2017年は春に三菱東京UFJ銀行にブロックチェーン技術が導入されるというニュースで高値を更新後、ゆるやかな価格上昇にとどまっていた仮想通貨リップル(Ripple/XRP)ですが、いくつかの好材料となるニュースがリリースされたこともあって、年末に向けて価格の高騰が見られました。ニュースを追いながら、リップルの将来性を分析してみました。
リップル(XRP)とはどんな仮想通貨?
リップルはシリコンバレーの開発者により2004年に開発が始まった決済プロトコルです。2013年にサンフランシスコでスタートしたリップル社が仮想通貨として発行しました。「リップル」は発売元の社名でもあり、仮想通貨名にもなっています。ビットコインと違って、開発者や発行元がはっきりしているのもXRPの長所とされています。
リップルは決済プロトコルとして開発されたものだけに、グローバルな決済や送金が低コストで迅速に行えるのが強みとなっています。これまでの金融システムでは海外送金、決済の際には多くの中継が必要で、数千円に及ぶコストと何日もの時間がかかることも少なくありません。
実験でもドイツからカナダへの送金が数秒で可能なことが証明されたリップル社のブロックチェーン技術の導入で、従来の海外送金の問題点が解消できることに着目し、送金や決済でリップル社と提携しようとしている世界の代表的金融機関など、多くのメジャーな企業が現れたことが、リップルに対する信頼性を高めています。
決済でも、ビットコインでは10分程度かかるのに、XRPでは4秒程度で済みます。取引に最適なコインは当然リップルということになるので、仮想通貨リップルの価値も高まることになります。またリップルは認証システムとしてPoC(Proof of Conects)を使っているので、マイニングであまり電力消費しないというメリットもあります。
ロックアップ完了で懸念材料を払拭
現在、市場に出回っているXRPは383億。いっぽう、リップル社が保有するXRPは616億あるため、保有分が大量に市場に放出された時の価格の下落がXRPに対する不安材料になっていました。良いニュースが出ても価格的にもあまりぱっとしない状態が続いていたため、価格が操作されているのでは?という疑いすら持たれているような状態もありました。
この点に対応するように、リップル社は保有しているXRPのうち、2017年中は550億XRPは預託(ロックアップ)することを発表したのです。2018年度からは10億XRPずつを放出していくと見られています。このロックアップの完了を発表した12月8日以降、今まで横ばい傾向が続いていたXRPは今までにない大幅な上昇を記録しました。6位に下落していた時価総額も3位まで回復しました。
「内外為替一元化コンソーシアム」日韓送金実験は日経新聞でも話題に
「内外為替一元化コンソーシアム」は決済プラットフォーム「RCクラウド」を使ってブロックチェーン技術によって内国為替、外国為替を一元的に扱おうとする事業共同体です。SBIホールディングス株式会社とSBI Ripple Asia株式会社が事務局となっています。参加銀行は3大メガバンクを含め、61社にものぼりました。参加銀行の預金量を合わせると国内の8割名なります。ここで使われるのがリップル社のRippleNetなのです。
SBI Ripple Asia株式会社はブロックチェーンを使ってフィンテック技術を開発したり、仮想通貨による送金事業を行う会社として設立されました。この会社ではリップルが目指すところの銀行間のグローバルな送金における「ブリッジ通貨」としての役割を果たすことが実現されることが期待できます。
12月13日の同コンソーシアムでは、韓国の銀行2社と日本の銀行37行で「日韓送金実験」が行われ、日本経済新聞にも掲載されて話題になりました。成功すれば、送金コストが3割減らせることになります。2018年にはリップル社のブロックチェーンによる送金が開始される予定になっています。
また、リップルの新たな提携先のうわさが同時期に流れ始めたことも上昇の原因のひとつになったようです。うわさでは、提携先としてAmazonやUberの名前が挙がっています。提携先でも決済、送金手段としてリップル社のブロックチェーン技術が活用されると思われます。
これらの強力な好材料が揃ったことから、長く低迷していたXRPの価格が13日から急上昇、30円台から70円台までの爆上げとなり、その後も80円台をキープしています。
SBIの取引所でも採用!好材料のニュースが続くリップル
他にもリップルにプラスになりそうなニュースとして、SBIが国内外に取引所を開設する、というものがあります。国内向けの取引所「SBIバーチャル・カレンシーズ(SBI VC)」は、仮想通貨交換業者として9月末に金融庁に登録、10月末から口座開設の予約の受付を始めています。
社長の斎藤亮氏から、年明けの取引開始が12月1日に発表されました。取扱い予定のコインはリップル(XRP)、ビットコイン(BTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)です。SBIのこれまでのネット銀行運営の実績から、株式投資、FX投資を行なってきた人が資金を仮想通貨に移す流れがさらに強まることも期待できます。
仮称「SBI MAX」は海外取引所で、各国の仮想通貨を扱いますが資料にはXRP、LTCやXEMのロゴが見られました。リップル社に11%の出資もしており、リップル推しで知られる北尾社長はXRP建てを採用するのではないかというTwitterのつぶやきを社長自らリツイートしていて確かなことはまだ発表できない状態ながら、リップルの価値を高めそうな情報となっています。
SBIは香港でも仮称Digital Asset Exchangeの開設を予定、準備が進められています。こちらの説明資料にもビットコインやイーサリアム、ネムとともにリップルの画像がありました。
リップルについてはこの他にも、リップルネットワークを使う銀行間の国際会議SWELL(スウェル)を10月に開催したり、クレジットカード会社アメリカンエキスプレスと提携したりと、さまざまな評価アップにつながるニュースが続きました。12月15日にはライトコイン(LTC)やイーサリアム(ETH)とともに、ブルームバーグ端末にも登録されました。
リップルについて、証券取引所ナスダック(Nasdaq)のサイトではXRPの価格が20円前後の頃に、1年以内に110円を超えて数年後には600円になるという予測が専門家によって掲載されました。専門家からもXRPは値上がりしそうなコインとみなされているのです。
決済・送金に実用性が期待されるリップルの今後
送金、決済で今後、グローバルに活躍しそうな実用性の高さが銀行からも認められているXRPの数々の好材料に注目している投資家は当然多く、日本でも有名な投資家与沢翼氏も多額の投資対象としてXRPを選んでいます。今のうちに、と買い増し、保有している投資家も多いようです。
XRPはコインチェックなどで購入できます。現在、かなり値段が高騰した状態ですので、価格の急な下落もあるかもしれません。仮想通貨はハイリスク、ハイリターンな投資であることを忘れずに、高値での購入は慎重に考えたうえで行ないましょう。