インドでは2016年のデモから不安定になっていく国内事情の影響もあり投資の手段、あるいは物資の支払いにビットコインを活用しています。デジタルゴールドとしての価値のあるビットコインは現在価格を暴騰させていますので投資手段としても非常に魅力的になっています。それにしてもインドで突然の高額紙幣の廃止は誰もが驚いたかと思います。インド国内でも混乱が広がっていましたし、かなり大きな衝撃がありました。
1,000ルピーは1,800円弱と日本人にとってはそこまで高額という印象は受けませんがインドの国民には物価の違いなどから価値観も違い高額紙幣の認識になるようです。廃止した理由は偽札対策・犯罪資金への流用を避ける目的などがあり、国民がより安全に生活できるようにとられた政策です。自国の通貨の突然の廃止など経済的に不安定なインドにとってはデジタルゴールドとしての仮想通貨に注目が集まるのも頷けます。ですが、仮想通貨にもリスクはあります。リスクに対してどれだけの理解があるか、あるいは、しっかりとした対策がなされているのかが問題です。
インドでビットコインへの関心高まる
中央銀行からの一連の警告にもかかわらず、インド国内ではビットコインへの関心が高まっています。仮想通貨はリスクがあり将来性も不透明な投資とはいえそのボラティリティには定評があります。昨年11月の非営利移転に伴い、仮想通貨はより魅力的ものへとなっています。先週ビットコインは200万円の壁を越え、約230万円の高値を付けました。その後160万円付近まで下落し現在は200万円近くで推移しています。
マネジメントスクールでフィンテックプログラムのディレクターを務めるヴィクラム・パンダ氏は「ビットコインでは昨年夢を見せてもらいました。インドの国民も他の国同様、短期間で大きな利益を得ることを期待しており投機に魅了されています。」と語っています。10月上旬からビットコインの価格は3倍以上に上昇しており、5月からの半年間では約15倍上昇と急上昇しています。その急激な増加は新たな投資家を引き付け、需要をされに押し上げています。
世界中でビットコインの評価は改善され投資対象として認識されていっており、今後より発展していく可能性の高い仮想通貨は自国の通貨が不安定な国にとっては信頼できる資産になります。ビットコインの取引は取引をするすべての人の間で公開されており、取引履歴を追跡すれば最終的に個人にたどりつくことができます。これにより犯罪を防止することが可能になりましたし、セキュリティ関連もブロックチェーン技術により過去取引の改ざんや二重支払いなどは不可能になります。偽札や偽造といった犯罪に有効的でありシステム面でビットコインへの信頼は大きくなっていくでしょう
機関投資家もビットコインに注目している
世界規模の取引所の一つが仮想通貨の先物取引を開始すると発表がありましたが、仮想通貨に関連するものに目を向けており、これを逃がす恐れがあることを懸念しています。
ビットコインをはじめとした仮想通貨の取引プラットフォームであるBuyUcoinの共同設立者兼最高経営責任者(SEO)であるシヴァム・タクラル氏は「以前の時とは異なり、銀行の固定預金、貯蓄政策、ミューチュアルファンド、金に預金したり投資したりするのではなく、ビットコインへの投資をより意識している。」と語っています。
世界中で仮想通貨が注目さており、仮想通貨で得られる利益を逃さないようにと投資家達は常に意識している状態です。仮想通貨はデジタルゴールドとして価値を認識され、さらには先物取引も始まっています。今後より大きく発展していくことが予想される仮想通貨ですが、私たちの暮らしにも一定の変化をもたらしそうです。その動向により注目しておく必要がありそうですね。
ビットコインがライフスタイルにもたらす変化
ビットコインは現在、レストランやスーパーなどの小売業の決済手段、その他にもビジネスとして増加しており、インドでは現金の流動性が悪化するにつれて、商品・サービスの支払い手段は新しく仮想通貨に移行しつつあります。インド政府は流動性が悪化した現金に対する国民の依存を軽減するため、仮想通貨による取引、決済を投げかけていますが、それが完全に浸透するには至っていません。インドの財務相Arun Jaitleyは「政府が仮想通貨を合法的な入札として認識していない」と述べており、彼は以前もこれらの通貨を規制するものはないと強調しています。ビットコインなど仮想通貨が完全に生活に普及しているわけではありませんが、徐々に仮想通貨で決済できる企業が増えているのも事実です。
インドでビットコインウォレットを保有していればアマゾン・Make MyTripeの商品券を購入することができますし、Unocoinによれば2000を超える商店がビットコインの利用を開始し、インド最大の書店であるSapna Book Houseも仮想通貨での支払いを導入しました。仮想通貨は利便性の高さからより一層、生活に強く根付いていくことでしょう。ましてインドでは資産のリスク管理の観点からも仮想通貨を利用する人口は増え、加速度的に普及していく可能性もあります。近い将来、レストランでの食事の決済も、日用品の購入も、公共料金の支払いに至るまでビットコインですべて決済できるというのが日常になっているかもしれません。
仮想通貨のリスクについての警告
勢いよく普及していく仮想通貨ですが、当然リスクがありインド政府もそのリスクについて触れています。インド中央銀行(RBI)はビットコインと他の仮想通貨への投資のリスクについてある警告を発しました。仮想通貨の認識の変化と初期コインの急速な増加に伴い、詐欺などのトラブルが起きることを懸念しており、また、中央銀行はICOなどの制度の活用、企業ごと独自の仮想通貨を扱う企業に対して、いかなる許可もライセンスの発行もしていないと強調しています。
ヴィクラム・パンダ氏は「インドでは暗号通貨取引を支配する特別な法的仕組みはなく、現在は自主規制されています。ビットコインがどのように大規模な金融界に広がっていくのかについては誰も完全にはわかっていません。」と述べられておりシヴァム・タクラル氏も「インド中央銀行の仮想通貨のコントロールは不十分であり、規制のされていない暗号通過への投資は知識の少ない人々にとっては危険だ」と仮想通貨に対して知識の浅い方たちの投資を懸念されています。さらに「ビットコインをはじめとした仮想通貨は広く普及していることと、暗号通過技術が中央管理下にないことからも、仮想通貨の利用を直接的に支配できず、追跡したり停止したりといったことが難しくなった」と述べてあります。
ビットコインへの関心は企業にも
インドの多くの企業は現在、ビットコインに大きな関心を寄せています。その中の一つとして、バンコクに本社をおくUncooinであり、同国で最大のビットコイン取引所を運営している業界初の参入企業です。2013年サービスが開始され15万人以上の人がビットコインの取引に利用しています。同社は2016年9月 投資家のコンソーシアムから150万ドルの資金を調達しグローバル展開していくと発表しています・インドでの主な仮想通貨の取引所はUnocoinとZebPayがメジャーですが今後参入してくるところも増えてくることでしょう。
そして前の章でライフスタイルの変化について触れましたが、企業側も仮想通貨を取り入れることでメリットがあり、仮想通貨を利用してより発展していこうとしています。インドのように財政が不安定・偽札の流通・現金依存により犯罪資金への流入などの問題を抱えている場合、偽装が難しく一定の価値のある仮想通貨は安全な取引手段になり偽札などの対策になります。企業にも消費者にも利用価値が高い仮想通貨はインドのみならず世界中で発展していく可能性が高いです。