Googleが仮想通貨に関わる広告を全面禁止

3月15日にGoogleが仮想通貨広告全面禁止の方針をアナウンスしました。適用は6月からということですが、1月に発表されたfacebookでの広告禁止措置に続く今回の措置で、仮想通貨関連のネット広告に一定の規制がかかることになります。今後、仮想通貨に関する環境はどのようになるのでしょうか。今回はこれまでにあった、規制や事件に関する状況を振り返りながら考察してみましょう。

過去の代表的な事件

2011年6月 マウントゴックスでのハッキング事件(日本)
当時、世界最大の取引所であったマウントゴックスにハッカーが侵入。大量のビットコインを自分の口座に移動した後で大量に売り浴びせました。この影響で一時的にビットコイン価格が約15ドルから約1セントに急落しています。同社はもともとトレーディングカードの取引をおこなっていましたが、2010年にビットコイン取引所に転換した企業です。セキュリティ面ではこの後も様々なトラブルを起こしています。

2014年2月 マウントゴックス事件 大量のビットコインが流失(日本)
マウントゴックス事件として一般に知られているのがこの事件です。480億円相当のビットコインと、顧客の預かり金28億円がハッカーによって盗まれました。当時世界で流通していたビットコインの7%に相当します。その後ハッカーは、別の取引所で盗んだビットコインを資金洗浄していることが判明しています。この事件でマウントゴックスは破綻しました。

2016年6月 The DAO Atack
The TAOというのは、ビットコインについで有名なイーサリアム内での特別なプロジェクトの名称です。このThe TAOの脆弱性をつかれ、360万イーサが盗み出されました。当時のレートで150億円に相当します。結果的にイーサリアムのコミュニティはハードフォークを実施し、現在はイーサリアムとイーサリアム・クラシックという2種類の仮想通貨に分岐して運用されています。本来、仮想通貨はこのような中央集権的な措置は望ましくないのですが、それを選択せざるをえないという意味で大きな影響を与えた事件となりました。

2016年8月 The Bitfiney事件(香港)
取引所であるThe Bitfineyにおいて12万ビットコイン(約80億円相当)がハッカーによって盗み出されました。顧客資産の36%に相当する額で、The Bitfineyは経営破綻の危機に直面しました。しかし、独自のトークンを発行して顧客に配布し、経営を持ち直した後で現金清算をおこなうことで危機を回避しています。この事件では、セキュリティを強化するはずのマルチシグの不備をつかれ、ホットウォレットに保管していたビットコインを狙われたのが原因でした。

2018年1月 コインチェック事件(日本)
日本の取引所であるコインチェックから大量のNEMが盗まれた事件です。今年に入って大きくニュースでも取り上げられ、昨年末の高騰で注目を集めていた仮想通貨に対する信頼性を揺らがせる事件となっています。被害総額は約580億円相当と過去最大の金額となりました。現在、コインチェックは払い出しなどの一部機能を回復していますが、まだ正常化していません。現在進行中の事件です。

国家による規制・対応状況

中国での国内仮想通貨取引の全面禁止措置
2017年9月、中国政府は国内でのICOの禁止と仮想通貨取引所の運営の全面禁止をおこないました。金融当局がコントロールできない仮想通貨に人民元が変えられ、国外に流出する事態を懸念しての措置と見られています。2018年にはマイニングについても停止を指示し、税制面での優遇も取りやめました。現在、ビットコインマイニングの80%程度が中国で行われているという観測もあり、少なからず影響が生じるものと見られています。今後は中国国外の取引所での仮想通貨取引についても規制をかける見込みがあり、中国の仮想通貨に関する規制はますます強化される予定です。この中国での禁止措置でビットコインの価格は一時的に50%ほど下落しました。

韓国での仮想通貨取引に関する規制強化の動き
韓国政府の仮想通貨規制についてはやや微妙な動きとなっています。韓国では今年1月に「仮想通貨取引を全面禁止する法案を提出する」という法務部長官の発言がありました。この影響が仮想通貨の価格下落につながっています。ところが2月に入って金融監督院院長が「規制強化よりも技術の発展を促し正常化へ」との発言があり、政策の一部転換をはかるようです。

