2018年2月13日にドバイで、2018年度のワールド・ガバメント・サミットが開催されました。3日間にわたって開催されたサミットには、世界中の政策立案者や政治指導者も参加しました。サミットではこれから直面するかもしれない政治、環境などの問題を専門家や、政策立案者と共に、課題に取り組むためのネットワークやイノベーションを広げる場でもあります。

そのようなサミットにNEM財団の代表ロン・ウォン氏も参加し、仮想通貨の将来性や、NEMのようにブロックチェーン技術に社会の関心が高まっていると語っています。またNEMはアップデートも控えており、詳しい内容を解説します。

暗号通貨市場の価格操作とNEMの技術

NEMについて徹底解説ロン氏は世界経済にまで及ぼす仮想通貨の未来に関するパネルディスカッションに招待されました。進行役にCNBC(アメリカのニュース専門放送局)のアージャン・カープル氏が務めました。そのディスカッションのメンバーには、Elipsisのローレンス・ウィンターマイヤー共同設立者、Jesse PowellのKraken CEOジェシー・パウエル氏、Bitcoin Centerの創始者のニック・スパノス氏などが顔を揃えました。

仮想通貨が2017年に急に価格を上げた理由の1つに、ブロックチェーン技術に対する社会の関心が高まっていることを指摘しました。一方で仮想通貨に価格操作があることも強調しました。一般ユーザーにとって価格操作は避けられず、リスクがあることも事実です。1月16日の仮想通貨全体の下落原因は、大量の資金を投じることができる組織が価格の下落を見て、大量に売りロスカット狩りを狙ったとも言われています。

そういった面ではNEMも一時的に価格を下げました。しかしロン氏はNEMの価格を決めるのは、市場での推測ではなく、NEMの技術により決められると語っています。また、NEMを支持するユーザーは、NEMを構築している技術を売り込むことに熱心であり、通貨単位XEM(ゼム)の価格を高騰させることにはあまり興味を持っていないともロン氏は語っています。

NEMは資金管理ツールとしての有能性が強み

ロン氏はNEMやブロックチェーンの技術的な強みとしてもイベントで語っています。ブロックチェーン技術そのものに対する規制があるのも事実、一方で、ブロックチェーン技術を使用する際には、政府機関の規制方針を妨げてはならず、既存のシステムと並行して使用できるメリットがあるそうです。またブロックチェーンは、ハッキングされた資金を追跡するなどの監査手法を含め、資金管理において大変優れたツールでもあると語っています。また仮想通貨は資金洗浄に利用されると言われるが、実際は法定通貨を使用した資金洗浄の量は、仮想通貨を使用した資金洗浄をはるかに上回っているとロン氏は指摘しました。

仮想通貨は履歴を追跡できる機能があります。コインチェックでのNEM流出事件でも追跡はできますが、NEM自体を取り戻すことは大変難しいです。ロン氏は仮想通貨でのリスクを軽減するには、セキュリティの規制は最低条件であるべきだと語っています。

暗号通貨の未来はまだこれから

ワールド・ガバメント・サミット開催中には、CNBC、ドバイTV、エミレーツ・ニュースを含む多くのメディアが、ロン・ウォン氏に対して、ブロックチェーンやフィンテック、仮想通貨に関する意見が求められていました。また、NEM財団東南アジア地域のディレクター、スティーブン・チア氏もイベントに出席していました。そういった中でロン氏は、2018年は仮想通貨のレベルや方向性が確実に進化すると指摘していました。まだまだブロックチェーンの未来は大きく広がると言えるでしょう。

またNEMは2018年にカタパルト実装という大規模なアップデートが控えています。その話がネット上に上がり始めてから、価格が1XEM=20円台だったNEMの価格が2017年12月には一気に200円近くまで上がりました。しかし2017年1月16〜18日の間でNEMの価格が下落し、73円ほどまで落ちました。しかしNEMの回復も早くすぐに100円以上まで上がりました。2月14日現在は58円前後をキープしています。暗号通貨2.0やビットコイン2.0と言われている暗号通貨の価格の回復は、ゆっくりではありますが早かった傾向があります。下がったとしても「買い時」と見るユーザーがいることも確かです。

NEMのカタパルトについて

ブロックチェーン技術に社会の関心が高まっているカタパルトが実装されることで何が変わるのかを簡単にご説明します。カタパルト実装は2017年の夏頃に行われるのではないかと言われましたが、その後、COMSA(テックビューロ社が開発した独自トークン)のホワイトペーパー上で、2018年中にNEMのカタパルト実装が行われると記載されました。「カタパルト」の意味は大型アップデートと同義でもあります。取引所ザイフを運営しているテックビューロ社と共同で開発された「mijin」は2017年11月に、プライベートブロックチェーンのカタパルトのβテストがスタートしました。

その後の一定の利用を経て、2018年以降にNEMへのカタパルト実装が予定されています。NEMの性能向上のために仕様全体を一新し、JavaからC++へと移行して、スケーラビリティの遅延軽減と双方向通信向上のため、httpプロトコルからsocket通信へと移行するそうです。この大規模なアップデートにより、NEMの送金処理能力が向上し、1秒に最大4,000件/秒ものトランザクション(取引)を処理することが可能になります。リップルなら1,000件/秒ほどで、VISAなら4,000〜6,000件/秒ほどなので、NEMはクレジットカードと同等の速さで決済処理が可能ということになります。

またNEMはマルチング・システムというものが導入され、複数のトランザクションを同時に処理することができるようになることで、商業的な利便性がさらに向上します。これは現在のビットコインではかなり難しいことです。

mijinとNEMを繋げた技術

テックビューロ社には独自開発のブロックチェーン「mijin」は、NEMのブロックチェーンと同じ性能を持ち合わせています。2018年1月には「mijin 2.0 Catapult」のオープンソースを公開しました。mijinとNEMのブロックチェーンはAPIを通して相互作用を可能にしました。これによりテックビューロ社の商業的な立ち位置と、NEMコニュニティを統合した新たなエコシステムも持ちあせた暗号通貨の実現に近づくことになります。またネムの最終目的である「NEMによる経済圏設立」へと繋がる可能性も高まります。

NEMはビットコインとは異なった取引承認システムを採用しており、「一般の人にも平等に報酬が得られる」独自のアルゴリズム:PoI(Proof-of-Importance)を採用しています。ビットコインのようにマイニングで莫大な電力を消費することもなく、10,000XEMを専用のウォレットに保有していることで、誰にでも取引の承認に参加し報酬を得ることができます。

カタパルトでNEMの価格は将来上がるのか

カタパルト実装ではNEMの性能がより向上することになるので、NEMの価格上昇も見込めると言えます。NEMの価格は2018年2月19日現在は56円ですが、これを買いと見るとかは上記の内容を読むと分かると思います。また価格が低い時のほうがXEMは集めやすく、マイニングにも参加しやすくはなります。資金を集中して投じるのはリスクがありますが、将来を見据えて保有を考えてもいいと言えます。