ハードフォーク後のビットコイン

ビットコインキャッシュは2017年8月1日にビットコインのブロックチェーンからハードフォーク(分裂)して誕生したアルトコインです。ビットコインの急速な普及によりスケーラビリティ問題を解決するために誕生しました。誕生と同時に1BCH=75,000円と高値をつけましたが、その後は暴落しほぼ横這いでした。それが2017年12月20日に高騰しました。その理由についてスポットを当てていきます。

そもそもビットコインとは何が違う?

12月20日まで乱高下はあったものの、価格がほぼ横這いだった理由はビットコインとの違いにあまり関心が向けられなかったのかと思われます。ビットコインの利用者増加に伴い、ブロックに記録できる容量の限界から、送金に順番待ちが発生する問題を解消すべく、ビットコインキャッシュが誕生しました。「これで問題は解決」、しかも「ビットコインと同量もらえてラッキー」ぐらいの認識だったはずです。

しかしその後もハードフォークが何度かあり、それでも「ビットコインの送金が遅い」「送金手数料が余分に掛かる」という事態になりました。そこでビットコインキャッシュはビットコインより処理能力も早く「こっちの方が使える」とビットコインキャッシュの利便性に気づいたのです。

●ビットコインとは別物の仮想通貨
ビットコインとは別物の仮想通貨であると認識してください。P2Pの暗号通貨という基本的な機能は変わりませんが、設計図とも言える「コースコード」がビットコインとは違います。どのアルトコインもビットコインを元に作られていますが、元に作られているだけです。

●ブロック(台帳)に記録できる容量が違う
「ブロックサイズ」という取引台帳のデータ容量がビットコインとは異なります。ブロックチェーンという台帳に取引を記載していますが、ビットコインは1MBと容量が決められいます。

10分間に1回取引台帳は更新され、10分間で1MB以上の取引データは処理できません。対してビットコインキャッシュは8MBに拡張され、より多くの取引処理が行えるように開発されました。

●開発者が違う
ビットコインは2008年にサトシナカモト氏による論文を基に世界中の技術者達によって開発が行われました。ビットコインキャッシュは2017年に入ってから提唱されたもので、ビットコインを開発してきた技術者とは異なる人たちです。(具体的に「誰か」は不明です)

ビットコインとビットコインキャッシュは使い分けができる?

ビットコインの値下がりはビットコインキャッシュへの移動の始まりなのか?ビットコインとビットコインキャッシュはこれから使い分けられる可能性があります。ビットコインは大口の取引に向いています。少額の取引のために手数料を課金してまで早く送金するのはもったいないからです。したがって大口取引の方が早く承認される傾向があります。

ビットコインを使える店舗が増えないのは、トランザクション(取引の情報処理)が遅いことにもあります。レジの前で何十分も何時間も待てませんよね。Amazonもビットコインの導入する予定はないそうです。それも決済スピードの問題があるからです。

対してビットコインキャッシュは小口でも送金時間がさほどかかりません。単純にビットコインより8倍効率がいいからです。小口ならビットコインキャッシュの方がいい、というユーザーが増える可能性があり、需要が増えれば価格も上昇していきます。

将来的に、大口決済(企業同士の取引やICOなど)はビットコイン、小口決済(個人の買い物など)はビットコインキャッシュなど使い分けられる可能性があります。

Bitcoin.comの最高技術責任者がビットコインキャッシュに乗り換えた?

