Facebookでは仮想通貨や仮想通貨を使った資金調達の広告を禁止
1月30日、大手ソーシャルネットワークの一つであるFacebookは、ビットコインを代表する仮想通貨、および仮想通貨を使った資金調達や取引所の広告などを、Facebook上で掲載禁止にすると発表しました。これまでFacebookは、フェイクニュースを代表とした虚偽のニュースや詐欺的なビジネスに関与する広告を禁止したことはありました。しかし、詐欺や虚偽のニュースなどとは関係のない一般的な仮想通貨の広告までを含めた、すべての仮想通貨関連の広告を掲載禁止する措置をとったことは、大きな衝撃を持って迎えられています。
Facebook側では、今回の広告掲載禁止の理由としては、消費者に対して誠実さが足りないビジネスを展開し、その広告をFacebook上に掲載している企業が多いからという見解を発表しています。これは、各国で仮想通貨投機が過熱していること、そして、取引の安全性が確保できていないような、ユーザーにとってためにならないような業者が次々と現れていることをFacebookが懸念しているからだと考えられます。Facebook側でも、ユーザー保護のために、これまで広告内容のチェックや規制を行ってきましたが、「Facebook上における仮想通貨に関するすべての広告が禁止」ということで、Facebook側としては、仮想通貨の広告に対し、かなり厳しい姿勢をとっています。その影響もあり、実際に2月以降は仮想通貨に関する広告は一切Facebook上で見る機会がなくなっています。
InstagramでもFacebookと同様に仮想通貨広告が禁止
また、画像を使ったSNSであるInstagramでも、Facebook同様、仮想通貨に関する広告の掲載が全面的に禁止されました。FacebookとInstagramは現在運営元が同じですので、その規制がどちらのメディアに対しても行われることは、特に疑問点や不審な点はなく自然な流れであるといえます。
Instagramは現在女性ユーザーに多く支持されているメディアであり、特にイメージ戦略が重要な企業にとっては、利用価値が高いと評価されています。
女性は、不審な点や危険な点に対しては男性以上に敏感です。もしも、Instagram上に不安を与えるような広告が頻繁に掲載されるようになれば、一気にユーザー離れが進むことも考えられます。ユーザーと企業の両方から高い評価を受けているInstagramにおいて、消費者に不利益を与える可能性が高い取引の広告を載せることは、なんとしても避けたいと考えているのでしょう。
FacebookもInstagramも、多くのユーザーが利用してこそ影響力が高まり、メディアとしての価値も高まります。Facebookは、ユーザ―離れがおきるかもしれないリスクに、一足先にしっかりと対応したということができます。
このようなfacebookにおける広告規制が影響したかどうかははっきりとはわからないものの、1月30日以降もビットコインの取引相場はじりじりと値下がり傾向を続けており、上向きに転じる気配がなかなか見えてこない状態が続いています。
長期的に見れば、今回のFacebookにおける広告規制は、仮想通貨市場の健全化を図るためには必要なものであると言うことができます。しかし、短期的に見れば、Facebookの広告を通して仮想通貨に興味を持ったり、口座を開設しようと考える人達の門戸を閉ざすことになり、仮想通貨市場に流入する資金をせきとめてしまったという点も否めません。
また、「Facebookが仮想通貨の広告を禁止」というニュースだけが先走りして、「仮想通貨は悪いものなんだ」というイメージを持った人が多かったとするのであれば、成長途上の仮想通貨にとっては、やはり悪い材料と言えます。Facebookの影響力は大きいだけに、仮想通貨のイメージが悪くなってしまったのであれば、とても残念なことです。
Facebookが仮想通貨広告を禁止した理由
Facebookが今回このように全般的な広告禁止に至った理由として、Facebookがユーザーの属性を把握しやすく、特に投資に興味がある資産家を狙った、効率的なターゲット広告をうちやすいメディアだからということができます。
日本でも、ネット起業家やアフィリエイターが自分のブランディング化にまず利用するのがFacebookです。Facebookは個人情報の透明性が高いだけに、相手がどのような思考を持っているのか、どのような生活水準であるのかがある程度わかってしまうという特徴があります。
またそれらの情報から、おおよその年収なども推測しやすくなっており、facebookは富裕層を探しやすいソーシャルネットワークサービスといえます。そしてfacebookではターゲティング広告も配信しやすいので、普段から投資やお金に興味を持っている富裕層を対象に広告を打つといった戦略が可能になっているのです。
Googleでもこのような広告を打つことは可能ですが、Facebook上では、より詳しいユーザーの属性を把握しながら広告を打てるので、広告効果が出しやすいという特徴があります。投資系の会社が富裕層を狙ってFacebookを活用することは決して珍しいことではなく、実際にFacebook上の広告を見て、投資を始めたという人もいるでしょう。
