仮想通貨のチャート分析とは
仮想通貨の分析ではチャート分析がとても重要視されます。これは仮想通貨の情報量の少なさが要因と言えます。例えば株式投資を考えてみてください。株式投資では、企業の様々な経営情報をもとに投資先や投資額を決定することができます。企業の純利益、1株当たりの利益など、挙げればキリがありませんが、こうした様々な指標を参考にすることができます。豊富な情報量を投資決定に活かすことができるのが株式投資です。
一方で仮想通貨はどうでしょうか。仮想通貨に業績発表などはありません。もちろん、仮想通貨の使いやすさやユーザーの評判などを参考にすることはできますが、情報量という点では株式に遠く及びません。ドルや円などが交換される為替市場でも、経済状況や各国の金利政策などによって左右されるので、判断材料が多くなります。つまり、仮想通貨の世界ではいわゆるファンダメンタルズ分析というのが効果を発揮しにくい状況にあると言えるのです。
だからこそ、仮想通貨はチャート分析やテクニカル分析が重要視されることになります。チャートは過去の値動きを記録したものです。過去の値動きから未来の値動きを予想することができます。もちろん、世界情勢や仮想通貨に関する規制のニュースなどで大きく値が変動することもありますが、どのくらい値動きが起こるかが事前に把握できるというのもチャート分析の魅力と言えます。
仮想通貨のチャート一覧
仮想通貨のチャートは各仮想通貨の取引所で見ることができます。一覧は国内取引所だと、10種類程度の場合が多いのですが、海外取引所の場合は100種類を超えることも珍しくありません。それだけ多くの仮想通貨の売買が行われていると言えます。一覧の表示方法ですが、法定通貨の為替市場と同様、画面には通貨ペアの一覧が表示されます。例えば、日本円とビットコインであれば、その交換比率、1ビットコイン(BTC)=何円というような表示がされます。
通常、チャートの一覧を見るときは、同じ通貨の基準をもとに比較します。円を基準とする場合、ビットコインと円の通貨ペア、ライトコインと円の通貨ペア、イーサリアムと円の通貨ペア、といったように見ていきます。これは、もしビットコインと円、ライトコインと米ドルで比較すると、仮想通貨の価値が動いたのか、円や米ドルといった法定通貨の価値が動いたのかがはっきりと分からなくなってしまうからです。
多くの取引所ではチャートを同時に見比べられるようになっているので、瞬時に比較することができます。ビットトレード(Bit Trade)の場合、取引画面の左上に通貨ペア一覧が表示されており、それぞれの交換レートが表示されています。実際に見てみると、一番上のBTC/JPYの場合は1BTCが76万円となっていることが確認できます。これらの通貨ペアをクリックすると、瞬時にチャートが切り替わるようになっています。
仮想通貨のおすすめチャート
仮想通貨では多くの取引所やアプリからチャートを見ることができます。大量のチャートが世の中に溢れており、どのチャートを選べばよいのか迷うところです。それではどのような基準でチャートを選べばよいのでしょうか。チャートを選ぶときに重要なのは追加や削除のしやすさが大きな基準となります。数ある通貨ペアの中から選ぶため、画面に表示したり削除したり、整理したりし易いというのが良いチャートの大きな基準と言えるでしょう。
また、チャートを一覧に表示させたとき、比較しやすいかというのも重要です。比較して仮想通貨全体の流れを掴むという意味でも、できるだけたくさんのチャートを一つの画面に表示させることができるものが望ましいと言えるでしょう。さらに、チャートを表示させる時間軸が多いかどうか、チャートを拡大したり縮小したりできるかといったことも考慮してチャート選びを行いたいものです。
これらのチャートはアプリの場合、取引所だけでなくアプリ単体でチャートを提供している場合もあります。人気のアプリはTab Trader Bitcoinです。これは取引所ではないのですが、取引所ごとにチャートが表示され、10個以上のデータを表示することができます。もちろん、アプリから取引所と同じように売買を行うことも可能です。ただし、Tab Trader Bitcoinや海外取引所の場合、日本語対応していないことも多いので、普段英語を使わない人にとっては、見にくいかも知れないので注意が必要になります。
仮想通貨のチャートにインジケーターを表示させてみよう
FXや株式投資の世界では一般的になっているインジケーターですが、仮想通貨の世界でもインジケーターを用いた取引が可能です。ただ単に過去の値動きを表示したものよりも、補助的な指標も加えられる分、相場の流れがより分かりやすく、より精度の高い取引が可能となります。
仮想通貨のインジケーターにもFXや株式投資同様に、トレンド系とオシレーター系があります。トレンド系だと移動平均線や一目均衡表、オシレーター系だとRSIやストキャスティクスが有名です。トレンド系は相場の流れ、オシレーター系だと相場の過熱感が分かります。トレンド系ではある方向に大きく値動きするトレンド相場、オシレーター系では一定の値幅を行ったり来たりするレンジ相場に特に有効となります。
インジケーターは取引所のチャートの設定から取り入れることができます。仮想通貨で使用できるインジケーターの数は非常に多く、例えばビットトレード(Bit Trade)の場合は80近い種類のインジケーターが存在します。どれを選べばよいのか迷うところですが、やはり移動平均線など、より有名で多くの人が使用するものを使用するのが無難と言えるでしょう。多くの人が使用しているものは、エントリーポイントなどの目安を使用している人が多いということです。このことから、値動きが予測しやすくなると言えます。
仮想通貨のチャートの見方を解説
ここからは実際のチャートの見方を紹介します。取引所などの取引画面を開くと、チャートが現れます。過去からの値動きが表示されていますが、よくみると、小さな縦棒が集まっているのが分かると思います。この1本1本の棒のことをローソク足と言います。
このローソク足は時間軸で変更が可能です。例えば1時間足の場合は、1時間の値動きが1本の棒で表されます。その一時間の始めの値と終わりの値、それに1時間の中の高値と安値が一目で分かるようになっています。時間足よりも短い時間軸で見る場合は分足、時間足よりも長い時間軸で見る場合は日足が用いられます。時間足は1日の値動きを見るとき、分足は1時間~半日ほどの短い期間の値動きを見るとき、日足や週足は1カ月~3カ月ほどの値動きを見るときに使います。
実際にチャートを見てみましょう。下のチャートはBTC/JPYの通貨ペアです。日足で表示されています。それぞれのローソク足は、1日の値動きを表しています。緑色は始値が終値よりも高い陽線、赤色は始値が終値よりも低い陰線を表します。上昇局面のときは緑色が目立ち、下落局面のときは赤色が目立つことが確認できます。
次に先ほどと同じチャートに移動平均線を表示させてみましょう。ローソク足に沿うように引かれている黄色のラインが移動平均線です。ローソク足と移動平均線の位置を見ると、下落局面のときはローソク足が移動平均線の下に、上昇局面のときはローソク足が移動平均線の上に来ます。ローソク足と移動平均線の位置関係を見ると、相場の流れが分かります。また、移動平均線とローソク足が接したときをエントリーポイントとして、押し目買いや戻り目売りを行うこともできます。また、ローソク足と移動平均線がクロスした地点ではトレンド転換の目安と判断することもできます。