仮想通貨の時価総額が分かるCoincapでは今や1,137種類がランクしており、現在取引所を介して購入することのできない、ICOなどのコインを含めると優に2,000種類以上あるのではないかともいわれています。その仮想通貨のなかの代表的な技術が、ビットコインのブロックチェーンとイーサリアムのスマートコントラクトです。どちらか一方を持っているコインはいくつもありますが、両方の技術を併せ持ったコインはかなり少なくなっています。その中で2017年にICOで10億円以上の資金調達に成功をしたQtumがあります。
Qtumとは
Qtum(クアンタム)はシンガポールのQtum Foundationが開発したブロックチェーンプロジェクトで、創業者はPatrick Dai氏です。冒頭でも書いた通り、ブロックチェーンとスマートコントラクトを併せ持つだけではなく、送信時間も約2分というスピードです。現在CoincapでQtumは、21位で時価総額1,300億円とかなり大きい規模の時価総額を誇っています。1QTUM=1,900円ほどとなっています。総発行枚数が1億QTUMで到達すると年1%ずつ上昇していく仕組みをとっています。年1%ずつ上昇させることで、価格の安定を図ろうとしているのでしょう。
Qtumプロジェクトは、ビットコインのブロックチェーンシステム上にイーサリアムスマートコントラクトを動かくことに成功しました。元々ビットコインのブロックチェーンは万人に使用できるように作られたものです。イーサリアムのスマートコントラクトは非常に重いため、今までビットコインのブロックチェーン上にイーサリアムのスマートコントラクトを動かすことは不可能でした。
しかしQtumプロジェクトはビットコインのブロックチェーン上でスマートコントラクトを動かく仕組みの開発に成功しました。これによって、スマートコントラクト稼働させながら、より早く送金が可能になりました。さらにスマートフォンやタブレット上でもスマートコントラクトを動かすことにも成功しています。技術的にことが分からない人でもこのことがどのくらい凄いのかは分かるのではないでしょうか。
Qtumを支援している人も大変豪華でイーサリアムとJaXX Blockchan Interface設立者であるAnthony Di Iorio氏、OkcoinCEOのStar Xu氏などがいます。
Qtumの特徴
Qtumは大きく以下の3つの特徴があります。
UTXOモデル
UTXOモデルとは取引時とウォレットで残高を示すときに使われるシステムで、大きなメリットとして、二重送金のリスクを下げることができます。二重送金とは同じコインを異なる相手に支払ってしまうことをいいます。そしてビットコインやイーサリアムでも度々起こる送金の遅延も起こり難いことがわかっています。UTXOモデルがどのようなものかというと、Qtumを一つの小切手として扱うということです。
小切手として取り扱うことによって、先ほどの二重送金のリスクを下げるだけではなく、取り扱うデーター量の軽量化に成功しました。さらにウォレット上では使用したか、未使用かという2択の判断なので、2進法(0か1かの判断)のコンピューターにとっては、負荷が軽いとされています。負荷の軽い技術を使用することによって、送金スピードも速くすることに成功しました。
Account Abstraction Layer
Account Abstraction Layerとは日本語でアカウント抽象化レイヤーという意味です。前述したようにQtumのブロックチェーンはビットコインの技術を使用しさらに、ビットコインのブロックチェーン上でイーサリアムのスマートコントラクトを使っています。このビットコインのブロックチェーンとイーサリアムのスマートコントラクトの間を取り持っているのがAccount Abstraction Layerです。Account Abstraction Layerという技術があるからこそ、Qtumというコインが価値を成しているのです。
POS
POSとはProof of Stakesの略でマイニング報酬の方法の一つです。POSというのは、ウォレットにあるQtumの量に比例してマイニング報酬が決まるというものです。比較されるのがPOW(Proof of Works)で主にビットコインやライトコインなどがPOWを採用しています。 POWは仕事の多さに比例しているため、より高額なマイニング機器をできる限り多く導入し、より多くの時間を稼働させることが求められます。これによって資本を持っている人間が有利になってしまいます。
POSの利点はPOWのように一部の人が独占的にマイニングをすることができなくなること、POWに比べて電気代も少なくなるといわれていることです。現在マイニングにかかっている電気量は、アルゼンチンの総電気量に匹敵するといわれPOSにすることによって、電気量の削減が叫ばれています。
Qtumを購入できる取引所
Qtumを購入できる取引所は現在日本にはないので、一度日本の取引所でビットコインを購入してから、Qtumを売っている取引所へと送金してから購入するという手段をとらないといけません。以下Qtumを購入できる代表的な取引所です。
・Binance 中国の仮想通貨取引所で、年末年始に日本人による登録者が増大で有名に。今年の初めまでは一部日本語対応をしていたが、現在は金融庁の要請のため日本語対応を辞めています。
・Bittrex アメリカの仮想通貨取引所で非常に多くの草コインを扱っていることで有名です。手数料も安く世界的にも有名な取引所の一つです。
Qtumの価格推移
去年の6月23日には1QTUM=1,834円をつけていましたが、7月21には855円まで下落をしてしまいます。8月30日には2,000円を超したこともありましたが、9月14日には再び873円まで下落してしまいます。その後は大きい値動きをすることはなく、大きく値動きをする12月10日まで800円~1,500円の間を小さいレンジ内での値動きでした。12月10日から12月19日とわずか10日で6倍以上の価格7,631円まで上昇します。
ではどうしてここまで短時間で上昇したのかというと、まず先陣をきったのが、中国大手取引所のHuobiがQtumとUSTDのペア交換を開始したことが考えられます。次に国連管轄フォーラムにCEOであるPatrick Dai氏が登壇したこと、IOT技術に新しいアプローチを行うことをツイートしたことで高騰しました。一旦は下がったもののさらにQtumの上昇は年を明けてからも続き、最終的には1月6日の11,329円まで上昇します。ここでもQtumにとってもプラスのニュースが発表されたのが理由です。Ledger walletにQtumが追加されたこと、Qtum保持者に1UBTCがAirdropにより配布されることが要因です。
しかしどの仮想通貨をみてもそうなのですが1月は中国や韓国など他の国々も仮想通貨に対し規制をかけはじめQtumも大きく下落をしてしまいました。1月6日には11,329円あった価格も1月30日になると4,500円まで下落してしまいます。この下落は2月を終わっても終わることはなく2月28日には3,000円前後まで落ちてしまいました。そして3月になっても下落に歯止めをかけることはできていません。
現在は1.900円ほどにまで下がっています。しかし仮に3月12日の2,122円を超えることができたら、ダブルボトムを形成し上昇、もしくはダブルボトムの否定しもう一回下落すれば三尊天井を作り、大きく上昇することになります。ただ、ダブルボトムも三尊天井の両方とも否定して下落していく可能性もあるので注意が必要です。ですが個人的には今現在が底の状態だと思っているので、買っても良いと推測します。
現在Qtumは下落している最中ですが、ビットコインのブロックチェーン技術とイーサリアムのスマートコントラクトという2つの技術持ったQtumは非常に素晴らしいコインの一つではないでしょうか。これからQtumが上がるかどうかは開発陣や企業や国家などとの提携次第でしょうが、多くの技術を実装しているQtumは、今後上昇する可能性の高いコインの一つではないかと推測しています。