ビットコインを中心とした仮想通貨の投資熱は非常に高まっており、2017年12月の相場上昇、そして2018年1月に入ってからの様々なトラブルによる仮想通貨の相場下落によって、億り人と呼ばれる莫大な利益を発生させた人、そして一気に投資していた仮想通貨を失ってしまった人の両方が発生しています。しかし仮想通貨に投資して利益が発生していた場合は、確定申告をして納税をする義務が日本国民にはあります。もし仮想通貨投資で損失を発生させていた場合、その損失分に対して何かしらの救済措置はあるのか、そして節税効果はあるのかをお伝えしていきます。
仮想通貨の収益は雑所得になる
まず気になるのが、仮想通貨の収入はどのような種類に分類されるかというところです。仮想通貨投資の収益は所得上で雑所得に分類されます。この雑所得とは給与所得や不動産所得などと違って、一日限りのアルバイトであったり、内職のような作業であったり、また個人的な商品の売買によって得られた様々な所得が分類されるところです。雑所得に関しては年間20万円まで非課税と決められているため、仮想通貨投資で20万円以下の利益を2017年内に確定させた人は特に確定申告をする義務がありません。つまり、仮想通貨投資における利益が20万円未満の部分はそのまま自分の手取り収入になります。
ちなみに株式投資で得た利益は株式所得という分類になっており。こちらは最大の所得税が収益の20%と決められています。株式への投資は、比較的優遇された投資手法であるために、投資を行う人が多いのです。また、仮想通貨投資で利益を発生させた場合は確定申告をしてその後の納税額を確定しなければいけませんが、株式投資の場合は源泉徴収を証券会社の口座内で行うことで確定申告を省くことができるというのもひとつのメリットになっています。
仮想通貨がなぜこういった制度が利用できないのかと言うと、それはまだ仮想通貨投資が歴史の浅い投資手法だからです。株式投資は日本では100年以上の歴史があるために、金融庁も株式投資に関する税制整備は昔から行ってきました。
しかし仮想通貨の場合本当に多くの人が投資するようにするようになったのはここ1、2年です。それだけに金融庁も、仮想通貨投資に関連して発生する問題や、仮想通貨取引の仕組みなど全般的に理解できない部分があるため、仮想通貨投資に対しての適切な法整備がされていないと考えられます。
昨年内に発生した利益に対し、所得税が課される
仮想通貨の税金を計算するときに注意しなくてはいけないのは、確定申告は一年単位、つまり1月から12月単位で行うということです。例えば昨年の12月は仮想通貨相場が一気に上昇していたために、数千万円などの大きな利益を出した人も多くいたでしょう。しかし1月に入って相場は冷え込んだために、12月に得た利益を1月に投資し、その利益をほとんど失ってしまった人もいたのかもしれません。しかしそれでも12月に発生した利益に対しては税金を納税する義務が発生しています。12月に仮想通貨に投資をし、100万円の利益が出たらおおよそ20万円は所得税として納税する義務が発生します。その100万円が1月にほとんど損失になってしまっても20万円の前の納税義務は残ってしまうのです。このため、仮想通貨の収益と損失額を、年間を通して調整するということは、仮想通貨の投資家にとっても必要なスキルと言えるのです。
購入時と売買時の価格差も収益になる
また同時に注意をしなくてはいけないのは、ビットコインなどの仮想通貨に安い時に購入しそして値上がりした時に何かしらの商品などを購入して決済した時の差額も収益になるということです。例えば1ビットコインを10万円で購入しており、そして100万円まで相場が上昇したタイミングで100万円の商品を購入したとします。その場合90万円の利益が発生したと考えられるので、所得税の確定申告を行わなければいけません。仮想通貨その物の売買ではないので今一利益が発生したという実感がつかみにくいのですが、商品を購入した時点で自分のビットコインを売却し利益を発生したとみなされるので、この点にもよく注意をしておきましょう。そういった商品購入を含めて2017年の1年間で発生した所得があれば確定申告をする必要が出てくるのです。
損益合算は不可能であり、所得の節税効果はない
気になる仮想通貨で発生した損失が何かしらの税制上の救済措置があるかと言うと、これは残念ながらありません。もちろん雑所得が発生する取引内で損失が出た分は収益と相殺ができるので一時的に30万円の利益が出たもの、その後に50万円の損失が出た場合は利益はマイナス20万円となり、つまり税金を納める必要は全くありません。しかし例えばその30万-50万のマイナス20万円を給与所得から控除して、給与所得の600万円を580万円にするといった節税効果はないのです。
例えば不動産投資の場合は損益通算と言われる給与所得との合算効果があるために、節税効果が比較的高い投資手法だと言われています。さらに不動産投資の場合は購入した物件の減価償却を何年かに分けて行うことができるので、実際にはキャッシュが手元に発生していても減価償却によって利益をゼロ円にすることができて利益帳簿上の利益を大幅に減らすことができるのです。そういった節税面でのメリットがあるために、不動産投資は比較的確実性が高いと言われておりに不動産投資に乗り出す人が多いのです。
一方で残念ながら仮想通貨投資の場合はこういった損益通算が一切できないために他の所得に対する節税効果を望むことができません。できる節税対策としたらふるさと納税ぐらいです。ふるさと納税が確定申告をしてその年の所得額を確定した後に、ふるさと納税の上限額自体が給与所得と仮想通貨投資で得た所得によって増えるので、ふるさと納税の上限金額がアップします。こちらは節税できる金額ににしたら多くても約5万円程度とそれほど大きな節税効果でありませんが、利用できるものはできるだけ利用して節税対策をするようにしましょう。
確定申告は2月15日から1ヶ月間
なお確定申告は例年2月15日から3月15日までの約一か月間となっています。2018年の確定申告は2017年の1月1日から12月31日に発生した所得や不動産所得、株式所得などを申告して最終的な所得の金額を確定しその後納税を行わなければいけません。なお青色申告を行えば65万円までの所得を控除することができるので仮想通貨投資で数百万万円単位の利益を発生させた人は青色申告を行えば、かなり大きな節税効果を発揮できるでしょう。
仮想通貨投資だけならば青色申告の書類を作成するのもそれほど手間にはなりません。最初は青色申告の書類作成はどうしてもハードルが高く感じてしまうものですが、慣れていけば自分で作成するのもそれほど難しくありません。また2月15日以降に税務署に書類の書き方を教えてもらいに行くと大変な混雑になってしまい1日かけても話が聞けないことがあります。できれば2月月初から2月15日までの間に税務署に行って詳しい青色申告の書類の揃え方、そして書類の書き方を聞いておくと良いでしょう。
投資で利益を出す人にとっては確定申告は毎年必須の作業になります。今年仮想通貨投資で初めて利益を得たという人でもこれから続けていく意志があるのであれば、後々のために今から自分で青色申告ができるように勉強をしておきましょう。確定申告の知識を持っておけば、所得の種類や税率についての知識も自然と身についてきます。他の投資手法を見つける良いチャンスにもなるでしょう。