開発途上国における廃棄物の現状と対応

世界人口の70%以上を占める開発途上国では、廃棄物の不法投棄やそれに伴う環境破壊などが問題になっています。具体的には埋め立てを行なうための基準が出来ていないために、産業廃棄物を処分場に野積みしていたり、注射針など焼却処分をした医療用品が野積みされていたりするところもありますし、医療廃棄物の焼却炉でプラスチックを焼却したことで壊れて放置されたままになっている焼却炉もあります。そして投棄されたゴミが燃え続けて周囲に煙害を発生していたり降雨によって廃液が処分場の周りを覆っていたりすることもありますし、雨季などでは道路が浸水してその処分場に向かうことが出来なくなることによって、途中で産業廃棄物が放棄されることもあります。

このように処分場以外で不法投棄されていたり処分場があっても埋め立て処理を行なわないで野積みをしているために、そのような処分場などの近くで暮らす人達が換金出来る廃棄物を探して素足で処分場内を歩いたりすることもあるのですが、野積みされた廃棄物からハエやネズミなどの病気を媒介する生物が繁殖することもあり、その結果伝染病の原因になることもあります。そこで日本や欧米諸国そして各種国際機関が開発途上国の廃棄物投棄に対する技術的な援助などを行なっていますが、埋め立て処分地を作ることでかかる経済的な負担が重いことなどによって埋め立て処分地が増えていかない現状があります。

プラスチックバンクが廃棄物のリサイクルに3Dプリンターを使用

開発途上国における3Dプリンターを使用した廃棄物のリサイクル開発途上国による廃棄物の処理問題の解決方法のひとつとして、プラスチックバンクは3Dプリンターによる3Dプリント交換を行なうリサイクルプロジェクトを計画しました。具体的にはアメリカや中国そしてオーストリアなどに最先端のプラスチック再処理工場を所有しているプラスチックの再処理に関して、世界最大クラスのMBAポリマーと提携して、開発途上国で廃棄されるプラスチック製の産業廃棄物を回収してプラスチック再処理工場でリサイクルを行ない、3Dプリンターによって製作された製品に交換出来るようにするプロジェクトを立ち上げ、このプロジェクトをペルーのリマを皮切りにして行われていきました。

この事によって産業廃棄物の処分場付近や河川そして海洋の環境破壊を防ぐことが出来ると同時に、周辺住民がプラスチックを回収することでリサイクルされたプラスチック製品を得られるようになり、その一方プラスチックのリサイクルを行なう事業の活性化に繋がっていくことを期待することが可能となります。

IBM独自のブロックチェーン技術を使用することで拓かれたプラスチックリサイクルの新しい世界

2017年9月にIBMは独自のブロックチェーン技術によってDDoS攻撃のような急激なデータやトランザクションの増加に即座に対応してセキュリティを高める、Linux専用のシステム群であるIBM LinuxONE EmperorⅡを発表しました。このIBM LinuxONE EmperorⅡで利用されているブロックチェーンによって外部からの攻撃による被害を防ぐだけでなく、システム管理者などの高い権限を不正に取得することで起きる不正アクセスによる被害も防ぐことが可能となりました。プラスチックをリサイクルするプロジェクトに取り組んでいるプラスチックバンクは、このIBMLinuxONE EmperorⅡで利用されているブロックチェーン技術を活用することになり、そのことによってプラスチックバンクが取り組んでいるプラスチックのリサイクルプロジェクトの信頼性を増すことに成功しました。

実際プラスチックなどの産業廃棄物に悩んでいる開発途上国では銀行が近くに存在しなかったり道路の整備が不十分であったりするなど、金融インフラの整備の遅れや、経済的に不安定な国や地域が存在しています。しかしプラスチックをリサイクルすることで得られる報酬をデジタルトークンで付与されて、そのデジタルトークンをそのような地域のモバイル決済が行なえる店舗で非営利団体が開発したアプリによって利用することで、飲料水や食料などに交換を行なったり公共料金を支払ったりすることが可能となりました。このようなことから開発途上国で不法に廃棄されるプラスチックのリサイクルをブロックチェーン技術によって解決する試みは、今後注目されるブロックチェーンの活用法のひとつになり得ます。