仮想通貨といえばビットコインと考えられる方が多いと思いますが、リップル(XRP)もその可能性を大きく期待されています。GoogleやAppleなどの世界的有名企業から出資を受けていたことでご存知の方もいらっしゃることでしょう。そんな仮想通貨リップルが2017年12月に入り価格が急上昇し、時価総額ランキングではイーサリアムを抜き第2位まで上がりました。

なぜリップルの価格がそこまで上がったのかにはいくつか理由があります。そもそもリップルコインはリップル社が発行している仮想通貨です。今回は仮想通貨リップルの仕組みから、リップルの価格高騰の理由を徹底解説します。

そもそもリップルとはどんな暗号通貨?

ビットコインの欠点を補うために開発されたリップルの将来性リップルは2000種類近い仮想通貨の一種です。しかしリップルはビットコインを始めとする他のアルトコインとは大きく異なる点があります。それは、リップルコインはRippl社が発行した仮想通貨だということです。

仮想通貨は本来、中央機関が存在しないのが一般的なのです。その中でも、リップルコインは、Rippl社という中央機関があるというのはとても特殊な仮想通貨ということになります。リップルコインというのは俗称であり、正式名はXRP(エックスアールピー)です。

リップル=XRPという認識をされているかたも沢山いらっしゃると思いますが、そうではないことを確認しておきましょう。

リップル=Ripple Labs, INC.という会社名

リップル=XRP(仮想通貨)

さらに、リップル社が開発した決済システム自体を「リップル」ということもあります。

上記の内容から、リップルは仮想通貨ではない、仮想通貨市場に入れるべきではない、という声もあります。XRPは最初に1000億XRP発行され、リップル社が全てを取得しました。市場に出回っているXRPは全てリップル社が販売したもので、マイニングでリップルコインの新規発行はありません。現在もリップル社が発行したリップルの内の約60%は保有しています。

したがって一度にリップル社が市場に供給することで、価格が大きく変動するのではないかと言われていましたが、リップル社は所有するXRPのうち550億XRPについて、2017年いっぱいまではリップルは流通しないようにスマートコントラクトを利用し凍結すると表明していました。(これをロックアップとも言います)

※スマートコントラクトとは

スマートコントラクト(smart contract)を直訳すると賢い(=smart)契約(=contract)という意味になります。スマートは、「自動化」と考えるのが分かりやすいです。つまりスマートコントラクトとは契約の自動化(自動実行される契約)といえます。ここでいう「契約」とは、書面上で作成された契約のみをさすのではなく、「取引行動全般」をさします。つまりあらゆる契約行動をプログラム化し、自動的に実行しようとするものがスマートコントラクトです。

リップルの特徴とは?

現在国際送金をしようと思うと、様々な仲介業者を挟まないと国際送金ができないという非効率な方法が取られています。当然この間には仲介手数料がかかり、時間ももかかります。現行では国際送金の際に多くの仲介手数料と時間さらにリスク(多くの仲介業者を挟むため)をかけないといけませんでした。そこに着目したのがリップルです。また、リップルの送金スピードは素晴らしく早く、ビットコインでは、約10分のところ、リップルでは約5秒と言われています。

というわけで、リップルの最大の特徴は銀行間の国際送金のために作られた仮想通貨ということです。(厳密にいうと、国際送金を足掛けにもっと広いビジョンを持っていますが、目下の目標は国際送金で使われることとしています)リップルはあらゆる通貨に交換可能な仮想通貨です。また、リップルは『異なる通貨間の橋渡しの役割』などを担っているため「ブリッジ通貨」とも呼ばれています。

すでに大手企業でもリップルのシステムが取り入れらています。UBS、ユニクレジット、サンタンデール銀行などの大手銀行や、みずほとSBIホールディングスもリップルを使った実証実験に参加しています。また2017年4月、三菱UFJ銀行もリップルネットワークに加わりました。

リップルはビットコインの欠点を補うために開発された?

