2017年は「仮想通貨元年」とも言うべき年で、ビットコインを始めとした暗号通貨の知名度が上がり、価格も上昇しました。2018年はどうなっていくのでしょうか。価格と実用化という2つの観点から検証してみましょう。

2017年末は急騰と急落をみせたビットコイン

仮想通貨市場の2018年の見通しビットコインは12月22日に暴落し、一時12000ドル未満にまで落ち込んでしまいました。他のコインも価値が下がり、値上がりした銘柄はわずか2つにとどまりました。このような暴落の原因は誰にもわからず、仮想通貨業界が混沌としていることを象徴しています。

ビットコインは12月28日に再び急落しました。韓国が投機熱抑制のため、取引所を閉鎖すると発表したのが原因と見られます。同国では2017年のビットコイン急騰の中、仮想通貨への関心が高まっています。世界でも注目されているだけに、閉鎖の可能性があるという今回の発表は新たな警鐘になりました。

韓国政府は「仮想通貨の投機熱は異常なほど過熱している」として、「これ以上は放置できない」と断言。仮想通貨の取引を実名で行うことや、銀行が仮想通貨の取引所に口座を提供するのを禁止しました。今後も監視を行いながら、厳格な処置を検討しているとのことです。投資家にはあまりいい知らせとはいえないでしょう。

社名に仮想通貨関連の言葉を加えただけで株価が高騰するという事態も起きています。Long Island Iced Tea Corpという会社は、無名のアイスティー会社でした。昨年12月22日に社名をLong Block-chain Corpにしたところ、株価が275%まで上昇。2380万ドルに過ぎなかった時価総額が1億3800万ドルまで跳ね上がった場面もありました。

こういった話題は笑い話の一つに過ぎないかもしれませんが、同社はブロックチェーン関連の事業に乗り出すことを公表してます。似たような事例は他の会社でも確認されており、暗号通貨騒動の狂気じみた雰囲気を象徴しています。米国証券取引所は小規模会社が仮想通貨関連の社名変更で利益を得た場合は、厳しく取り締まる方針にしています。

2018年は更に高騰するか? アルトコインも上昇する可能性が

2017年初頭に1000ドル弱だったビットコインが急騰した理由は明らかではありません。金融機関が前向きな姿勢を示したことが要因だとされていますが、確かなところは不明です。2018年は更に仮想通貨への理解が進むと見られ、Goldmanは仮想通貨関連の商品を取り扱うことを視野に入れています。

投資家のエリック・ジャクソン氏は、2018年には年金基金などの機関投資家が、ビットコイン投資を可能にするサービスを始めるだろうと予想しています。多くの非公開企業や上場企業から提供されれば、さらなる価格上昇が見込めるだろうとしています。ビットコインはもちろん、他のアルトコインにも注目です。

リップルはクリスマス前に1ドルの壁を突破して1.37ドルを記録しました。12月はじめには0.24ドルだったことを考えると、470%の上昇です。他の銘柄が下落している中で驚異的な高騰を見せました。リップル社は送金システムの開発に着手しており、今後の動向が注目されているのです。

リップルは他のコインに比べて安定性やセキュリティに優れ、金融機関の扱いにも適しています。アルトコインに比べれば信頼を置くことができ、投資にも向いていると言えるでしょう。幾つかの金融機関がリップルの導入に関心を示しており、2017年にはアメリカン・エキスプレスと業務提携を結んでいます。リップル社はアジアを最大の市場としているので、日本での活躍も期待できそうです。アジアの投資家もリップルを支持しており、2018年も高騰していくと考えられます。

注目銘柄はイーサリアム

仮想通貨の実用化とアルトコインの上昇ビットコイン以外で注目のコインといえば、イーサリアムです。スマートコントラクトというブロックチェーン技術を搭載し、時価総額もビットコイン、リップルについで三番目です。価格も10万円前後で安定しており、大手企業が投資しているという点でも信頼が置けます。2018年はさらなる値上げが期待されています。

1月3日未明には914ドルを記録して高値を更新しました。12月1日の時点では440ドルだったので、2倍以上に跳ね上がっています。スマートコントラクトは実用化が進んでおり、不動産業界などで仲介業者に取って代わる存在になると言われています。投資目的で参入する人が多い仮想通貨市場ですが、実用面ではイーサリアムが最も有力です。ビットコインで決済できる場所も増えていくので、実用性の高いコインが上昇すると考えるのは理にかなっているでしょう。

他の通貨で言うと、モナコインは決済方法として普及していく模様で、すでにネット上では支払いに使用できるようになっています。国産銘柄であることもあって、2017年初頭から急騰しました。現在(1月3日時点)で1100円前後なので、買い増すならいいタイミングです。モナコイン、イーサリアムは2018年は価格上昇が見込めます。

2018年の展望は、仮想通貨市場が拡大するとともに、実用化も進んでいくと見込まれます。日常生活でも使えるようになれば、認知度と信頼性も上がるでしょう。そういった流れになれば、マイナーコインの価格が上昇することも予想できます。仮想通貨の情報はネットで簡単に手に入るので、興味のある方は調べてみて、実用化できそうなコインに投資してみることをおすすめします。

仮想通貨は生活に欠かせない存在に

ブロックチェーン技術を利用して銀行間の送金手数料を安くする仕組みが実用化される予定です。メガバンクを始め60の銀行が実証実験を済ませ、今年3月にはサービスが始まります。値下げ幅は各銀行によって変わりますが、最大で10分の1程度まで抑えられるとみられ、わたしたちの生活に仮想通貨とブロックチェーンが欠かせない存在になるのは間違いないです。

犯罪にも注意が必要です。石川県の県消費生活センターでは、仮想通貨のトラブルの相談が増えています。「知人に紹介された取引所でビットコインを購入したが、手続きがうまくいかない。知人に電話をしてもつながらない」など、詐欺とおもわれる事例が複数報告されています。ビットコインの価格が高騰したことを背景に、こういった事態につながっていると考えられます。

消費生活センターの職員も仮想通貨やブロックチェーンに関する知識が豊富とは言えない状態で、今後は仕組みを理解するための研修が開かれていく予定です。このような動きが民間にも広がって、市民のリテラシーが上がれば犯罪の抑止にもつながるでしょう。2018年から仮想通貨投資を始める方は、基本的な仕組みを理解するのを優先したほうが得策です。

北朝鮮が仮想通貨のハッキングに成功したことも重要なニュースです。韓国企業のサーバーに侵入し、モネロという仮想通貨の採掘に成功しました。当時の価格で約282万円相当を盗み出したことになります。国家単位でも犯罪やハッキングが行われる時代になってきました。市場の大きな日本も注意が必要です。個人投資家の方も、取引所を利用する際は二段階認証をするなどセキュリティには十分気をつけてください。

仮想通貨市場は、2018年以降は成熟してくると見られます。時価総額も上がり、取引を始める人も増えてきます。人気銘柄の価格は安定し、初心者でも参入しやすくなる反面、犯罪の危険もつきまといます。資金には余裕を持ち、知識を身につけるように心がけてください。仮想通貨投資を楽しみ、実用化の恩恵にあずかることで、更に便利な世の中になっていくといいですね。