世界に先駆け、取引所は金融当局の管轄に(日本)
日本国内では2017年4月から仮想通貨取引所は金融庁への登録が必要となりました。世界に先駆けて、金融当局が直接監督する事例となりました。法整備以前から営業している取引所については一定の猶予期間を与え、その間に登録を進めるという形で運営されています。2018年1月に起こったコインチェック事件を契機に、取引所(みなし業者含む)に対して調査が入り、3月になって7社が行政指導を受けています。うち2社には業務停止命令が出されるなど、規制強化の流れとなっています。

その他の国の状況
インドネシアでは2018年1月に仮想通貨の販売・購入・取引を控えるように、バンク・イン・インドネシアから声明が出されました。仮想通貨を用いた決済処理についてはすでに停止されています。エジプトでも禁止の動きであると伝わってきています。同じく1月には、イギリス首相がダボス会議において犯罪に利用される仮想通貨について懸念を表明しました。3月下旬に行われるG20では、仮想通貨の規制についてなんらかの合意が行われる可能性があります。ドイツ・フランスがこの議題を提出する予定とされています。

金融機関・カード決済などについて

】2018年は仮想通貨の規制強化元年か各国の国営銀行や有力金融機関、クレジットカード会社なども仮想通貨について、対抗措置を取り始めています。国家がコントロールできない仮想通貨が決済手段として有力になれば、経済政策など国の戦略に影響を及ぼしかねません。また、クレジットカード各社は直接的な市場が奪われる可能性のある、有力なライバルとして対抗措置を取り始めました。

クレジットカード各社の対応
2018年2月、VISA、Mastercardはクレジットカードを使った仮想通貨の購入に際して、それまでの「カード決済」から「キャッシング」へと取り扱いを変更しました。「カード決済」であれば手数料4%で済みますが、「キャッシング」になるとさらに5%程度の利率が加算されます。合計10%近い手数料が必要となれば、仮想通貨の購入手段としてカード決済が事実上選択できなくなります。実際、アメリカなどではクレジットカードの利用割合が高く、この事が2017年の市場の盛り上がりを下支えしていたため、取り扱いの変更は直接的に影響の大きい措置と言えます。

2018年の主な動き

2月

・Zaif(日本国内取引所)において、クレジットカード決済の停止
・イギリスで金融機関関連クレジットカードの利用禁止
・アメリカ、バンクオブアメリカ、シティグループ、JPモルガンで決済禁止
・VISA、Mastercardで仮想通貨購入の際の金利アップ

3月

・biFlyer(日本国内取引所)において、クレジットカード決済停止
・Zaifでゆうちょ銀行からの入金を停止

今後の仮想通貨市場の動向

3月にアルゼンチンで開催されるG20では、先進各国による一定の仮想通貨規制について話し合いが持たれる可能性が高いと予想されてます。しかし、マイナス面だけとは言えません。国家による規制は行われるものの、取引自体が禁止されない限りはむしろルールが整備され、一般の投資家も安心して参加できる市場へと進化する可能性が高まります。また、FX取引などと同等の市民権を得ることができれば、課税措置についても現在の雑所得としての最高税率55%(国内・所得税他)からFX並の20%源泉分離課税になる可能性もあります。

2017年12月にはアメリカでCBOEグローバル・マーケッツ、CMEでのビットコイン先物取引がスタートし、東京金融取引所(TFX)も「可及的速やかに上場したい」と、取り組みに意欲的です。ナスダックもビットコイン先物の上場を検討中とアナウンスされていますし、CBOEではビットコイン以外の新たな仮想通貨先物の上場を検討しています。ETFなどの金融商品も近いうちに実現する可能性が出てきました。取引所では数多くの事件を起こしているように、セキュリティ面で脆弱であることが問題視されていました。しかし、上記のような金融取引所のセキュリティは格段に安全ですので、仮想通貨の流動性の確保と一般投資家の安定した取引に寄与するものと思われます。

ここ数年、急激な価格の上昇と各地で起こったハッカーによる大量の資金の流失で、何かと話題になっている仮想通貨ですが、その背景となる技術は素晴らしいものです。21世紀以降の資金決済をはじめとする、さまざまな世界を変革するポテンシャルを持っているのはまぎれもない事実です。2018年は規制強化の流れが目立ちますが、これを機に制度が整備され適切な取引ができるようになれば、むしろ仮想通貨にとってメリットであるとも考えられます。常に最新の情報に注意を向けながら、正しいスタンスで取引に取り組みましょう。