2017年1月26日に、約580億円の仮想通貨「NEM(ネム)」が不正アクセスにより流出した。金融庁は3月8日、仮想通貨取引所コインチェック(東京)に対し、2度目の業務改善命令を発令し、同日の午後、同社の和田晃一良社長が取締役と共に記者会見を行った。
コインチェック業務再開と、今週から「NEM(ネム)」の補償を開始予定
記者会見では、コインチェックの業務再開の目処の報告と、今後の補償、「NEM(ネム)」流出の原因の説明、サービスの再開、金融庁登録に向けての最善の努力が語られた。
「NEM(ネム)」の補償は今週中の予定。予定通り日本円でアカウントに反映される。「NEM(ネム)」以外の仮想通貨も、安全性の確認が取れ次第、第一部の仮想通貨から対応を行う見込み。日本円に返金した際の税金等の問題は、国税庁と協議を進める。「NEM(ネム)」以外の仮想通貨の価格の減少等による損失の補償は行われない。
仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した原因と今後の努力
仮想通貨「NEM(ネム)」の流出原因は、社内のパソコンが外部の攻撃者により、不正で有害な目的で作成された悪意あるソフトウェアの複数マニウェアに感染した。これが利用され外部ネットワークから「NEM(ネム)」の秘密鍵が盗まれ、不正に送金が行われたと発表。サービスの再開に向け、サーバーと社内ネットワーク、従業員の端末を全て新しくし、セキュリティの強化を行う予定。
「NEM(ネム)」の管理は、インターネットと完全に切り離されたウォレット・コールドウォレットを使用することを検討に、コールドウォレットで管理できるよう技術の面からも安全確認が完了した仮想通貨からサービスを開始する予定。金融庁登録に向けては、仮想通貨のリスクの洗い出しはすでに実施されており、再度取り扱う仮想通貨は検討予定。
金融庁 仮想通貨交換業者計7社に業務改善命令
また、金融庁は3月8日、約580億円の仮想通貨の流出した「コインチェック」(東京)を含む仮想通貨交換業者計7社に対し、業務改善命令などの行政処分を出した。
「ビットステーション」(名古屋市)と「FSHO」(横浜市)の2社は、登録申請中のみなし業者で、顧客資産の私的流出等が確認され、1ヶ月間の業務停止を命じられた。交換業者の業務停止命令は初めてで、顧客保護やマネーロンダリング(資金洗浄)対策などの経営管理体制が不十分だったと判断された。業務改善命令が出されたのは、テックビューロ(大阪市)、GMOコイン(東京)、バイクリメンツ(東京)、ミスターエクスチェンジ(福岡市)、コインチェック(東京)の5社。
コインチェックの改善命令は、経営体制の根本的な見直しを求め、1月29日に続き2度目になる。仮想通貨「NEM(ネム)」の顧客の補償も以上に述べたように、今週中。流出後の停止したサービスも、安全性を確認し今週中には再開予定。経営陣も含め斬新に新しくし、検討する考えだ。顧客は約26万人で、値下がりを考え計約464億円支払われる。
みなし業者のビットステーションと「bitExpress」(那覇市)、「来夢」(三重県鈴鹿市)の3社から、申請の取り下げの申し出があった。現在登録済みの仮想通貨交換業者は16社で、登録申請中のみなし業者は16社。
国内では新しく仮想通貨自主規制団体が設立に合意
「NEM(ネム)」の巨額流出事件をきっかけに、仮想通貨交換業者16社が新たに自主規制団体を設立することで3月2日に合意したばかりだ。国内の仮想通貨業界の自主規制を目的とし、規制に向けての積極的な取り組みだ。このように仮想通貨に対し、様々な規制が導入しているのであれば、通貨としての価値や地位が認められつつある証拠であろう。