ビットコインなどの仮想通貨はブロックチェーン技術を軸に生まれた新たな通貨です。仮想通貨は中央管理ではなく個人個人が管理しており、それを可能にしているのがブロックチェーン技術です。

ブロックチェーン技術とは一定期間ごとにブロックと言われる情報体を作成し連結していくことにより、改竄などのリスクを減らし安全に管理できるよう作られた技術です。そしてこのブロックを作成する作業をマイニング(採掘)と言います。つまりビットコインの売買、送金などにはマイニングが必要不可欠なものとなります。マイニングによってブロックを生成することができれば成功報酬として仮想通貨を獲得することができます。こうして世界各地でマイニングをする人が続出していました。

その中でも突出していたのが中国です。中国では電気代が日本の1/3と安く、莫大な電力を消費するマイニングには理想的な環境でした。中国人によるマイニング作業が大きなシェアを得たのですが、その中国でマイニングを含め仮想通貨に対する規制が強化されてきています。

マイニングプールとは

仮想通貨に必須なマイニングに暗雲マイニングプールという言葉があります。聞きなれない言葉かもしれませんが徐々に日本にも浸透してきているかと思います。マイニングプールとは大勢人が集まってマイニング(採掘)をして仮想通貨の大きな報酬を得て、それを協力したメンバーで報酬を分配しようとする試みです。

冒頭で少し触れましたが、マイニンングはビットコインに必要不可欠なものです。そしてブロック生成に一番初めに成功すると報酬を得ることできます。ブロックは10分間に一つ作成され成功すると12.5ビットコインが報酬として支払われます。

現在ビットコインの価格は180万円ほどですので、一回のブロック生成の承認により約2200万円相当のビットコインが与えられます。10分に一回2200万円を得る機会があるという事実が多くのマイナー(マイニングを行う人)を生み出しました。

ですがビットコインの価格が上昇していくにつれ報酬も上がり参加者が増え一般的なパソコンでは処理速度がおそく個人で報酬を獲得することは非常に難しくなりました。そのため多くの人が集まりスーパーコンピューター等を使いマイニングを行い、報酬を分配する仕組みが生まれたのです。処理能力が大幅に向上したことにより、消費電力も大幅に上昇しました。そのため電気代の安い中国では非常に人気が高まりマイニングプールのシェア上位を独占する形となっています。

規制強化の理由と規制内容

マイニングシェア一人勝ち状態の中国に規制強化世界最大規模のマイニングプールを持つ中国が仮想通貨に対する取り締まりを強めています本土の取引所での仮想通貨取引停止や新規仮想通貨公開(ICO)禁止など、他の多くの経済大国より厳しい措置を講じており、ビットコインをはじめとした仮想通貨の急激な高騰に警戒し無謀な上昇を抑制する役割を担っています。

中国ではここ10年間、株式市場から不動産に至るまで相場の浮き沈みが見られ、大きなキャピタルゲインを得られる反面そのリスクが大きくなっています。また、習近平国家主席が最も懸念しているのは経済における金融リスクであり、仮想通貨に対する規制もその一環として行われています。結果として、かつて世界の仮想通貨において圧倒的だった中国の影響が現在低下傾向にあります。

中国では仮想通貨の取引は認められていないのでしょうか。ビットコインなどの価格は大きく上昇し時価総額も通貨としては世界で6番目にまで上り詰めました。取引も世界中で行われており、そのボラティリティの高さから多くの利益を出すトレーダーも続出しています。これが規制されてしまえば中国から仮想通貨離れが加速する恐れがあり一気にバブルが弾ける可能性も出てきます。今のところ取引自体の規制はありませんが、今後手数料の引き上げや何らかの規制が行われることは十分考えられます。

中国は仮想通貨には反対なのか

大規模なマイニングプールの規制など仮想通貨に対しての規制をより厳しいものにしてきた中国ですが、中国政府は仮想通貨に反対なのでしょうか。中国が大きく規制する仮想通貨に反対だという意見は、多少なりともあるでしょう。では、全く否定的なのかと言われれば決してそうではありません。

中国人民銀行は独自の仮想通貨プロトコルを試験運用しており、主要な中央銀行として初めて仮想通貨を発行する可能性があります。しかしビットコインなどの中央管理局を持たない仮想通貨とは違い中国で発行される仮想通貨を中国は完全にコントロールする事を狙っています。

規制による影響 送金速度

中国でのマイニングが規制されると、ビットコインの取引に少なからず影響が出ることが予想できます。マイニングではかなりの電力を消費しますので、電気料金や半導体コスト、労働力の安い中国で盛んに行われました。しかし、規制によりマイニングファームを別の場所に移す企業が多く出てきています。

現在、マイニングを行っているビットメインなどは本拠地をシンガポールに移しました。さらには米国・カナダに施設の移設が行われておりBTCトップもカナダに新たな施設を開設しています中国の仮想通貨取引所であるウォレットサービスも本土を離れ香港にOTCショップを設けるなどして対応しています。ビットコインの半数のマイニングを行っている中国が規制されると、ビットコインのブロック生成に影響を与えることになり売買や送金に影響が出ることが懸念されています。

今回の中国規制のニュースが世界に配信されたときビットコインの価格には大きな影響はありませんでした。しかし今後のビットコインのあり方には強い影響を及ぼしています。マイニングにかかる電力量は徐々に大きくなっており、解決しなくてはならない問題です。
よりクリーンなエネルギーの使用が求められより少ない消費電力でのマイニングを要求されるでしょう。そうなったときに中国の規制は仮想通貨に影響する可能性が高いです。

また今回の規制により仮想通貨に対して足かせになり始めていると指摘するアナリストもいるので、規制に関する情報には注目しておく必要があります。

中国以外での規制の流れ

規制の流れは中国以外でも見られています。その一つとして仮想通貨の取引が盛んな韓国が挙げられます。韓国当局では仮想通貨を利用したマネーロンダリングを取り締まる一貫として一部の銀行の調査をしており、取引所も規定を満たした取引所にのみ仮想通貨の売買を許可しています。

トレードにおいてのキャピタルゲインにも課税する方針も出ています。またアメリカ証券取引委員会(SEC)は」昨年末にはICOの取り締まりにも着手しており、仮想通貨が金融商品としてより正当な取引所でのみの運用で信頼性を高めている。

本格的な取引の規制は行われていませんが、今後行われる可能性は否定できません。もしマイニング等の規制が進めば仮想通貨に対して大きな打撃になります。仮想通貨はブロックチェーンのブロックを生成するマイニングが必要不可欠です。

現在はカナダ、アメリカ、シンガポールなどでマイニングファームの建設が進められていますが、マイニング時における電力使用量の問題を解決しないと仮想通貨はいずれそのシステムを保てなくなります。

世界最大の複合会社バークシャー・ハサウェイのCEOであるウォーレン・バフェット氏は「仮想通貨は必ず崩壊する。それがどのような終わりをいつ迎えるかはわからないが、必ず終わりを迎えるだろう」と仮想通貨に否定的な意見をのべておられます。どのような根拠で発言されたのかは不明ですが、マイニングの電力問題、仮想通貨に対する過剰な投資、ブロックチェーン技術のほころびなど理由は挙げられますが、著名な経営者の中には仮想通貨はインターネットが普及した依頼の革命だといわれる方もいます。今後の仮想通貨の規制が発展にどう影響するのか注意が必要です。