の仮想通貨の価格や時価総額を見ることのできる、CoinMarketCapでは世界中の仮想通貨取引所の出来高のランキングを見ることができます。2018年9月30日時点の上位5位は下記のようになっています。
1位 BitMex
香港とサンフランシスコに拠点を持つ取引所です。日本語にも完全対応しています。レバレッジ100倍の取引や、追証のリスクを負わない「ゼロカットシステム」など仮想通貨FXをしたければ非常に魅力的な取引所と言えます。手数料やセキュリティも評価が高いです。
2位 Binance
日本人の中級者以上の投資家にはおなじみの取引所ではないでしょうか?中国発の仮想通貨取引所で、今年本社をマルタに移したことでも話題になりました。手数料の安さ、扱っている銘柄の豊富さ、出来高、アプリの操作性など、ある程度仮想通貨投資を真剣に行っているプレーヤーにとっては魅力的な環境も揃っています。以前は対応していた日本語対応を辞めてしまったのは日本人としては少し手痛い部分ですが、ごく簡単な英語で取引ができるのでぜひ登録してほしい取引所です。
3位 OKEx
香港に拠点を持つ仮想通貨取引所です(北京から移転)。取引高、binaceほどではありませんが約90種類と取扱い通貨の豊富さが魅力なだけでなく、bitbankと連携しているため、bitbank Tradeにて先物取引を行うことができます。日本語対応はしていません。また、拠点が中国であるため、国からの規制を受けるリスクを常に孕んでいるほか、(それをどう取るかは個々人の価値観ですが)
昨年、大きな仮想通貨流出の事故を起こしている取引所でもあります。
4位 Huobi
こちらも香港に拠点を置く取引所です。かつては北京が拠点でしたが、中国本国の規制を受け、相対的に規制を受けづらい香港に移転したようです。日本で何かと話題になったエイダコインが上場した取引所であることも知られています。扱っている銘柄の多さはさることながら、ハイリスクハイリターンな「草コイン」の扱いが豊富なことも特徴です。また、サポートはありませんが、サイトの表記としては日本語に対応しています。
5位 ZB.COM
同じく香港に拠点を置く、中国発の取引所です。約70種類と扱っている銘柄数も比較的豊富ですが、加えてCoin Market Capにも掲載されていないようなマイナーなコインを取り扱っているので、そのあたりに魅力を感じる方にはおススメかもしれません。また、不完全ながら日本語対応もしています。
仮想通貨取引所のアメリカ事情
ビットコインの発案者「ナカモト・サトシ」氏の正体は実はアメリカ人だという通説もありますが、中央主権からの解放を謳っている仮想通貨においてもやはり現在の世界の経済の中心であるアメリカの動向を抜きに語ることは出来ません。ブロックチェーン技術への投資なども含めて、最重要プレーヤーの一つであることは間違いがありません。先述のBitMexの主要拠点の1つがサンフランシスコです。他にアメリカに主要拠点がある有名な仮想通貨取引所と言えば、まずBittrexが挙げられるでしょう。
手数料は少し高めですが、250種類と取扱い通貨も非常に多く、日本の投資家からも好まれている取引所です。他にも、手数料や取扱い銘柄で人気のPoloniexもアメリカに拠点を置く、最大級の取引所の一つです。かつてはKraKenという取引所が、日本語だけでなく日本円での入金に対応するなど、日本人にとって魅力的なサービスを展開していたのですが現在は日本人向けサービスを停止しています。
仮想通貨取引所のヨーロッパ事情
多くの先進国を抱え、世界への経済的発言力が比較的高いヨーロッパの国々の仮想通貨事情を考察してみます。Binanceの移転先であるマルタ共和国など、これまで世界経済の中心プレーヤーでなかった層が仮想通貨で頭角を現しているのも特徴的です。同様に、東欧のチェコに拠点を置く、Changellyはビットコインやイーサリアムといった基軸通貨を介さずにアルトコイン同士を交換できるという特徴的なシステムを導入しています。
また、レンディングサービスが特徴の一つとして挙げられるBitfinexは中国からスイスに移転してきました。そのほか、世界的に名の知れているヨーロッパの仮想通貨取引所としては、CoinTal、CEX.io、Bitstampといった取引所がいずれもイギリスに拠点を構えています。
仮想通貨取引所の韓国事情
近年、急速に発展し先進国の仲間入りをした(賛否ありますが)韓国。先進国入りのタイミングは日本よりもかなり遅かったものの、金融リテラシーは日本よりかなり早く進んでいます。もともと、ITの最新のテクノロジーとは親和性の高い韓国は仮想通貨を受け入れやすい土壌でもあったかもしれません。全人口比率で言えば世界シェアからごく僅かな韓国で一時期は仮想通貨の全取引の内30%を占めていた時期もあります。
大手企業のブロックチェーン技術への投資も盛んであり、仮想通貨が広まっていくにあたりこれまで以上に世界に対して重要性を高めていくでしょう。韓国で有名な取引所としてはbithumb、Coinone、Korbitが3大取引所と言われています。いずれも世界各国の有名取引所と比較して、銘柄の数や取引手数料といった分かりやすい面での特別な優位性があるわけではないのですが、海外ユーザー獲得のための施策や、初心者向けの資料の充実などユーザー目線でサービスが設計されているのは、サムスンやLG、ヒュンダイといった製造業が世界シェアを日本から奪ったのにも重なります。一方で、サーバーダウンやセキュリティといった問題を抱えている側面もあり、今後の改善が期待されます。
仮想通貨取引所の中国事情
冒頭の上位ランキングでも大半の取引所が中国発、もしくは中国がらみの取引所でした。世界から見ても経済的な比重が高いだけでなく、その歴史的背景から国民が政府や法定通貨を信用していないといった事情もあり、仮想通貨の取引だけでなく、マイニング、ICOなど仮想通貨関連の動きが活発であった国です。
一方で、市場経済を導入しているとはいえ、共産党の一党独裁体制であるため、いつ、どういった形での規制がなされるかわからないといったリスクに常に晒されています。(過去、幾度となく中国の規制強化のニュースで相場が暴落したことが記憶に新しいかと思います。)数多くの取引所が中国の規制の影響を受けて、もしくは影響を恐れて海外、もしくは相対的に影響の薄い香港に拠点を移しています。企業も個人も仮想通貨やブロックチェーンに対して積極的な姿勢を見せており、魅力的な要素の多い市場ではあるのですが、常に国の規制というリスクに晒されている市場であることも同時に認識しなければなりません。