仮想通貨取引初心者が覚えるべき項目のひとつが分析です。一見すると仮想通貨は需給関係で動いているから板やチャートを見ていれば、分析できるのではないか?という見方はできますが、それは正解でもあり間違いでもあります。
板は現在の売り圧力と買い圧力を確認するには有効な情報ですし、チャートはテクニカル分析においては必ず必要な情報源です。板とチャートだけの情報で取引している人もいますが、仮想通貨取引初心者が同じ条件で取引をしても利益をだすのは難しいのです。
理由は、仮想通貨取引初心者は板とチャートを見ても、「どこが重要なのか」、「他の投資家がどのような意図でこの値段で注文しているのか」ということがわからないからです。まずはテクニカル分析の基本を覚えて、相場、市場がどのような動きをしているのかを見極めることができれば、初心者から一歩抜け出します。
仮想通貨取引初心者が覚えやすいツールのひとつは移動平均線
仮想通貨取引は需給関係によるところが、市場を変化させる大きな要因であることは基本です。そして、市場の変化を時系列にならべて数値化すれば何か情報がみつかるのではないかと考えることができます。そこで、有効なツールが移動平均線です。
移動平均線は、株式投資やFXでもよく利用される分析ツールの基本のひとつです。そして、移動平均線はテクニカル分析による取引を行う上で最初に覚えるべき指標です。また、全てといっていいほど取引を行う人が利用している指標で、チャートの重要な動きをするときに有効性のある結果をだしてくれます。
仮想通貨市場は、株式投資やFXと比べて価格変動が激しく、ファンダメンタル分析では追いつけないほどの変化を繰り返す市場でもあります。移動平均線を覚えることで、価格変動の激しい仮想通貨といえども、大きなトレンドをつかむことは可能です。
また、短期売買なのか長期売買なのかのスタンスによっても、トレンドの形は変わってきます。たとえば、短期売買であれば、ごく短い時間軸で取引しているので、チャート分析も1日といった短い時間を示した資料があれば十分です。対して、長期売買にシフトしているのであれば、1年といった時間軸で示した資料が必要になります。あなたが求める時間軸によって、移動平均線の形や表す分析結果も変わるということを理解することがまず大切です。
移動平均線とは通貨の価格を平均化したもの
株式市場は1日に稼働している時価に限りがあり、15時でその日の取引が終了します。そして、ローソク足はそれを区切りにして、1日ごとに形成されています。しかし、仮想通貨市場は24時間365日ずっと稼働しています。ということは、1日の定義が変わってきます。つまり仮想通貨市場における1日というのは、文字通り1日ということを表しています。
移動平均線とは、ある期間の終値をつないで1つのグラフにしたものです。チャートを見ると理解できますが、取引所では高機能ツールが配布されていて、例えばそれで移動平均線を見ると、チャートに重なるように移動平均線の線が描画されています。
移動平均線は、チャートでは分かりづらい相場の流れを分かりやすく表示されているものであると認識すると理解しやすいかと思います。ちなみに、その日の相場を細かく分析したいと考えているのであれば、ローソク足を見ると方が良いです。なぜならば、ローソク足はその日の始値、終値、高値、安値が表示されています。ですので、移動平均線でトレンドを読み、ローソク足で細かい動きをチェックするというのが、ひとつの流れになります。
移動平均の作り方は覚えやすい
移動平均線が、ある期間の終値を繋げたものとして表示しているということは、理解できたかと思います。そして次に必要なことが移動平均線がどのような計算でグラフを形成しているか理解することです。一般的に移動平均線は5日、25日、50日で分けられていますが、どれも基本は同じなので、作り方を知っていれば自然とそれぞれの移動平均線が意味していることについて理解できます。
例えば5日移動平均線を作ります。
以下は連続7日間のビットコインの終値とします。
・100BTC
・200BTC
・205BTC
・210BTC
・300BTC
・450BTC
・350BTC
まず1日目から5日目の終値の平均値を算出します。
203BTCです。そして、この数値をチャート上の5日目に並べます。
次は、2日目から6日目の平均値を算出します。そして、6日目に並べます。
このようにして、平均値を算出してチャートに配置していくことで、移動平均線としてひとつのグラフとして形成されます。
移動平均線は上記のように決められた期間の平均値を並べて線にしたものということです。そして、5日移動平均線や25日移動平均線といった様々な期間の移動平均線がありますが、これは文字通り25日なら25日分、5日なら5日分の平均値を算出したデータということです。
「なぜ、移動平均線に5日や25日といった種類があるのか」という疑問があるかと思いますが、用途別に分けられているからです。投資スタイルには、スキャルピングやスイングトレードなど、投資期間によって様々なものがあります。スキャルピングは1分や30分といったごく短い取引スパンであること、スイングは1か月という中期のスパンであることを意味しています。移動平均線もこのような投資スタイルやスパンに合わせて期間を分けているのです。
移動平均線の計算方法には3種類ある
移動平均線の仕組みと用途について説明しましたが、移動平均線には期間以外にも種類があります。単純移動平均線、加重移動平均戦、指数平滑移動平均というものです。
単純移動平均線
単純移動平均線は、文字通り前述で述べた決められた期間の、終値を繋げたものです。仮想通貨初心者はまず単純移動平均線を利用して、価格変動の流れを読む練習から行うことが良いでしょう。
加重移動平均線
加重移動平均線は、それぞれの日にちと同じ数字だけをかける計算でグラフを形成しています。なぜ日にちと同じ分だけ数値をかけるのかというと、トレンドを読む際にこちらの方法を使うと直近の価格を重視したトレンドが形成されます。従って、短期売買と相性がよいといえます。
指数平滑移動平均
指数平滑移動平均は、設定した日にちと同じ日つまり直近の価格を2倍にして平均化したものです。加重移動平均線から更に、直近のトレンドを重視した平均線です。ちなみに、株式投資を行っている人の多くが、指数平滑移動平均を利用しているので、仮想通貨取引初心者も慣れてくればそちらの方法で取引を行うのが、上達の近道といえます。
移動平均線はローソク足と関係がある
移動平均線の仕組みや種類が理解出来たら、次に、分析の方法を覚えます。移動平均線単体でもトレンドを読むことはある程度できますが、ローソク足との関係性を見ることでより詳細なトレンドを見つけることができます。
まず基本として、ローソク足と移動平均線の関係、移動平均線が上下どちらの向きで形成されているかを確認することです。この作業を行うことで、現在のトレンドを読むことができ、これからの方向性まで見えてきます。
なぜかというと、ローソク足は現在の価格帯をあらわしています。たいして、移動平均線は過去から現在のトレンドをあらわしています。この2つを足してみることで、平均化された数値に対して、現在の価格が上なのか下なのかという差が見えます。その差によって、トレンドが読めてくるという仕組みになります。