リップルなどアルトコインの誕生理由はビットコインの欠点を補うために開発されることが多く、リップルも同様の理由から誕生しました。銀行間取引をリップルネットワークを使い、様々な通貨とリップルが直接取引を可能にします。その際、利用されるのが現段階では、リップルコインです。リップルは銀行間取引を迅速かつ安い手数料、ビットコインより早く完結できることを目的としています。仮想通貨を使う人口が増えていくだろうと予想されていますが、まだまだ法定通貨の方が多くの人たちが使用しています。仮想通貨は中央機関を必要とせず送金手数料も格安と言われていますが、ビットコインはスケーラビリティ問題や手数料が高い問題があります。

※ビットコインのスケーラビリティ問題とは

スケーラビリティとは、コンピュータの持つ拡張性を意味し、システムの規模の変化に対応できる柔軟性を指します。 スケーラビリティが高いということは、システムの利用者数やデータ処理負荷の増大に応じてシステムを比較的容易に拡張できることを意味します。ビットコインにおいては、ブロックチェーンのブロックサイズが1メガバイト(MB)に制限されている結果起きている問題でとなります。

ビットコインの各ブロックの容量は1MBしかないにも関わらず、ビットコイン・ネットワーク上での取引量は劇的に増えてきています。現時点での、ブロックの容量では、ネットワーク上の取引の数を対処しきれていません。現段階でのブロック容量では、ビットコイン・ネットワークが効率的に捌ける範囲を制限してしまっているのです。結果的にいうと、ビットコイン・ネットワークへの取引の書き込みが、ユーザーによる取引の作成よりも遅いペースで行われているのです。

このように、バックログ(未承認取引)が溜まってくると、取引がブロックに格納されるまで何時間も待たなければならなく、ユーザーがもし取引を迅速にネットワーク上へ反映させたいのであれば、高い手数料を払わなくてはなくなってしまうのです。せっかくの新技術も使い勝手が悪くなってしまうと、結局、法定通貨でのやり取りの方がいいという人口も必ず存在します。そもそも仮想通貨を使わない人ももちろん存在します。そんな時に銀行間をスピーディーに繋げる仮想通貨=リップルXRPは画期的なコインと言えます。

リップルが高騰した理由は?

リップルの価格が伸びている理由を徹底調査XRPは2017年12月上旬まで20円台をキープしていました。それが14日以降は価格が高騰し、一気に140円まで跳ね上がりました。12月13日の日経新聞にも掲載されたことでも知名度が上がり、価格上昇にも影響したと思われます。12月15日、1XRP=約91円でしたが、そこから徐々に価格が上昇し、2018年1月4日は400円に手まで手が伸びました。時価総額ランキングもイーサリアムを抜いて第2位の位置につきました。その後、売りがあったようで価格を下げ、5日は337円前後で落ち着いています。

20円台で保有していたユーザーにとってこの高騰はかなり嬉しい出来事です。リップルコインは銀行間で使用され、使用(消費)されることでXRPは少なくなっていくという設計になっています。いつかはなくなるかもしれませんが、取引手数料として0.000001XRPが消費されるので、なくなる心配はまだまだ大丈夫です。ビットコインのように個人間での送金ができるわけではありません。したがってしばらく価格が20円台だった理由は、一般のユーザーにとってリップルの価格が上がる要素につてあまりピンとイメージできなかったとも言えます。

リップルの価格が12月中旬から上がり始めたのにはいくつか理由があります。リップルコインが近いうちに「coinbase」の取引を始めるという噂が広がっています。

アメリカの「コインベース」は毎日10万人の新規ユーザーが増えていると言われている有名な仮想通貨取引所です。32カ国、11,900,000人が利用し世界最大規模です。またcoinbaseとヤフーファイナンスアプリが2017年12月に統合し、ヤフーファイナンスからビットコインのパフォーマンスと100種類以上のアルトコインを確認できます。SBIホールディングス傘下のSBI Ripple Asiaを中心として活動している、内外為替一元化コンソーシアムが、リップル社の技術を利用すると発表しました。2017年7月時点の傘下銀行は61行に及び、三井住友銀行、ゆうちょ銀行などのメガバンクも参加しているプロジェクトです。

内外為替一元化コンソーシアムのRCクラウドで構築されているシステムは、「xCurrent」と呼ばれています。三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行を含む日本国内銀行がリップル社の「xCurrent」を通じて、「RippleNet」に統合されています。この「RippleNet」に参加する企業が100社を超えました。

内外為替一元化コンソーシアムが主導となり、リップル社の技術を活用した日韓国際送金の実験が開始されました。実験は2018年1月31日まで行われ、実験が成功に終われば国際送金に利用される予定です。

今後のリップルの将来性は?

