2018年1月24日の日本時間23:00に、アメリカの資産価値評価会社であるWeiss Ratings LLC(ワイスレーティング)が取引量の多い仮想通貨を対象に信頼性評価を行いました。このワイスレーティング社は独自の調査方法で多くの保険会社や金融機関の行っており、世間からはその独立性と信頼性を高く評価されています。今回、仮想通貨の評価を行った目的は「多くの仮想通貨が過大評価されており、暴落のリスクがある」という事に対する対策です。

現在、大きなボラリティーを持っている仮想通貨市場が拡大していますが、整った法整備が間に合っておらず、投資家が抱えるリスクを懸念した指摘であり、世界レベルで規制対象となっている仮想通貨市場への救済でもあります。このニュースを受けた投資家たちは、自身の持つ仮想通貨が正当評価されることをプラスの材料に捉え、22時には一時、全ての主要仮想通貨の相場がプラスに転じました。

最高ランクAは無く、ビットコインの評価はC+で「Fair」

ワイスレーティングは独自の評価基準にA = excellent, B = good, C = fair, D = weak, E = very weakと区切りをつけています。他の評価例で表すと、Microsoftの評価がA、Face bookがA-というように、その評価基準は厳しいものの、Aの評価が下された企業は非常に信頼できるということです。しかし今回行われた仮想通貨の評価ではAランクの対象は1つも無く、取得ランクがBのイーサリアム、トロンが最高評価となりました。

ワイスレーティングによると、Cクラスでも市場に出るに値する物であり、特別警戒する必要はないとのことです。C+より評価が高い仮想通貨は、市場に出る際に何らかの付加価値があるものということでしょう。しかし将来の期待値では現実性が無く判断に狂いが生じるため、市場の人気に影響されることのない、現在実装されている仮想通貨システムに対する格付けとなりました。現在実装されている仮想通貨システムを基準に評価を行うと、仮想通貨市場において基軸通貨といえる存在のビットコインはC+という評価の低いものでした。この評価に対し、ワイスレーティングは次のように語っています。

【原文】
Bitcoin (rated C+) gets excellent scores for security and widespread adoption. But it is encountering major network bottlenecks, causing delays and high transactions costs. Despite intense ongoing efforts that are achieving some initial success, Bitcoin has no immediate mechanism for promptly upgrading its software code.

要約すると、ビットコインは基軸通貨としてその流通普及とセキュリティは素晴らしいものの、ネットワークの遅さがボトルネックとなって遅延などの問題を引き起こしており、現在では問題を解決するメカニズムを持っていないという内容です。これは日本でも以前から問題視されて話題になっていますね。実際ビットコインで送金を行う際には、受け取りに1時間以上もの時間がかかるケースが発生していますが、数々のハードフォークを繰り返しても未だ改善する見込みはありません。それだけ利用者が多いという証でもあるのですが、急な送金が必要な時、対処できずに困ってしまいます。それゆえにC+の「Fair」(利用価値のある)という評価にとどまりました。

イーサリアムが評価対象の中で最高評価Bを獲得し、一時相場が高騰する

2018年はイーサリアムの年との噂があるほどに、市場の期待を集めています。仮想通貨の要である送金スピードとセキュリティは、どちらもビットコインよりも優れているためにワイスレーティングもEthereum Is B (“Good”)との高評価を出しました。

【原文】
Ethereum (B), the second most widely adopted cryptocurrency, benefits from more readily upgradable technology and better speed, despite some bottlenecks.

原文を要約すると、イーサリアムにはいくつかのボトルネックがあるものの、アップグレードによって改善が容易であるとの内容です。現在実装されているシステムに対する評価でありながらも、直近で解消される見込みのある将来性も評価対象となるようです。この格付けに市場は大きく反応し、格付けが公表された直後からイーサリアムの相場が高騰しはじめました。その最高価格は10万円オーバーと、30%以上もの高騰を見せましたが、評価に懐疑的な声が多かったことが要因なのか、すぐに元の相場に戻るという一瞬のバブルに終わっています。翌日には徐々に再高騰を始めているので、今回の評価をきっかけにイーサリアムが再注目されています。

ビットコインを抜いたエイダコインの評価に期待が増す

米ワイスレーティングが主力仮想通貨の信頼性評価を発表エイダコインの人気は日を追うごとに過熱しています。一部の熱狂的なホルダーは、エイダコインが格付けでB-という76種類中、NEO、Steemと並んで同率3位となった事に「爆上げ間違いなし」とSNS上で喜んでおり、相場もホルダーの声に答えるように、徐々に高騰しています。評価の理由は公表されていませんが、同率上位のイーサリアムと兄弟通貨なので先に出て市場に浸透しているイーサリアムが高く評価されたものと思われます。まだ公開されて3か月と実績の乏しい仮想通貨としては非常に高い評価を獲得しているので、未完成ながらもエイダコインのシステムは世界に通用するものだという裏付けになりました。今後、ウロボロスプラウスのバージョンアップなや耐量子コンピューター電子署名方式が実装されると、エイダコインの信頼性はさらに増す為、近いうちにエイダコインの評価は見直される可能性があります。

格付けが確実視されていたトロンが評価対象外

中国発祥の仮想通貨TRX(トロン)は1月現在、日本の取引所では取り扱いがありません。日本の取引所でトレードを行っている方は、この格付けで初めて名前を聞いたという人もいるかもしれませんね。トロンはプラットフォーム型の仮想通貨であり、「データの解放」、「コンテンツ有効化」、「パーソナルICO」、「インフラストラクチャ」という特性を持っています。これにより、ブロックチェーンと分散型ストレージによってデジタルコンテンツを管理されずに自由に公開、保存、所有できるようなエンターテイメントシステムの構成を計画しています。

仮想通貨の時価総額ランキングでは13位であり取引量は約7000憶円と市場の中でトップクラスのトロンが評価されなかったことに対し、投資家たちからは不満の声が続出しています。皮肉にもワイスレーティングの格付け公開直後にBitfinexへの上場が確定して相場が高騰したため、トロンホルダーたちはワイスレーティングの着眼点を疑問視しています。

日本の格付け企業モーニングスターも見逃せない

仮想通貨において2017年は始まりの年、2018年は変革の年というように世界市場への浸透が進んでいます。この国際通貨の基準を塗り替えようとしている姿勢に反して信頼性の最も高いAランクの仮想通貨が1つも無い事から、投資家たちは評価内容に対して不満を示しています。行き過ぎた投資家は自身で考えた独自の格付けランキングを作成、拡散したために情報が入り交じり、市場では誤った認識も生まれています。現状、ワイスレーティングは錯綜している情報に対して対策は講じておらず、評価の認識が定着するのを待つしかないようです。

世界規模で格付けを展開するワイスレーティングの前に、日本の投資信託企業モーニングスター株式会社が2017年10月に独自調査により仮想通貨及びICOの格付け事業を開始しています。モーニングスターの評価はワイスレーティングと全く異なっており、時価総額を基準とする格付けを行っています。格付けを行う際は作成した企業の偏見が混じる事や基準となる材料が異なる場合が多いため、現状ではこの2社の格付けを比較して客観的判断を行うべきでしょう。