ビットコインに次いで人気のあるイーサリアム。時価総額が第2位であるため、多くの人が関心を持っていることが分かります。では、そのイーサリアムとはどんな仮想通貨なのでしょうか。この記事では、イーサリアムの特徴やメリット・デメリット、同じような名前のイーサリアムクラシックとの違い、課題と将来性を解説していきます。
イーサリアムとはどんな仮想通貨?
イーサリアムとは、現在時価総額が約3兆3,000億円を超えビットコインに次いで第2位となっている仮想通貨です。ロシア人のヴィタリック・ブテリンによって2013年に開発され、2015年7月30日に公開されました。なお、開発者のヴィタリックは、驚くことに19歳の若さでイーサリアムを開発しています。そして、2018年8月現在の1ETH=約32,000円となっており、高い人気を誇っています。
イーサリアムの大きな特徴は、「スマートコントラクト」と「分散型アプリケーション(dApps)」にあります。この2つはイーサリアムのメリットでもあるため、次の章で解説していきます。加えて、イーサリアムのデメリットも紹介します。
そして、イーサリアムはビットコインよりもブロック生成時間が速いことも特徴でメリットの1つといえます。ビットコインはブロックの生成に約10分の時間を要しますが、イーサリアムは約15秒という短い時間でブロックを生成することができます。また、送金手数料もビットコインよりも安いため、少額の決済に向いている仮想通貨と言えます。このこともメリットと言えるでしょう。
なお、「イーサリアム」とはスマートコントラクトや分散型アプリケーション(dApps)を実行するためのプラットフォーム名で、そのプラットフォーム内で使われる通貨も「イーサリアム」と言います。
イーサリアムの3つのメリット
イーサリアムには、大きく分けて3つのメリットが挙げられます。1つ目のメリットは「スマートコントラクト」です。スマートコントラクトとは、ブロックチェーン技術を応用した電子契約機能を意味し、ブロックチェーン技術を使っていることから改ざんできないことが大きなメリットです。そして、契約を自動的に履行する機能も併せ持っています。このスマートコントラクトが広く普及すれば、これまでは必ず人の手が必要だった不動産の契約やレンタカーを利用することなどが自動で行えるようになります。また、契約を自動履行する機能もあるため、追加で料金が発生した際には自動徴収することも可能になります。
2つ目のメリットは「分散型アプリケーション(dApps)」です。分散型アプリケーション(dApps)とは中央に管理者が不在の非中央集権的なアプリケーションを意味します。この技術は、ブロックチェーン上に新たなトークンを作りやすいというメリットに繋がります。このメリットを活かし、仮想通貨による資金調達方法ICOの際にはイーサリアムをベースとしたERC20という仕様が多く使われています。つまり、ICOで発行された仮想通貨も分散型アプリケーション(dApps)の1つと考えることができるのです。
3つ目のメリットは、有名企業がイーサリアムをビジネスに活用していくためのプロジェクト「EEA(Enterprise Ethereum Alliance)」に参加していることです。「EEA」にはTOYOTAやMicrosoft、JPMorganなどの有名企業が参加しており、イーサリアムに大きく期待していることが分かります。そして、これらの有名企業が参加しているということは、ビジネスや新たなサービスの展開がされやすく、イーサリアム自体の価値も上昇していくことにつながります。
以上の3つのメリットがイーサリアムがビットコインに次ぐ人気の仮想通貨である理由です。
イーサリアムの2つのデメリット
一方で、高い人気を誇るイーサリアムですが、開発が遅れていることがデメリットの1つとなります。本来であれば2017年中に「メトロポリス」というアップデートが完了している予定でしたが、現在はこの前半である「ビザンチウム」が終了している段階となっています。このような開発の遅れはマイニングの難易度の上昇につながってしまい、マイニングを行うマイナー離れという結果を招いているため、デメリットの1つと言えます。
2つ目のデメリットは、スマートコントラクトのプログラミングコードが非常に難解なことです。「Solidit」というコードが採用されていますが、まだ仕様が変更されることがあるなど確立したものではないため、正しく理解できる人が少ないのが現状です。スマートコントラクトには電子契約機能があるため、コードが分かる人が少ないことは契約内容に影響を与える可能性があります。つまり、内容がよくわからずに契約してしまう可能性がある点がデメリットとなります。
イーサリアムは将来が非常に期待されていますが、このような点がデメリットとしてあります。今後さらに発展させるためには、この2つのデメリットを早く解決することが鍵になると予想されます。
イーサリアムクラシックとの違い
イーサリアムとイーサリアムクラシック、同じような名前ですがこの2つはそれぞれ違った仮想通貨です。イーサリアムクラシックは、The DAO事件と呼ばれる盗難事件の際に生まれた仮想通貨です。この事件は2016年6月17日に起こり、360万ETHが盗まれてしまいました。そして、イーサリアムは盗まれた事実を無かったことにするためにハードフォークを行いました。しかし、この対応は中央集権的だとして反対した人たちがおり、イーサリアムからハードフォークを行って生まれた仮想通貨がイーサリアムクラシックです。
2つのシステム的な違いはそれほどありませんが、違いの1つにブロックの承認方式があります。イーサリアムとイーサリアムクラシックはPoW(プルーフオブワーク)という同じ承認方式を採用してきましたが、イーサリアムはPoS(プルーフオブステーク)に移行する準備を進めています。PoWはより能力の高いパソコンほどマイニングに有利になりますが、PoSは保有しているイーサリアムが多いほどマイニングの難易度が下がるという特徴があります。
また、現状では価格に圧倒的な差があることも違いとしてあげられます。2018年8月現在の時価総額はイーサリアムが約3兆3,000億円で第2位となっていますが、イーサリアムクラシックの時価総額は約1,544億円で第11位となっています。
イーサリアムの課題と将来性
これからイーサリアムに投資したいと思ったら、今後解決していかなければならない課題だけでなく、メリットやデメリットにも目を向けていく必要があります。イーサリアムの課題の1つはスケーラビリティ問題です。スケーラビリティ問題はイーサリアムに限った話ではありませんが、人気があるということは利用者が増加することを意味します。すると取引の承認にかかる時間が増加してしまいます。
しかし、イーサリアムは「メトロポリス」の次のアップデートである「セレニティ」に導入予定の「Casper」というアルゴリズムによって、取引の承認速度が向上する見込みとなっています。もう1つは、イーサリアムのメリットであるはずのスマートコントラクトが脆弱性に繋がるということです。ブロックチェーン上にスマートコントラクトを書き込むことは改ざんできないというメリットがありますが、万が一間違った情報を書き込んでしまうと修正できないことを意味し、デメリットでもあります。
イーサリアムにはこのような課題がありますが、課題が解決されたとすればその将来性は非常に大きな期待が持てるものです。特にスマートコントラクトは契約の概念さえも変える可能性があり、世の中を大きく進歩させる可能性さえ秘めていると言えます。