ネパールではビットコインの取引は違法であるとの見解
仮想通貨は投資目的だけでなく実店舗での支払いなどの決済に使用することが出来、日本においてもビットコインなどの仮想通貨を決済で使用することが出来る店舗が増えてきていますが、仮想通貨を違法とみなして仮想通貨の取引を禁止しようとする動きがある国も存在しています。
例えばネパールでは長年ビットコインなどの仮想通貨の取引は違法であるという見解を表明していましたが、2017年10月7日に政府からの指示を受けた中央銀行がビットコインの取引を禁止していて、それに伴ってネパールにあるビットコインの取引所であるBitsewaが同日にビットコインの交換業務を停止することを発表しましたが、その事によってBitsewaに登録している利用者のデータの削除が行なわれました。
ネパール中央調査局の許可をとらないでビットコイン交換事業を行なっていた疑いで7人が逮捕されるなど、仮想通貨取引に関して今までで最大の逮捕者を出していて、有罪が確定すると取引量の3倍を賠償金として支払ったり、懲役3年以下の懲役刑が課せさせられたりすることになります。
中国がIOCを禁止にした2つの原因
中国では独自に仮想通貨を発行することによって資金を集めていくIOCが急増していましたが、2017年9月4日に中国人民銀行などの金融当局がIOCを禁止することを発表し、その事によって中国国内の仮想通貨の取引所は一部を除いて次々と停止していきました。このようにビットコインのIOCを禁止した背景として、仮想通貨がマネーロンダリングや詐欺などに利用されたり、為替対策でビットコインなどの仮想通貨に資金が流入したりすることなどがあり、それらの弊害を防ぐ目的がありました。
そして金融機関は中国銀行規制委員会や中国保険監督管理委員会などから免許を取得して事業を行なう必要がありますが、中国内で仮想通貨の取引を行なう場合にはライセンスがないプラットフォームを使用していることも、資金がビットコインなどの仮想通貨に流れていく目的が見えてこない原因にもなっています。
憲法を公布しルール作りが完了するまでは違法として仮想通貨の取引は禁止
中国でビットコインのIOCを禁止する動きがある中で、ネパールでもビットコインの取引を違法として禁止することが決定して逮捕者も出るようになったのには、ネパールと中国の歴史的な関係性とネパールの国内事情があります。ネパールでは1768年~2008年まで国王による親政が行われていましたが、1990年に民主化を求める運動が起こり国民の手による新憲法を制定して民主的な国家を求めるマオイストの活動が高まっていき、その結果ネパール制憲議会を設立して選挙を行ないました。そしてその選挙の結果マオイスト活動を行なっていた毛沢東派が過半数に至らなかったものの選挙に勝利して第一党となり、2008年5月28日に王政が崩壊して連邦共和制に移行しました。
連邦共和制の中で新しい憲法の制定を行なおうと試みましたが、連邦制のあり方などで政党間で意見が食い違い、その調整がなかなかつかなかったり、法制度の整備に関して経験や知識が乏しく憲法の草案を作ることに慣れていなかったりすることもあり、2010年5月28日までに新憲法の公布を行なう約束になっていましたが、草案作りに時間がかかって大きく予定から遅れてしまい、2015年9月にようやく新憲法が公布されました。
しかし新憲法が公布された2015年9月~2017年10月現在までに首相が3人代わっているなど政権が不安定となっています。そしてビットコインなどの仮想通貨を取り扱えるようにするための公的な機関によるルールがまだ出来ていないため、このルールが出来るまでは仮想通貨の取引を違法として禁止にしていくという方針をネパール中央銀行は打ち出していました。
このように共産主義の毛沢東派の影響もあり中国との関係性が深いネパールですが、首相が頻繁に交代するなど政治が不安定な中で、国家の基本となる憲法の制定が大きく遅れたり、仮想通貨を取り扱えるようにするためのルールが出来ていなかったりするなど、ビットコインなどの仮想通貨の取引を認めることが出来難い状況になってることが、ネパールが仮想通貨を違法として禁止にした要因になっています。