2017年12月20日アメリカの著名投資家ビル・ミラー氏が1,000億円以上をビットコインに投資したと明らかにしました。そんなニュースの一方で、ビットコインの大手ニュースサイト「Bitcoin.com」の最高技術責任者(CTO)のエミル・オルデンバーグ氏が「ビットコインを売ってビットコインキャッシュに乗り換えた」と明かしました。

ビットコインは手数料が高く処理速度が遅いビットコインは「役立たず」とまで発言しています。また「ビットコインは今一番危険な投資だ。極度に高リスクだ。最近、持っていたビットコインを全部売却しビットコインキャッシュに乗り換えた」と明かしました。

以前はビットコインの取引手数料は安いと言われていた。したがって国外へ送金するには便利な通貨だと期待されてきたが、ここ1年で20セントから15ドルに高騰している。しかも送金完了までに時間もかかるのでデメリットが目につくようになってきました。

その点、ビットコインキャッシュはビットコインより処理能力も高く、取引を管理するメモリーのブロックサイズはビットコインの8倍です。オルデンバーグ氏は「ビットコイン・ネットワーク向けのサービス開発は停止し、ビットコインキャッシュ向けの開発に注力している」とも語っています。

Bitcoin.comの運営責任者が、NAGAグループのアドバイザーに

ドイツに本拠地を持ち、ヨーロッパを中心にフィンテック事業を展開する、ベンチャーNAGAグループのアドバイザーにBitcoin.com運営責任者のロジャー・バー氏が就任しました。NAGAグループは、約20億人以上入ると言われている非銀行利用者層に対し、暗号通貨のシステムを提供することによって、そういった層の自立やライフスタイルの変革をもたらそうと考えています。

新興国やアフリカには銀行口座は持っていないが、スマホを持っている人たちはたくさんいます。そこに光を当てて行こうとする考え方は、ロジャー氏も同意見です。さらに重要なのが、NAGAは暗号通貨システムを実現化するために、トークン(暗号通貨)を販売しており、そのトークン販売にビットコインキャッシュを加える決定をしました。

上記のようなNAGAの方針から、ロジャー氏もアドバイザーになることを引き受けたそうです。またロジャー自身もビットコインキャッシュの利便性と未来を期待して、積極的に投資を行っています。

仮想通貨の世界では「ビットコインの神」とも言われているロジャー氏が、ビットコインキャッシュのこれからの成長に期待していることは非常に興味深くもあります。

ビットコインキャッシュの価格とこれからの動向は?

ビットコインキャッシュは2017年8月1日に誕生したばかりのアルトコインですが、誕生と同時に1BCH=75,000円の価格まで跳ね上がり、その後は11月15日に15万円台まで高騰し、少しずつ値を上げ12月17日までは16万円〜20万円ぐらいの価格が続きました。仮想通貨に高騰はよくありますが、12月20日の時点から価格は高騰し、たった四日ほどの間で最高44万円まで一気に上がりました。その一方で、ビットコインがぐんぐん値段を下げました。1BTC=220万円まで行きましたが、12月22日現在190万円台まで下がりました。

一瞬だけ大きな下落はありましたが、この価格の値下がりは明らかにビットコインからビットコインキャッシュに移動した影響によるものです。やはり影響力のある人物が発言することで、仮想通貨は価格に直ぐ反映されます。

このコインの移動がどれほどのものになるのかは不明ですが、ビットコインが使い物にならない仮想通貨であると決まったわけではありません。ビットコインは今も企業の資金調達のために大量に使用されていますし、企業間での大口取引はビットコインの方が向いているとも言われています。

影響力のある人物たちがビットコインからビットコインキャッシュに変えているからといって、慌ててビットコインキャッシュに変える必要はありません。両コインともそれぞれの利便性はありますし、両方の価格が上がっていく可能性もあります。

様子見としてビットコインから先ずは元本分は現金化するでもいいでしょう。もう1つ大切なのは、ビットコインキャッシュもビットコインと同量を保有しておくことです。10万円分ビットコインを購入したから、無理をしてでもビットコインキャッシュも10万円分を購入しなくてはいけないというわけではありません。あくまでも無理のない範囲で保有することをおすすめします。

取引所ではお小遣い程度の少額からでも購入できます。ビットコインに対してはもう少し見守り、ビットコインキャッシュは余裕があれば保有して様子を見るようにしましょう。