12月にリップル社のロックアップが完了したことで、その後価格が大きく変動しました。そのロックアップとは、上記にも少し説明していますが一定の期間は市場に売却しないことを約束するものです。リップル社が保有する616億XRPのうち550億XRPを第三者機関へ預託したのが12月8日です。

2018年以降は、毎月10億XRPがロックアップ期間を終え市場に放出されます。さらに残ったXRPは55カ月間は再びロックアップされる仕組みです。このロップアップ完了の発表により、リップル社が「価格が上昇したらXRPを市場で売りまくるのでは?」というリスク要因はなくなり、最近の価格上昇に繋がったのではと考えられます。

2018年は仮想通貨の支払い面だけでなく、ブロックチェーン自体に注目が集まり実際に活用される時代になるとも言われています。リップル社は2018年以降はさらに表に出て知名度を広げ、流動性を高め、実装、広報、メディア活動に力を入れていくそうです。銀行や金融機関と連携してXRPでの国際送金を本格的に目指していくと思われます。リップルネットワークがさらに広がることで、ますます価格が上がる可能性はあります。今後のリップルの活躍に期待したいですね。

追記

昨年末の価格高騰に続いて、期待が高まった2018年ですが、年初は様々な理由で仮想通貨全般が軒並み暴落しました。

中国の規制強化 2017年9月に中国は取引所・ICOを禁止しています。(店頭取引のみ可)
そして今回、追い打ちをかけるように、仮想通貨取引、主に、そういったサービスを展開するオンラインプラットフォームやモバイルアプリをターゲットとして、規制に乗り出すと発表しました。マイニングに関しても規制をかける動きを見せています。

韓国の仮想通貨に関する動向

1月15日、韓国の国務調整室は、仮想通貨の取引所を閉鎖するかどうか、政府省庁間で「十分な議論と意見の調整後」に決定すると伝えた。

ドイツ連邦銀行理事の発言

ビュルメリング理事はフランクフルトでのイベントで、「仮想通貨の規制において国ごとの規制効果は限定的であるため、国際的な協力を通じた規制のみが効果的だ」と述べた。

インドネシア中央銀行の発表

インドネシア中央銀行が、プレスリリースの中で、仮想通貨取引を行わないよう、国民に呼びかけました。ビットコインをはじめとする仮想通貨が、正当な支払手段ではない、そのためインドネシア国内で使用することは許されていない、という呼びかけですね。

フィリピン大手銀行の発表

フィリピンの大手銀行であるメトロポリタン銀行が、仮想通貨に関連する電子送金を即座に停止するとの発表を行いました。メトロポリタン銀行は、仮想通貨大手取引所のcoinbaseのサービスプロバイダーであるため、こちらもちょっとした下落材料となっています。

ブラジル政府の発表
1月12日、ブラジル政府は、国内のファンドに対し仮想通貨への直接投資を禁じると発表した。ブラジル証券取引委員会(CVM)は、仮想通貨を金融資産として認めないと定めたほか、海外のファンドへの出資を通した仮想通貨への投資についても、CVMの方針確定を待つことも併せて定めている。

また日本では、取引所コインチェックの不正流出などがあり、大騒動にもなりました。このように、不安定さもまだまだある仮想通貨ですが、リップルネットワークは次のような展開も進んでいます。

中国の大手決済サービス「連連」と提携【2018/2/9】

リップルがアブダビ国立銀行との提携【2018/2/7】

リップルがカナダの取引所に上場決定!【2018/2/7】

今年のスタートは波乱万丈でしたが、いずれにしても国際送金などの便利さを追求したリップルの成長にはやはり目が離せません。