仮想通貨は取引することで利益を得ることができますが、「スプレッド」をご存知でしょうか?スプレッドを正しく理解することは、仮想通貨のトレードで損をしないためにも非常に重要な要素になります。そこで今回は、仮想通貨取引で重要な「スプレッド」について、仕組みや各取引所のスプレッド、対策などを解説していきます。

仮想通貨のスプレッドとは

「スプレッド」とは、仮想通貨を取引する際の購入価格と売却価格の「差額」のことを指します。例えばAという取引所で1BTC=100万円で購入できるとします。そして売却価格は80万円だったとします。スプレッドは購入価格-売却価格のため、100万円-80万円=20万円となります。つまり、この時のスプレッドは20万円ということになります。

このタイミングでビットコインを購入してすぐに売却した場合には、20万円を損することになります。そのため、ここで損をしないためにはビットコインの価格が上昇するのを待たなければなりません。

しかし、スプレッドはその時々によって変動します。もし、スプレッドが5万円だった時に1BTCの購入価格が100万円だったとします。スプレッドが5万円ということは1BTCの売却価格は95万円となりますが、ビットコインの価格も常に変動します。そのため、購入時は100万円だった1BTCが110万円に上昇した場合にスプレッドが5万円のままならば、売却価格は105万円のため「5万円」の利益を出すことに成功します。

つまり、変動するスプレッドは幅が狭いときほど利益を出しやすいということです。そして、スプレッドはタイミングだけではなく各取引所によって違うため、より多くの利益を出すためにはスプレッドの幅が狭い取引所を選ぶことが重要なポイントになります。また、もしスプレッドの幅が広いタイミングや取引所で購入した場合には、その後利益を出すことは難しくなりやすく、仮想通貨のトレードにおいて損をしやすいことにつながります。

スプレッドの仕組みについて

仮想通貨の取引所には「販売所」と「取引所」があります。「販売所」では販売所から仮想通貨を購入することになり、「取引所」はユーザー同士によって仮想通貨のトレードが行われます。そして、スプレッドは「販売所」を利用した時にだけ発生します。

「販売所」を利用して仮想通貨を購入する場合には、設定された仮想通貨の価格に従って購入することになります。しかし「取引所」を利用した場合には、自分が指定した仮想通貨の価格で購入することが可能になります。例えるならば、販売所は仮想通貨を販売している「お店」となり、取引所は「オークション会場」のようなものです。

そして、販売所でのみ発生する「スプレッド」は、手数料として回収されます。つまり、スプレッドは取引所の収益となるため、購入価格と売却価格を設定しているのです。これを分かりやすく説明すると、仮想通貨を販売しているお店(販売所)はお店を経営していくための収益が必要になるため、販売価格-売却価格=スプレッド(利益)ということになります。

しかし、取引所を利用するには、スプレッド以外に「取引手数料」が必要になります。そのため、「販売所」と「取引所」のどちらのタイプを利用しても手数料を支払うことになります。

ただし、仮想通貨の「販売所」では「取引手数料」は無料の場合が多くなっています。また、「販売所」では指定された価格であればすぐに購入できますが、「取引所」では価格の指定はできるもののすぐに取引が成立しない場合もある、といった特徴があります。

各取引所のスプレッドや板取引のすすめ

2018年7月現在の主な取引所のビットコインのスプレッドですが、bitFlyerは約21,000円、Zaifは約37,000円、DMM Bitcoinは約24,000円となっています。この中ではbitFlyerのスプレッドが一番狭いため、利益を出しやすいということになります。

このようにスプレッドが発生する「販売所」は初心者向けですが、より安く購入したい場合には「取引所」を利用することが良い方法です。取引所の多くは、「販売所」と「取引所」の2つのタイプを同時に提供しています。そして「取引所」でユーザー同士によって行われる取引は「板取引」と言います。

また、「板取引」での購入注文価格と売却注文価格にも「差額」が生じるため、これも「スプレッド」と呼ぶことがあります。しかし、「販売所」よりも「取引所」のスプレッドの方が狭いことが多いため、より安く仮想通貨を購入する場合にはやはり「取引所」を利用することになります。

スプレッドが変わるタイミング

ほとんどの取引所ではスプレッドが常に変動しています。変動するタイミングには傾向があるため、その傾向を把握しておくことも重要です。スプレッドの変動するタイミングですが、仮想通貨の価格が大きく上昇した際や暴落した場合に幅が広くなる傾向にあります。

例えば、ビットコインの価格が短時間で高騰したとします。価値の高まっているビットコインは、売却せずに保有したがる人が増加します。すると、ビットコインの需要は高まるため購入価格が高くなります。しかし、売却しようとする人は少ないため、売却価格はそれほど変化しません。この状況でスプレッドが狭いと、価格の変動に追い越されてしまうため、スプレッドの幅は広くなる傾向にあるのです。

また、取引所は収益を得るためにスプレッドを設定しています。しかし、仮想通貨の価格が大きく変動するタイミングでは、スプレッドが狭いと仮想通貨の価格の変動に追いつかない状況が発生する可能性があります。そうなると、収益となるはずのスプレッドがマイナスとなり、収益を得るはずが逆に損をすることになります。

こういった状況を回避するためにも、仮想通貨の価格変動が大きいタイミングではスプレッドの幅は広い傾向にあります。つまり、Aと言う仮想通貨が何らかの理由で高騰や暴落をしている場合には、この仮想通貨はタイミング的に利益を出すには向いていない種類ということになります。

スプレッドへの2つの対策

仮想通貨のスプレッドを理解することは、仮想通貨のトレードで利益を出すには重要なポイントです。初心者であれば「販売所」を利用することに問題はありません。しかし、仮想通貨のトレードに慣れてきた方であれば、スプレッドへの対策をすることが必要です。

スプレッドへの対策としては、簡単なことですがそれぞれの取引所の購入価格と売却価格をチェックし、スプレッドの幅が狭い取引所を利用することが1つ目の方法です。そして、トレードにある程度慣れてきたならば、板取引を利用してみることが2つ目の方法と言えます。

板取引と聞くと難易度が高く感じるかもしれませんが、自分の指定した価格で購入できるため、販売所を利用するよりも少ない費用で購入することができます。また、販売所では取引手数料が無料のことが多くなっていますが、スプレッドの幅が広く設定されていることがあるため、結果的に支払う手数料が高くなる場合もあります。

そして、販売所を利用しての購入は簡単な方法ですが、投資対象として仮想通貨を見た場合には、「安く購入して高く売却する」ことが基本です。そのため、これからさらに仮想通貨で利益を出したいと考えた場合には、板取引ができる「取引所」を利用してみましょう。