2017年は仮想通貨元年と呼ばれており、有名な仮想通貨はどれも10倍以上値上げするほどに市場は高騰していました。今後、現行通貨と仮想通貨が市場の基軸を入れ替えるのではないかと噂されるほどに仮想通貨は知名度を上げましたが、それをよく思わないのが、各国の銀行機関と富裕層です。世界の基軸通貨が入れ替わってしまうと、国の固有通貨が流通量を減らすために資産価値が下がり、固有通貨を資本とする富裕層たちはあっという間にその資産を目減りさせてしまいます。結果的には現在の資産家たちが消えて新しい資産家が生まれる事になるのですが、そうなる前に世界各国は仮想通貨に対して対策を始めました。

韓国が仮想通貨市場に規制をかける

2018年1月11日、韓国政府は仮想通貨の実名制度(匿名口座禁止)を推し進め、投資家保護のために過度な仮想通貨投機と不法行為に対し厳しく対応すると発表しました。そして追い打ちをかけるように、18日に崔鍾球(チェ・ジョング)韓国金融委員長は国会議員への答弁で「(政府が)国内のすべての仮想通貨取引所、または法に違反している取引所の閉鎖を併せて検討している」と発表したことで、投資家たちは仮想通貨の衰退と世界規模の規制を感じて金などに金融資産を逃がし、結果としてほとんどの仮想通貨が20%以上の価値を落とすことになりました。

これに仮想通貨を推進していた日本政府が反応し、麻生太郎財務相は中国や韓国が取引の規制を強化していることについて、「何もかも規制すればよいものではない」との見解を示し、韓国内においても投資家たちの反発が多かったために韓国政府は声明を出した翌日に仮想通貨取引所閉鎖法案を撤回しました。

中国政府が国内仮想通貨エコシステムの取り締まりを強化

海外ニュースを取り扱うBloomberg社によると、中国当局は、中国内部からの取引を行える国内外の取引所へのアクセスの遮断措置を検討しているとのことです。中国元の市場価値が下がる事や、中国政府の管理外で取引される事を嫌う中国の仮想通貨に対する規制は日ごとに増しています。それは取引所の手数料有料化を義務付けることから始まり、取引規制の導入、中国内におけるICOを利用した資金調達の凍結、仮想通貨の取引所を全面閉鎖するほどの徹底ぶりです。

中国公安省にとって仮想通貨の存在はオンラインねずみ講と同等と考えられているため、1月19日のオンラインねずみ講取り締まりの対象に仮想通貨が組み込まれました。その処罰は厳しく、1月にねずみ講詐欺で20万人以上から156億元(24億4000万ドル)をだまし取った2人に終身刑を言い渡していますが、これが仮想通貨によるものなのかは定かではありません。

中国、韓国に続きドイツとフランスが仮想通貨の規制を提案

世界各国が仮想通貨の規制を開始2017年10月に国際通貨基金(IMF)の長官クリスティーヌ・ラガルト氏による「ビットコイン(仮想通貨)の影響は無視できない」と発言して以来、当時ユーロを共通通貨としていたヨーロッパの代表ドイツは仮想通貨に対する抵抗意思を表していました。

そして1月18日にパリで行われた共同記者会見で、ルメールフランス経済・財務相は「われわれは同様の懸念をいただいており、ビットコインを規制したいという考えを共有している」と発表しました。しかし彼らは仮想通貨を否定しているのではなく、ビットコイン取引のリスクを共同で分析したうえで規制案をつくり、3月にアルゼンチンで開かれる主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での議題としたいという考えであるため、価格の急激な乱高下による取引リスクを懸念しています。同じくドイツ財務相も「市民に対してリスクを説明し、規制でリスク低減するという責任が我々にはある」と発言しており、今後はEUをはじめとし、世界レベルでの仮想通貨に対する規制を求めています。

中国の取引所規制の余波がイギリスにも影響を与える

イギリスの新聞社 The Telegraphによると、ドイツ・フランスとは別の方法でイギリス政府が仮想通貨の規制を年末年始に発表すると公表しました。イギリスの対応方針は、中国がマネーロンダリング、税金逃れを防止するために規制を始めた事に共感を示しており、政府関係者ジョン・マン氏は次のように発言しています。

「これらの新たな通貨は世界で急激に広がっているため、置いて行かれないように気をつけなければなりません − 特に資金洗浄、テロ及び純粋な窃盗についてです。」

「私は監督官庁がそれについていけているとは思いません。現状をしっかり把握しておかなければならないため、来年までに調査が行われなければ問題があると考えています。仮想通貨の発展に賛成であればそれだけ取り締まりが遅れないことの重要性が上がります。」

この発言には、ドイツ、フランスと同様に仮想通貨を否定するニュアンスは含まれておらず、むしろイギリス貴族院の議長は、DLT(distributed ledger technology)があらゆる政府のサービスに導入でき、大きな伸び幅があるという報告書を発表しました。2018年3月にはEUを離脱するイギリスにとって、国際間送金は大きな課題となるため、ブロックチェーンの技術は積極的に受け入れたい姿勢です。2015年から政府主席化学顧問のマーク・ウォルポート氏は、政府にブロックチェーンを公共サービスに導入すべきと進言しており、EUに対して6兆円の借金を背負うことになるイギリスにおいて仮想通貨は救世主となるのでしょうか。

世界各国での仮想通貨対応動向

中東にはイスラム教を信仰する国が多く、イスラム教の教えである「喜捨」という倫理を持っています。この「喜捨」には、富めるものが貧しいものに財産を分け与えるという意味合いがあり、儲けっぱなしで、財産をため込むことを卑しいこととします。儲けたなら、それを貧しいものに施すことを勧めます。ここでイスラムの教えを説くような事は行いませんが、つまりイスラム教において仮想通貨やFXのような金を使って金を儲けるという行いを禁忌とし、対価を他人に与える事で商売とする昔からある商人の倫理を持っています。そのため、中東各国の仮想通貨に対する評価は非常に厳しいものでした。

エジプトの最高指導者シャウキ・アラム師は2018年1月1日、ビットコインはイスラム教において「禁忌である」と発表し、全面禁止するファトワ(宗教令)を出しました。イスラムの教えが緩和され、ムスリマ(イスラム教独自の女性の服装)を着なくても歩ける街ができている中でイスラム法を厳格に適用させる背景には、ビットコインが資金洗浄に使われ、テロ組織に金融が流れている事を危惧しています。

トルコでは2017年11月に、現時点では仮想通貨はイスラム法に適さないと公表し、国民に対して仮想通貨の取引を控えるように呼びかけました。シムシェキ副首相によると、「ビットコインの価格は過剰に上がっており、ある日突然崩壊する」と、国民の経済低迷を危惧するとともに、 「不正な蓄財につながる」「資金洗浄などの不法行為に容易に使われる」「国家の監督下にない」という思惑もあります。

イランでは、中央銀行総裁バリオラ・セイフ氏が1月11日に「どうあってもビットコインを認めることはない」と発言しました。それ以上でもそれ以下でもないこの発言には、IOT先進国であるイランにおいて、デビットカードなど自国通貨のキャッシュレス化が進む中、新たな金融資産に自国通貨が流れてしまうのを危惧している様子がうかがえます。