ビットコインコアバージョン0.16.0がリリース
2018年2月26日にビットコインコアのバージョンアップ、つまり最新版がリリースされました。名称は「Bitcoin Core0.16.0」です。内容は上級者向けで、最近仮想通貨取引を始めた方や、プログラムやシステムをまだあまり理解していない人には難しい内容です。ただし、バージョンアップしたことで、仮想通貨に存在した課題に変化が訪れるといわれています。
具体的には、まず、ウォレット機能でセグウィットがサポートされました。ビットコインコアが発行されて、現在までウォレット機能に関してはセグウィットがサポートされない状態が続いており、課題となっていました。今回のバージョンアップでは、UTXO (Unspent Transaction Output)の管理Bech32のサポートがされるようになりました。
次に、Bech32アドレスの生成がされるようになりました。初心者の方には聞き慣れない難しい用語ですが、Bech32とは、送金先がセグウィットであることを示すアドレスの形式です。そして、今回セグウィット対応になったことで、Bech32アドレスを指定すると、自動でBech32をベースにしたアドレスが生成されるようになったということです。
ビットコインコアの概要
仮想通貨取引を始めてしばらくすると、例えばビットコインの技術的な分野に興味関心が出てくる人もいるかと思います。そして、そうした人が知るべきひとつのソフトウェアがビットコインコアです。ビットコインコア(Bitcoin Core)と聞くと、一見するとビットコインの派生形、アルトコインの1種なのかと感じますが、実際はビットコインを利用するために必要なオープンソフトウェアのことをいいます。オープンソフトウェアとは、無料で配布されていて、プログラムの閲覧や修正ができるソフトウェアのことです。ビットコインの取引やマイニングといった技術についてのソースコードが、ビットコインコアに含まれています。
ビットコインコアは、サトシナカモト氏が作成したビットコインの元になる技術論文に集まったエンジニアなどの方達が開発を進めています。今回のバージョンアップでも理解できますが、現在も日々システムの改善を進めています。また、ビットコインコアのソースコードはGitHubで公開されていますが、修正を行ったりできるのは、一部のエンジニアのみとなっています。因みにですが、ビットコインには、ビットコインネットワークと呼ばれる関係者がいて、世界中の人が提案してきた技術改善に関して議論が行われています。そして、それを実際に反映させるかどうかの判断もここで行っています。
ビットコインコアは、インターネット上から誰でもインストールすることができます。簡単に手順を説明すると、まずインターネット上からビットコインコアをダウンロード、インストール作業を行います。インストール・初期設定は自動で行われるので、難しい設定は不要です。そして、初期設定が完了すると、ビットコインの送受信、残高の確認などの操作や確認を、ビットコインコア上で行うことでできます。
仮想通貨に存在する課題とは
ビットコイン技術には課題があり、スケーラビリティ問題とトランザクション問題というのがあります。まずスケーラビリティについて解説します。スケーラビリティとは、例えばビットコインの技術、システムが今後拡張されて負荷が増大したときに、どれだけ対応できるかということをいいます。これが仮想通貨の何に関係するのかということですが、ブロックチェーン技術に関係してきます。ブロックチェーンには、ブロックがあり、これに取引記録が書き込まれていきます。ビットコインでは、10分毎に新しいブロックが作られます。そして、ブロックには容量があり、1MBと決まっています。実は、現在のビットコインで使われているブロックの容量は、前述の1MB上限まで使用されていることが多いのです。
容量上限までデータが入るとどのようなことが起きるか、それは処理速度が遅くなってしまうという問題が起きます。これはパソコンやスマホで例えると、容量ギリギリまでデータを使用すると、画面表示が遅くなったり、操作性が悪くなり、フリーズしたりします。これらのことをスケーラビリティ問題といいます。そして、セグウィットはこのスケーラビリティ問題を解決してくれます。取引データの中には、3つのデータ、「電子署名」「インプット」「アウトプット」があります。そのうち「電子署名」だけを別の管理に移して、圧縮します。そうすることで、全体の容量が小さくなり、約60%の圧縮ができるようになります。
次は、トランザクション問題について解説します。トランザクションとは、ビットコイン取引のことを指して、あるビットコインアドレスからどのアドレスに送金されたか示します。そして、トランザクションにはIDが設定されています。しかし、実はこのIDは外部から変更できるという弱点があります。これがトランザクション展性問題と言われていて、マウントゴッグス問題の時もこの脆弱性を突かれたことが原因でしたが、これもセグウィットで解決する方法があります。具体的には、このIDの計算に使われるデータを別の場所に移し、外部からID変更が不可能にすることで、不正アクセスのリスクを抑えることができました。
セグウィットとは
仮想通貨取引初心者の方だと、仮想通貨の種類や取引所の特徴など、そちらに注目してしまいがちですが、ある程度仮想通貨取引に慣れてきたら、セグウィットなどの専門的な内容についても覚えて、スキルアップすることも大切です。セグウィットとは、取引履歴(トランザクション・ブロックに入れる取引サイズ)を、圧縮させることで処理速度をアップできるようになるソフトウォークの名称です。ソフトウォークとは、例えば、スマホの写真のデータサイズを縮小しただけと同じことで、以前の仕様と互換性のあるものという意味です。また、ハードウォークという用語もあり、こちらは以前の仕様と互換性のないデータにして、より多くのデータが入るようにした方法です。
このように、セグウィットはブロックチェーンの各ブロックに入る、取引サイズを圧縮させる手法で、実際に導入すると、処理速度が2倍から4倍になるといわれており、セグウィットは今後の仮想通貨取引に欠かせない技術といえます。一度にたくさんの取引処理ができることで、手数料を安くすることが可能になってきます。
ビットコインコアの注目すべきバージョンアップ
ビットコインに関する技術的課題は様々な部分にあり、現在も完璧なシステムとはなっていません。しかし、ビットコインコアのバージョンアップにより、まずセグウィット完全対応というシステムになったことで、取引サイズを圧縮し、手数料を低下させることができるというメリットが生まれました。また、今回バージョンアップしたビットコインコアを多くのユーザーや取引所が導入することで、更に手数料を下げることや、取引キャパに余裕がでるということなどの好循環になります。これまで、多くのユーザーが望んでいた取引承認速度のアップや、手数料の低下が期待されるバージョンがついにリリースされたことで、今後さらに仮想通貨取引が活発に行われる要因になると考えられます。