2018年2月、金融庁がICO 規制の検討に乗り出す
2018年2月26日の情報によると、金融庁が新規仮想通貨公開=ICOの規制を検討していることが報道されました。企業が独自の仮想通貨を発行し、そこから資金調達をするICOはこれまで国内で規制されませんでした。あるいは、改正資金決済法を活用して、法と照らし合わせるなどの対応はしてきたのですが、ICOの規制という直接の行動は今回が初めてです。
ICOは、企業がトークンを発行・公募を行い、資金調達するというIPOを似ている方法です。
そして、出資者はトークンに投資を行い、その価値が上昇することを見越して売却することで利益を狙うことが出来ます。出資者側にも利益を得られる特徴があることもあり、ICOは近年様々な所で利用されています。
まず、トークンについてですが、仮想通貨と大きな違いはありません。なぜならどちらも仮想通貨といえるからです。厳密にはトークンの定義はなく、強いて言えば、既存のブロックチェーン技術を利用して発行された通貨のことを、トークンと指すことが多いです。反対に、独自技術で作られた通貨を、仮想通貨と呼ぶ場合が多いですが、ICOの情報でトークンと表記されていても仮想通貨と同じ意味として捉えても大丈夫です。
ICO とIPOの違いは?
ICOも一見するとIPOと同じ新規公開株のような仕組みと感じるでしょうが、細かい部分を確認すると様々な所がIPOと違い、メリット・デメリットになっています。
まず、IPOは株式発行を行わなくてはならないのですが、その時に証券会社の協力を得て新規上場しなくてはなりません。そして、投資家らに事業計画書など情報開示をして資金調達をする必要もあります。
このように、IPOで資金調達を行おうとすると、自社だけだは調達作業を行うことが出来ず、コストや時間がかかります。
それに対して、ICOは
1、 仮想通貨市場に参入している投資家=出資者に対して仮想通貨発行の情報を伝えます。目論見書などを作成し、自社がこれから進めるプロジェクトの概要も宣伝します。そして、投資家はその企業に対して投資を行うかどうかの検討を始めます。
2、 企業側は、特定の投資家に対して契約条件やプロジェクトの全容を提示して、詳細な条件を確認してもらいます。これをオファーといいますが、この段階で投資家は企業側の契約内容やプロジェクトの詳細を知ることができます。因みに、IPOはこの段階で証券市場に基準があるため、その基準をクリアしていない企業は公募することができません。
3、 仮想通貨の販売を始めるのですが、ひとつは各仮想通貨取引所で個別に販売する方法と、2で紹介したオファーによって提示した最低金額でリリースして、出資者たちに仮想通貨を分配する方法があります。この方法はIPOにはない独自の方法といえ、企業側が販売方法を選ぶことができるというのも、注目されているひとつの要因です。
ICOの購入方法
仮想通貨の投資家側としては、ICO に興味がある人も少なくありません。また、仮想通貨取引に慣れてくると新たな利益を求めてICOで利益獲得を考える場合もあります。しかし、仮想通貨取引の方法については、多数のサイトや書籍、テレビなどで紹介されていますがICOに関してはあまり大々的に紹介している媒体は少ないです。そこで、ICOについて購入方法などを紹介します。
ICOは仮想通貨取引所で購入することができないのがまず基本です。ですので、仮想通貨取引所で購入しようとそちらで口座開設しても、ICOで発行された通貨を購入することができません。ICOには、ICO専用のホームページが開設されています。ICOを検索すると、ICOのホームページやICOのサイトをまとめたホームページがあるので、そこから探すと見つけやすいです。
今後ICOを行うであろう企業や現在ICOをまとめているサイトは、「Token Market」、「ICO COUNTDOWN」が有名です。Token Marketは、各案件にフォロー機能があり、それぞれのフォロー数によりどれだけの注目を集めているかの参考になります。ICO COUNTDOWNもICOを行っている企業を一覧で見ることができる便利なサイトです。またサイト側で怪しい企業案件は削除してくれるサービスも行っています。自分で案件の信頼性を確認しつつサイト側でもチェックしてくれるというのは、投資家にとってとても助かるサービスです。
また、もうひとつあり、それが「Coin Schedule」というサイトで、案件数は豊富なので色々なプロジェクトやホワイトペーパーをチェックすることができます。しかし、玉石混合の案件を掲載しているということもあり、投資家側としてはしっかりと契約内容やプロジェクトが、出来上がっている案件を見極める力がより必要です。
ICO による成功事例とリスク
ICOは、仮想通貨やブロックチェーン、フィンテック同様、画期的なアイデアといえます。これまでIPOによる資金調達は、安全性の確保という重要な意味はありましたが、どうしても審査通過までの時間の長さ、全ての企業が資金調達をすることはできないといった制約や、コストが大きくなってしまうという側面がありました。ICOはそうした側面を改善できる可能性をもった新たな資金調達方法ともいえまる。近年の事例ではどのようなものがあるかご紹介します。
まず2017年のICOの結果ですが、Tokendateの情報によると、半数が実際に行われ、残りは詐欺のような案件であったということでした。ICOの期待感とは裏腹に、詐欺のような案件は半数を占めるという残念な報告もありましたが、これは企業や団体が自由に資金調達を出来るようになった反動ともいえ、一概に失敗事例をだけを見るのは、良くありません。別の視点から分析すると、2017年はICOバブルと呼ばれ、例えばFirefoxを開発したブレンダン・アイク氏が立ち上げた「Brave」という会社でICOを行いました。その結果、2017年6月に実施したICOはたった30秒で3500万ドルほどの資金調達に成功しました。そして、投資家もこの大きな資金調達の成功によりリターンを得ることができました。因みに、この資金調達で発行した仮想通貨は10億枚になりました。
ただし、前述のように全体の半数が失敗事例、つまり詐欺のような案件もあります。投資家はこれらの事例もしっかり見ることで、対策を考える必要があります。
まず、元本保証を行うような企業は疑うことが大切です。資金調達・投資に元本保証はないです。従って、仮想通貨を発行する企業側はわざと元本保証がありますと謳って、資金を回収しやすうくさせるための宣伝文句として利用する目的があり、注意が必要です。他にも、案件を見つけたら、企業・団体・代表の人物を調べることが大切です。投資家側も素性を知るように行動して、どのような企業なのかあらかじめ確認しなければ、投資したあとは企業側が資金を運用するのでどのような動きがあるのか分かりません。投資を行う前に調査をすることは最低限必要です。
各国のICOに対する規制の動き
ICOに対する各国の動きは、国内ではあまり報道されていない情報です。しかし、海外の動向を知ることで、国内が今後どのような動きをするのかという目安にもなります。
アメリカは、仮想通貨発行の発祥でもあり、市場も大きく米証券取引委員会が厳しい規制を敷いています。また、ICO規制の具体的な内容は州ごとに一部異なっています。アメリカの方向性としては、ICOもIPOと同じく登録・認可を受ける必要性があると考えられています。
ロシアは、ICOと仮想通貨にも厳しい姿勢を貫いています。現在ICOに関しては規制法が敷かれていませんが、審議中で近いうちに施行される見込みです。