ペトロとは
最近ニュースでも取り上げられているペトロですが、ベネズエラがICOをして発行することを宣伝していました。しかしほとんどの方はあまり気にしていないのではないでしょうか。そんな方々にペトロについて少しでも興味をもってもらえるようにこれから解説していきたいと思います。
まず、なぜベネズエラがペトロを発行すると発表したのか。それはアメリカの経済制裁に苦しむベネズエラは仮想通貨の発行を危機打開の突破口にしようとしているからです。ベネズエラは破綻した経済を立て直す手立てとして、ペトロの発行を発表しました。2月20日に発行された新通貨はベネズエラの豊かな埋蔵原油を裏付けとし、ペトロ1単位が原油1バレルの価値に相当することを約束されました。
ペトロの発行上限は1億ペトロ前後で政府の発表だと約60億ドルの調達を見込んでいるとのことでベネズエラの大統領はペトロの誕生を裕福な国々に発信し関心を集め、そしてベネズエラの繁栄のために大成功を収めようと考えています。しかし石油は危険な投資だと経済の専門家は語っており、アメリカの制裁違反となるため米企業の関与も不可能な状態です。
ベネズエラの原油で通貨を担保にすると主張しているが政府の説明によると通貨と石油の交換を保証しているのではなく、交換できるのはベネズエラの通貨ボリバルだけでその通貨にはほとんど価値がないとワシントンのシンクタンク大西洋協議会のベネズエラ専門家は言っています。
ベネズエラのハイパーインフレ
ベネズエラは原油価格の記録的な低水準とハイパーインフレを引き起こした経済運営の失敗により現在は経済破綻に陥っています。国民は食糧や医療品などが常に不足している状態で暴力や犯罪が広がっています。国の借金を返しこの状況を打開しようとベネズエラ大統領は仮想通貨の人気にあやかり米国の制裁を回避したいというのが狙いだと考えています。
ベネズエラでは1ヶ月約6ドルで生活し1度の鶏肉料理で彼らの1ヶ月の給料が吹っ飛んでしまう事態がありそのうちのいくつかは深刻な飢餓に直面しています。1度は南アフリカでも最も豊かな国になりましたがその後は急激な原油価格の下落が社会主義政府の景気後退を招きインフレを誘発してしまいました。政府はそれを抑えようとし紙幣の発行をさらに増やしたがハイパーインフレになってしまった。
現在の最高紙幣は50ボリバルで0.01ドルに相当する。つまりベネズエラの人々が1ドルのコーラがあったとしてそれを買うために50枚もの50ボリバル札が必要という状況です。インフレにより紙幣の価値が暴落し大量にお札を持ち歩くしかなくなってしまいました。
国の通貨危機が起こるとドラリゼーション(国の通貨を他国の安定通貨、ドルなどにかえてしまう)を採用して危機回避する方法がありますが今回のペトロはこれと似たようなものでドルを買わずして国家がお墨付きを与えた仮想通貨を発行して販売しそれを自国の通貨として流通させハイパーインフレを終わらせようとしております。ハイパーインフレの打開策に切り込んでいるのがこのペトロという通貨です。
ペトロの正体は「国債」
ビットコインやペトロなどの仮想通貨は匿名で普通の通貨に交換することができ、取引情報の共有化を可能にするブロックチェーンの技術で記録されます。このテクノロジーでハイテクに見せてはいるがペトロは実質的には国債です。ベネズエラはアメリカに経済制裁を課されアメリカ人からの借り入れを禁止されています。
ベネズエラ政府と国営石油会社ペトロレオス(PDVSA)が借金のために発行した債権の取引も禁止しました。この制裁によってベネズエラは膨れ上がる借金の借り換えはほぼ不可能になってしまいました。
ベネズエラ政府のホワイトペーパーではペトロはイーサリアムをベースに開発しているといわれていますが、イーサリアムの技術は使っていない可能性があります。イーサリアムの技術というのは「ERC20トークン」のことでZaifの「COMSA」の「イムサ」にも使われています。国の仮想通貨が他の技術を流用してつくるということは例えるなら日本円に使っている紙の素材がアメリカのドル紙幣を使うようなものです。ですから人の技術を使って作るようなことはないと考えています。
国家間仮想通貨がさらに増えていく
国が仮想通貨を発行するような現象はこれからも起きていく可能性が高いと考えられます。というのも簡単な話なのですが私たちは日本に住んでいるので日本円が最強とかいえますよね。日本人は日本円がどのくらい最強であるか知らない人が多いです。仮想通貨で言うビットコインのように日本円は基軸通貨の一つなのです。ユーロ、ドル、円の三大基軸通貨の国に私たちは住んでいるのです。
ですからものすごくインフレになることもデフレになることもない日常を過ごしています。そんな中で世界のほとんどの国は基軸通貨になっていません。通貨として不安定なのでニュースとかでは南米経済やアフリカ経済が不安定な傾向にあるとの報道をよく見るとおもいます。そんな国にとっては仮想通貨はとても魅力的に映るのです。
自国が発行することで新たな基軸通貨になり得る可能性が少しでもあるなら外貨獲得のために仮想通貨を発行するという考え方は当たり前と言えるのではないでしょうか。これを踏まえこれからどんどんと国家間仮想通貨の発行が増えてくるということですね。
ペトロの購入の考え
世界中で詐欺ではないかと叩かれているベネズエラ発行の仮想通貨ペトロ、原油埋蔵量を裏付けて1ペトロ約60ドル(約6,500円)で販売する予定となっています。犯罪率の高い国であるベネズエラ発行の仮想通貨、やはり買う人は少ないのではないかという見解です。
しかし以外にも購入を検討している方々が多いことがわかりました。今まで上がっている銘柄をみてもみんなが最初から期待していたものはあまり上がっていません。国が発行する初めての仮想通貨、これが大成功すれば他の貧困国も真似をするでしょう。失敗するか成功するかはわかりませんが万が一にかけて買ってみるのも面白いです。
ベネズエラの大統領は「国民の身近に力をもたらし、幸福を促進する」と言っていたが皮肉にも同国の国民は購入ができないという。もちろん不満の声も上がっている。ペトロを購入に利用できる通貨は米ドルとユーロそれに仮想通貨のビットコインとイーサリアムだけの取引となっています。
さらにベネズエラでは国民の外貨購入を禁じているため自国通貨ボリバルでの購入ができない国民はペトロ購入が不可能な状態でありペトロを購入する手立てがない。米国などから経済制裁を受けているベネズエラは債務不履行により国債発行による資金調達が困難になったため、最後の手段として仮想通貨の導入をしたということになります。
ベネズエラのニコラ・マドゥーロ大統領は自国の領事サービス支払いに仮想通貨ペトロを受け入れるための行政サービスを命じました。大統領命令で自国の仮想通貨を推しておりますが自国、他国を問わず賛否両論であり賛よりも否のほうの意見が多いです。しかしこれだけ大体的にペトロを推していれば一気にペトロの普及も進む可能性があります。そこに大口の投資家などが参入してくるとすれば今後ペトロも期待できると思います。
これに便乗しいろんな国が仮想通貨を発行し普及していくのはそんなに遠い話ではなくなっていきます。