このように、広告のターゲットが、実際に行動に移す可能性が高いのがfacebookを利用したマーケティングであり、その影響力も高いので、facebookはユーザーが不利益を被らないように、厳しい対応をする必要があります。ユーザーは、Facebookを信頼して、個人情報を公開してくれているわけですから、そのユーザーを守る義務があるのです。
もしFacebookを信頼して利用してくれているユーザーが不利益を被るようなことが頻発すれば、皆Facebookを使わなくなり、ユーザーが離れていってしまいます。Facebookを使ってくれているユーザーを守り、今後も多くの人が安心してFacebookを使えるようになるには、厳しすぎるともいえる規制をする必要があったのではないでしょうか。
日本では、Facebookのユーザー数は減少傾向にあり、一時期ほどの勢いがないと言われています。それだけに、今Facebookで熱心に活動しているユーザーはFacebookの運営側にとっては貴重な存在です。もし、ユーザー離れが起こって、そういった人々が活動しなくなるとFacebook離れが一気に進む恐れがあります。こういった点を考えると、Facebookでビットコインや仮想通貨の広告を禁止したことは、Facebook社の信頼性を保つためには必要なことであり、今後大きな効果が見込めるでしょう。
Facebook以外でもコインチェックの広告に批判が集まる
そして、Facebook社の信頼性の他に、日本で仮想通貨に関するユーザーの疑念を招いたもうひとつの出来事といえば、やはりコインチェック社のハッキング騒動です。被害を受けた投資家に対しては「損失額を全額保証する」ということをコインチェック社が発表していますが、いつ、どのような手段で返済するかといったような、具体的な返済プランは一切明らかにされておらず、金融庁もコインチェックのその発言に対しては、信憑性はあまりないだろうとFacebookvvの見解を示しています。
被害額を全額保証するとコインチェックが発表したことで、コインチェックの騒動は一旦おさまったかに見えます。しかし、今後の具体的な施策が示されていないことから、コインチェック社だけではなく仮想通貨全般に対する不信感が発生してしまっているのが、現在の日本の仮想通貨市場ということができます。
このハッキング事件によって、コインチェックがテレビCMを多く配信していたことに対する批判が出てきたり、それに出演していたタレントの出川哲朗氏に対する誹謗中傷がなされたり、仲間や友人に仮想通貨投資を勧誘していたタレントが批判されるなど、ハッキングとは関係がない人達にまで批判が及んでいます。
このように、コインチェック事件の影響は、まだまだ拡大する傾向にあり、収まる気配はありません。コインチェックは、ユーザーから絶大な支持を受け、日本の仮想通貨ブームを作り出してきたともいえる取引所です。Facebook広告問題やコインチェックがハッキングされたことをきっかけに、仮想通貨投資ブームとも言える現象はこのまま終焉を迎えてしまうのでしょうか。
Facebookやコインチェック問題が仮想通貨取引市場に及ぼす影響
コインチェック社が不祥事を起こし、仮想通貨市場に影響を与えている時期ではありますが、コインチェックがテレビCMの放送終了した後は、DMMビットコインが仮想通貨取引所のテレビCMを展開し始めています。こちらは以前からテレビCMに起用していたタレントのローラさんを起用した内容のCMになっており、同社にとっては、コインチェック社のユーザーを獲得できるチャンスであるということで、この広告を積極的に展開しているという事情が透けて見えてきます。
DMM社も以前から仮想通貨取引所の開設を行っていましたが、テレビCMの展開をはじめとするメディア戦略に関してはやや遅れた展開となっていました。コインチェック事件を機会に、ユーザーを増やしていきたいと考えているようです。
仮想通貨の相場が下落基調の中、このようなテレビCMを大々的に流し始めたということは、DMM側としては仮想通貨市場はまだまだ魅力的であると考えており、投資家をどんどん増やしていこうという狙いがあると思われます。コインチェックがハッキングされたことで、仮想通貨の信頼性が揺らぎ、仮想通貨ブームも一段落するのではと考える人もたくさんいますが、逆に、これほどの値下がり相場は大きなチャンスであり、絶好の投資機会ととらえる投資家もいます。少なくとも、仮想通貨の価格が下落しているこの機会に、新しく仮想通貨口座をひらいておいて、いつでも仮想通貨を安い価格で買えるように準備しておこうと考えるユーザーは一定数いると考えられます。
取引所側は、仮想通貨の売買手数料収入が主な収入源となります。つまり、取引所にとっては相場の上下変動はあまり関係なく、ユーザーがどれだけ多く取引をしてくれるのかが重要です。現在のように仮想通貨相場が低迷していても、ユーザーの売買が積極的に行われる状況であれば、それはそれで大歓迎と言えるところでしょう。このように、Facebookの広告禁止と日本でのコインチェック社のハッキング騒動の後も、DMMなどの仮想通貨取引所は活発に動いており、まだまだ仮想通貨ブームは終焉を迎えるような雰囲気はありません。逆に、絶好の機会を狙っているというのが、日本の個人投資家の本音と考えられるのではないでしょうか。
ここで、もしビットコインが暴落し、一旦50万円程度まで値を下げたとしても、日本のバブル経済のときに暴落した地下や株価が徐々に回復していったように、ビットコインの相場も回復していく可能性があります。仮想通貨の相場は低迷していますが、何かをきっかけに、再び相場は上がっていくでしょう。