2017年の12月から2018年1月にかけて、ビットコインには多くのハードフォーク(分裂)が予定されています。その中の1つで、12月12日に誕生予定とされていたビットコインプラチナ(Bitcoin Plutinum/BTP)は韓国の高校生が仕組んだ詐欺だったことが判明したようです。
「ビットコインプラチナ」は韓国の高校生が空売りで儲けるための詐欺だった?
ビットコインの改良版として分岐、作成されるとされていたビットコインプラチナは、マイニング団体集中化を防ぐためGPUマイニングを用いた透明性が高い仮想通貨で、ブロックサイズの拡大で決済を迅速に行える、手数料をおさえるといったメリットがあるとされていました。
日本の大手取引所ではコインチェックのみが12月10日時点で付与を発表していましたが、その後12月20日に延期とされました。
韓国の京畿科学高に在籍する高校生は12月10日「ショートで0.16BTC儲かった」とツイートしていたのが確認され(その後削除)、この高校生が儲けるために企てた詐欺だったという噂が広がりました。高校生はレバレッジが100倍かけられる取引所を利用していたそうです 。取引所さえ巻き込んだ騒ぎが1人の高校生によるものだったとは!と驚きの声が上がりました。
ビットコインのハードフォークの幕開けは「ビットコインキャッシュ」から
2017年8月1日、ビットコインからハードフォークされたビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash/BCH)が誕生しました。ビットコインでは数年前からの取引量の増加で、データ記録のためのブロックに「スケーラビリティー問題」、つまり容量不足が生じていたため、アップデートで問題を解決することを目的として中国のマイニングプール「ViaBTC」などにより、ソフトフォークと違って互換性のない分裂、ハードフォークが行われたのです。
ハードフォークを前に、ビットコインは8月1日の取引停止などへの不安から一時、価格が暴落しました。しかし、分裂に際して保有していたビットコインと同量のビットコインキャッシュがをレットに付与されるというオイシイ特典があったことがわかると、その後はハードフォークによる特典を期待するビットコイン保有者が増えました。
コインの付与は新しいコインを知ってもらうためのサービスのようなものですが、分裂したビットコインキャッシュは初値が約2万円。数時間で6万円まで上昇しました。その後もビットコインキャッシュの価格は上昇、今やメインとする取引所ができるほどに成長しました。
このハードフォーク後、両方のコインの価格が上昇したので、この時点でのビットコイン保有者にとってはありがたいボーナスになり、ハードフォークは儲けの機会になると、注目されるようになりました。
相次ぐハードフォークで新コインが続々と誕生
ビットコインゴールド(Bitcoin Gold/BTG)のハードフォークは10月24日に分岐されました。目的はビットコインキャッシュとは異なり、ビットコインが用いているのとは別のアルゴリズムEquihash(エクイハッシュ)を使い、特定の演算能力が高い企業がマイニング市場を独占している状況を改善することにありました。
ビットコインゴールドは11月1日のリリース予定が遅れ、11月13日になりましたがわずか半日で3倍に暴騰しました。ビットコインキャッシュなどの例からもハードフォークのリリース直後は価格が暴騰しやすく絶好の稼げるチャンスとして認識され始めたことの証明と言えるでしょう。なお、ビットコインゴールドの付与については、金融庁の認可を得るのに手間取っていると見られていますが、年内に付与されるのでは、と見られています。
続いて11月25日にハードフォークに成功、誕生したのがビットコインダイヤモンド((Bitcoin Diamond/BCD)です。発表がリリース直前で、ビットコインキャッシュとビットコインゴールドに続いて3度目となったため目新しさにも欠けたのか、あまり話題にならなかったハードフォークでした。
ビットコインダイヤモンドは送金スピードがビットコインの8倍で、リプレイアタックの対策もある、安全性に配慮されたコインです。海外取引所バイナンス(Binans)では1ビットコインにつき10ビットコインダイヤモンドが付与されました。コインチェックでも付与がアナウンスされました。
回避されたハードフォークも
今回のような驚くべき理由からではありませんでしたが、他にも行われると言われたものの回避され、実現されなかったハードフォークがありました。11月16日にハードフォーク予定だった「Segwit 2x」(セグウィット・トゥーエックス/B2X)もスケーラビリティの問題解消を目指したもので、ブロックの容量を1MBから2MBにしようというものでした。
一時はSegwit 2xがビットコインの主役の座を奪うのでは、と今後のビットコインの価格の下落が心配されてもいましたが、テスト不足、取引の際の安全性が不十分という見方があったうえ、一部の反対意見が根強く、全体の理解が得られなかったため11月8日に回避が発表されました。
12月以降のハードフォーク予定は?
12月から1月にかけては、ハードフォークが目白押しとなっており、まさに「祭り」のような状態に。12月17日には「スーパービットコイン」(Super Bitcoin)がリリース予定です。決済がスピーディーでスマートコントラクト機能ゼロ知識証明、なども備えたコインです。12月中旬リリース予定のビットコインシルバーの特徴は、より参加しやすいマイニングのアルゴリズム変更です。あまり目立った新機能はなく、資本が中華系ではない点が目立っているくらいです。
23日にリリース予定のライトニングビットコインは「稲妻」という名前の通り、処理速度の速さが自慢です。機能の拡張性もあります。ビットコインシルバー(Bitcoin Silver)ビットコインゴールドに近いもので一般の人がマイニングに参加しやすいタイプと言われているもののハードフォークの時期ほか、詳細はわかっていません。
25日にハードフォークを予定しているコインは、その名も「ビットコインゴッド」(Bitcoin God)。31日には「ビットコインウラン」(Bitcoin Uranium)がリリースされます。GPUでマイニング可能ということのほかには、あまり詳しい情報が発表されていませんが、爆発的なパワーを発揮するでしょうか。2018年1月2日リリース予定なのがビットコインキャッシュプラス(BitcoinCashPlus)です。送金スピードが速く、透明性、安全性が高いことなど以外の情報がまだ少ないコインです。
情報がまだ少ないコインについてはデマやネタかも知れない、という噂もありますが、ビットコインプラチナほどの信じがたい情報が頻出して仮想通貨の世界が混乱しないことを願いたいものです。これらのコインがもらえるからとビットコインの保有を続けていたり、あわてて購入する人もいるかもしれませんが、情報に踊らされて得することだけに目を向けてしまうと危険です。ビットコインはすでにかなり価格が高騰している状態であることも踏まえて、リスクも考慮しておきましょう。
もらって損はないコインの付与を受けるには、マメな情報のチェックが欠かせません。リリースの日付がずれ込んだり、直前に発表があったりする可能性も高いので、情報が速いツイッターや取引所、該当の仮想通貨のホームページなどをよくチェックして、コインが付与される取引所の情報など、少しでも正確な情報を早くつかんでおくようにしましょう。