仮想通貨が信用されている理由
仮想通貨が世界各国で利用されているのは、その信用を人々が「価値あるもの」と認識しているからです。仮想通貨自体には全く価値はありませんがそれが持つ特性に対しての信頼に価値がついています。その特性はブロックチェーンと呼ばれるもので、販売者から購入者に渡るまでの取引が何回ものセキュリティを通過して手元に渡るため、突然無くなったり、突然涌いたり、不正に横取りされたりすることを防ぐことができます。
またもともとの発行数も決められており、国家で市場に出回る通貨をコントロールするのと同様、各自でコントロールできることも特性の一つだと言えます。また、電子データなので誰かの手により好き勝手にできない仕組みをブロックチェーンで確立したこともあり、その価値を裏付ける証明となっています。
さらに国境という概念は存在しないのも特性のひとつです。既存の通貨でしたら海外での取引には為替を使い、その国の通貨へ交換しないといけませんが、仮想通貨の場合はイーサリアムという仮想通貨間の為替をすみやかに行う仲介プラットフォームを介することで、お金としての価値の認識を一定に保っています。
そのため、仮想通貨自体への価値はないが、その仕組みが既存通貨と同じ価値基準の「決済通貨」として有効だと思う人が、仮想通貨と既存通貨の交換をし始めたことでより価値を置くものへと変わったのです。
仮想通貨が企業発行から国家発行へと進展した理由
仮想通貨は世界中でもごく少数の企業が作成しているのが現状です。最初は違法な闇取引市場で現金送金ではない全く別の送金システムとして利用され、話題になりましたがその中の「瞬時に送金が出来、なおかつ手数料がかからない」というシステムの価値に企業が気付きました。現にアメリカでは国内送金でも何日もかかるのと手数料が日本と比較できないほど高いものでした。
最初の導入のイメージやリスクについての情報が未だはっきりしておらず、ほとんどの企業がまだ仮想通貨に対して不安視しており、消極的な考え方をしている人や国が多いのも事実です。ですが、そんななかで、価値ある通貨として認識している国があります。
南米ベネズエラでは政府主導で「ペトロ」という仮想通貨を作ったのです。このペトロですが、天然資源を価値の信用に充てており、1ペトロがベネズエラの石油1バレルとして補償することを宣言し、仮想通貨としての価値を国が証明する動きを始めました。なぜ既存通貨のボリバルがあるのに率先して取り組むのかは、その存在価値にあります。
ボリバルはハイパーインフレーションを現在起こしており、その価値が大暴落しています。また大統領が独裁を強めており、主要取引国家から制裁政策をとられたことで安易に資金の調達したり、国際通貨基金に援助を求めることができないのです。そのため、通貨の価値を取り戻す策として天然資源を担保に仮想通貨の発行に乗り出したというわけです。国家としてメリットを感じた際に投機的な意味合いも持つ仮想通貨は、今後国家において通貨と同等以上の価値を与えることになります。
仮想通貨を国家で管理するための課題
仮想通貨が急速に波及していくことによる障害は、便利すぎるがゆえのセキュリティの脆弱性と環境配備が必須課題です。ネット環境があれば誰でも簡単に取引できる環境下のため、小学生でも取引可能です。しかしその状態では仮想通貨を正しい認識で扱う上でのリテラシーを十分に理解していない可能性が大いにあります。そのため安易に取引できてしまう環境だからこそ国家が率先して仮想通貨の教育に力を注いでいくことが今後の課題です。ロシアでは2017年9月に「ジェネレーションZ」というクイズ大会が開かれ『仮想通貨・ブロックチェーン・チャットボット』などをテーマにした仮想通貨専門の大会を実施したことで、ロシアの仮想通貨教育の第一歩目として期待されています。
環境面では主に、取引環境を維持するマシンの「電気代」とそのマシンから出る「放熱」に対しての対処が重要です。ロシアでは仮想通貨の環境を維持するための好条件がそろっているとして、国として意欲を見せています。ロシアにおいて一か月200Wで生活すると地域差はありますがおよそ700ルーブル(日本円にして1.302円:2018年3月4日時点)と安価なため大量の電気を利用してもコストが低く抑えられることと、もともと寒い気候なこともあり、環境を整備する上での条件としては良いといえます。
どの国でも仮想通貨を扱ううえでのランニングコストの対策とリテラシー教育は必須だと言えます。既存の法律では対応できない価値観、仕組みだからこそ柔軟に対応し、有効的かつ早急な施策を打ち出すことが課題として挙げられます。
仮想通貨が国家にもたらす恩恵
仮想通貨がもたらす恩恵は2つあります。通貨を管理する上でのコアビジネスの効率化と、自国普及させることでの経済循環です。既存通貨の管理は主に中央銀行が行っており、主な役割は資本管理と通貨の発行と破棄、金融コントロールです。現在の管理体制では日々紙媒体を利用した業務が多くあり、コスト削減を求められる現代では効率化する方法として最適なものだと言えます。現に金融機関では仮想通貨とブロックチェーン技術の導入で現在の銀行員たちが行っている業務のほぼすべてが置き換えられ、工程ごとに引き継ぎをすることや必要書類を確保しなくてもネット上で完結できることになります。
自国普及ではロシアが将来的に自国のみで扱える仮想通貨「クリプトルーブル」を発行していく意向を示しています。ロシア国内で普及をすることでお金を必要とする際に銀行やATMに行きたいが近くにない環境や、数日かけてお金をおろさなくてはならない環境に歯止めを利かせることができます。
また、ほかの仮想通貨が介入することで価値を下げる要因を作らないように使用禁止にしたこと、発行は国家が行うので管理台帳の兼ね合いから不正入手には税金13%をかけることで、マネーロンダリングに使用されたりすることを国家が対策しているという姿勢を表しています。国家として仮想通貨の使用をきっかけに経済循環と価値の裏付けの両方を促す取り組みを仕掛けてきています。
今後の国家においての仮想通貨への意識
今現在、既存通貨で起きている問題、例えばインフラや犯罪、不正取引などの問題点を解決するための一つの方法として国が関心を高めていることは事実です。各国の中央銀行は裏で経済介入することが多く、その透明性や信頼性に懸念の声が多く上がっており、組織の在り方を改める動きの中で仮想通貨のモデルは中央銀行が現行のイメージを払拭できるツールとしてみているようです。
お金の歴史は100年単位で変革してきていると言われています。主に1600年代までは石や貝などで1700年代は金、1800年代は貨幣、1900年代は紙幣と貨幣で成立しています。ですが2000年に入り、電子マネー・クレジットカードの普及に伴いコインレス状態でも不自由なく生活できるようになったことで、時代の流れは電子化の波が来たのです。
その時代の中で仮想通貨への意識は、人々の生活へ徐々に浸透してきています。事実、既存通貨と交換をし始めたときから投機的役割として価値を見出した人がいて、企業が現状の仕組みから変革するために仮想通貨に価値基準を付け加えたと言ってもよいと思います。
仮想通貨を取り巻く動きを国家が察知していないはずはないので、仮想通貨を取引する環境はよりハイスピードに流れていくことになります。