仮想通貨・暗号通貨を活用した金融商品が続々と登場していく中、イーサリアムの特徴を活用して社債の発行が行われました。世界中で仮想通貨への関心が高まっていますが、特に注目しているのが米国の大手デリバティブ取引所でビットコインの先物取引が開始されることをはじめ、欧米を中心に上場投資信託(ETF)などが続々と申請されています。

一番メジャーなビットコインをはじめ、その他の仮想通貨にも関連した金融商品が登場し始めています。仮想通貨の中ではビットコインの仮想通貨をアルトコインなどと呼びますが今回は時価総額第二位を誇るイーサリアムを活用した金融商品が注目を集めています。

そもそも社債とは何か

イーサリアムを活用した社債が発行イーサリアムを活用した社債が登場しましたが、社債とは何かを簡単にご説明いたします。
社債とは、株式と同じように企業が発行して、資本市場から直接金融を活用し資金を集める資金調達法です。社債と株式の違いとしては返金の義務の有無です。株式などは株券を発券してから投資家たちが購入するという形で資金を調達します。よって業績が悪化したり倒産してしまったりしたとしても、投資家に対し返済の義務はありません。しかし社債は投資家ら融資を受ける点は同じですが、編纂の義務があります。

社債とはいくら借り入れし、いつ返済するか、利息のパーセントなどを決めて投資家から借金をするということです。社債にも普通社債、転換社債など種類がありますが基本的には普通社債が一般的です。今までは大口の投資家に対して発行されていましたが最近では個人向けの小口社債の発行も行われています。国債などの手堅い債権と比べるとリスクがありますが、より高い利回りが期待でき徐々に注目を集めている傾向にあります。

社債のリスク

社債を含め、すべての投資に言えることですが、その投資に対してのリスクをきっちり認識する必要があります。社債は利回りは信用格付けや満期期間で変動します。信用が低い、実績の少ない企業が社債を発行する場合は利回りを高くしないとなかなか融資を受けられないという理由もあります。利回りに目が行ってしまうと経営の不安定な企業に出資してしまうことになりかねないので注意が必要です。

社債は元本保証ですが、社債を発行しているのが事業会社でその会社が倒産・経営不振に陥ってしますと投資元本や利子の支払いが困難になるおそれがあります。過去には武富士やJALなどの大企業が社債を発行していますが、債務不履行に陥っています。有名だから大手だから大丈夫だろうという認識は危険です。しっかりと信用格付けなどをチェックしてリスクマネジメントをしてから投資するようにしましょう。

イーサリアムでの社債発行

仮想通貨と金融を融合させたフィンテック分野では新しい革新的な技術が続々登場イーサリアムは時価総額2位の仮想通貨です。そのイーサリアムを使って社債が発行されると発表があり過去最高値を更新しました。イギリスのLuxDeco(ラックスデコ)という会社が世界で初めてイーサリアム建てで社債を発行した会社です。LuxDeco(ラックスデコ)は高級家具や英国王室御用達の投機ブランド「ウエッジウッド」などのネット販売を手掛けており、今回イーサリアム建てでの社債を11月22日に発行しました。英国ロンドンのブロックチェーンベンチャー企業のNivaura(ニヴェウラ)が自動発行のプラットフォームを提供しました。

今回、仮想通貨建ての社債に踏み切った理由として、ニヴェウラのアブター・セラ最高経営責任者(CEO)は「仮想通貨建てでの社債の発行において最大の魅力は発行コストがほとんど掛からないことだ。」と発表しており、社債発行の際の発行登録書などの必要書類はすべてブロックチェーン上で管理し投資家との取引・資産の管理業務までを一貫してブロックチェーン上で完結するため、人の手によって保管していた従来と違い人件費がほとんどかからず、ブロックチェーン上の情報は相互監視可能で透明性や正当性が保たれるとしています。

この試みはJPモルガンやムーディーズなどと共同で製作しており今後、仮想通貨建てでの社債などを初めとして様々金融商品が登場していくでしょう。
国内でも株式会社フィスコが2017年8月にビットコイン建ての社債を試験的に発行しましたので国内でもより発展が期待され仮想通貨建ての社債の発行は近いうちに数多く登場する可能性があります。

仮想通貨関連の金融商品

仮想通貨関係の金融商品は先物取引をはじめ社債など数多く登場してきています。今後ますます発展していくことが予想されますが、メリット・デメリットをよく把握していく必要があるでしょう。取引所で仮想通貨を購入しトレードするのは少し抵抗を感じたり、仮想通貨のボラティリティの高さからリスクを感じたりして参加をためらっていた投資家にとっては、こうして参加する方法が増えることはリスクとの分散・軽減により参入しやすくなったかと思います。
仮想通貨関連の金融商品が増えることはそれだけ選択肢の幅を広げ、仮想通貨をより一般的なものへとしていくことになります。そうして重要が高まれば仮想通貨事態の価値も高まる相乗効果も期待できるでしょう。

仮想通貨などの情報技術ITと金融を融合させたフィンテック分野では新しい革新的な技術が続々と登場しています。ものすごい勢いで進化してく分野ですが、それゆえに政府の支援体制も非常に重要になってきます。なぜなら革新的な投資の案件などは詐欺などの犯罪行為に利用される恐れがあるため、ある程度規制する必要があります。しかし完全に規制してしまってはフィンテク分野の発展に悪影響を及ぼしかねません。そこで解決策の一つとしてレギュラトリー・サンドボックスというものがあります。これは、英国が導入し日本でも検討が進んでいる仕組みです。前の章でお話したイーサリアムでの社債発行を行ったニヴェウラは英金融行為規制機構(FCA)による審査によってレギュラトリー・サンドボックスの適応を受けています。

日本でのフィンテック技術

フィンテック分野における発展は日本でも起こっていますが、イーサリアムなど仮想通貨を使っての社債などの旧商品が日本で普及するのかどうかは疑問が残ります。というのも社債とは信用格付けなどリスクを把握して投資をしますが、価値の安定した法廷通貨ならまだしも適正価格などの基準が未整備の仮想通貨では不安が残り投資家が積極的に投資する対象にはなりえないでしょう。みずほ証券のシニアプライマリーアナリストである香月康伸氏は「現状でも低利調達が可能で、投資家需要やシステムが確立しないうちは日本に広がるとは考えにくい。」と述べています。

ですが、イーサリアムでの社債は素晴らしく革命的だといえます。イーサリアムでは取引履歴だけでなく、いつ、だれに、いくらといった詳細な情報を管理でき、自動決済サービスとの相性も良く投資家にとってっは魅力でメリットも大きいです。
ニヴェウラのアブター・セラ最高経営責任者(CEO)は、「イーサリアムの価格がどんなに変動しても発行体は登録書に記載した通りの額を償還し、利払いをしなければならない」との述べており、通常の社債の償還・利払いと何も変わらないと強調しています。

さらにアブター・セラ氏は「日本企業に対してもイーサリアムやビットコイン建ての社債発行の機会を探りたい」と日本での仮想通貨取引量が増加していることもあり悲観なく日本での社債発行を見据えています。近い将来日本でもレギュラトリー・サンドボックスが導入され、仮想通貨建ての社債をはじめフィンテック分野が目まぐるしく発展していくそうあってほしいものです。