ついにライトニングが実装改めてその特徴やもたらす利点を説明
2018年3月15日、ビットコインのスケーラビリティ問題やマリアビリティ問題解決に有用であると長年言われ続けてきた、ライトニングネットワークを開発しているライトニングラボからうれしい発表がありました。なんと、ついに、ライトニングネットワークがビットコインのメインネットワークに実装できるようになったのです。

今回はこの発表を受け、改めてライトニングネットワークとは何か、またライトニングネットワークが実現することによって、今後仮想通貨業界にどのような変化が訪れるのか、説明していきます。

ライトニングがメインネットに実装

繰り返しになりますが、さる2018年3月15日に、ライトニングネットワークがビットコインのメインネットに実装できる状態にあるという発表がなされました。ライトニングネットワークを利用して送金受信をすることが可能になったのです。ただ、あくまでも現時点ではテスト段階で、一般利用ができるような簡易なソフトウェアになっているわけではありません。
一部の専門的な知識を有するユーザーが試験的に運用している段階です。公式でも高額の取引は行わないよう注意喚起がなされています。また、現時点でのローンチが早急であるという批判があるのも事実です。

ただ、これまで数年にわたって、ライトニングネットワークはビットコインが抱える、スケーラビリティ問題を解決する方法として、注目を集めていました。ですが、ビットコインが抱えるマリアビリティ問題によって頓挫しており、開発から数年の時をへてやっと実装にこぎつけたわけです。IT関連企業の中にはこの発表を受けて、ライトニングラボに250万ドルのしゅっしを決めたものもあります。その中にはあのtwitterのCEOも含まれており、そのことでも現在話題になっています。

話題になり、かつビットコインが現在微妙に復調していることにも影響を与えているライトニングネットワークですが、そもそもどのような仕組みでどのような特徴をもっているのでしょうか。

そもそもライトニングとは

改めてライトニングの特徴やもたらす利点を説明ライトニングはビットコインのスケーラビリティ問題を解決するために考え出された解決方法の一つです。ビットコイン上ではなく、オフチェーン上で取引を行うことで、手数料の低額化あるは無料化、そして取引速度の高速化に貢献できるとされています。ライトニングが登場する前にも当然、ビットコインが抱える諸問題解決を目指したシステムは考えられていました。

それがペイメントチャネルです。簡単に言うと、取引の最初と最後だけをビットコインのブロックチェーン上で行い、それ以外の工程はブロックチェーンの外で行うというもの。ペイメントチャネル方式自体は非常に画期的だったのですが、一つ大きな問題がありました。取引を行うためには任意の二者間でペイメントチャネルを作る必要があり、しかもそれほほかのペイメントチャネルからは独立していなくてはならなかったのです。取引があればその分だけチャネルを作らなくてはなりません。当然ビットコインのように、日々膨大なトランザクションが行われているブロックチェーン上で実装できる代物ではありませんでした。

ペイメントチャンネルの問題を解決し生まれたのが、ライトニングネットワークなのです。ライトニングネットワークは直接取引を行う以外の他社をネットワークに取り込むシステムをとっており、ペイメントチャネルのような直線の構造ではなく、蜘蛛の巣のような縦横無尽に張り巡らされたネットワークを作ることができるシステムになっています。もちろん取引はトラストレス、間にはいるハブとなる人間の信用度にかかわらず安全な取引ができるようになっているのです。

ライトニングの前に立ちはだかったマリアビリティ問題

ライトニングネットワークが提唱されたのは実は2015年のこと、メインネットへの実装に約3年間かかったのにはビットコインが抱えていた背景にはスケーラビリティ問題以外にビットコインが変えていた、もう一つの問題があります。それがマリアビリティ問題です。ビットコインのトランザクションは簡単に言うと、アウトプット(送金情報)、インプット(受け取り情報)の大きく分けて二つの情報群で構成されています。

そしてアウトプットにはScript Pubkey(ビットコイン送金先のアドレスをロックする)、インプットの中にはScript Sig(ロックを解除するカギ)と呼ばれる暗号が含まれています。ビットコインは設計上の不備で、このscript sigを書き換えることができてしまうのです。そのため、2重支払いや不正に取引内容を書き換えて、ビットコインを抜き出してしまうという問題を抱えていました。当然、マリアビリティ問題があるため、ライトニングのように取引の間に第三者が介入しなくてはならないシステムの実装は困難でした。この問題を解決するために考案された仕組みがsegwitです。

書き換え可能なscript sig部分を外部に出して、別途保管することによって書き換えを未然に防ぐことができる、という仕組みになっています。

Segwitは単純にマリアビリティ問題以外にも、ライトニングネットワークのようなオフチェーンの仕組みを実装するために必須であったため、ひいてはスケーラビリティ問題を解決する方法としても注目を集めていました。当然すぐに実装されるものと思われですが、ここでまたしても大きな問題が起こります。それが、ビットコイン内部の分裂です。

ビットコインはあまりに市場規模が大きくなりすぎ、利権をめぐり内部に大きな派閥ができてしまいました。一つが、マイナーを中心に結成されたグループで主に、マイニング価格を上げることを目指しています。Segwitやsegwitを実装することで可能になるライトニングネットワークをはじめとしたオフチェーンでの解決法が実行されることは、ブロックチェーン上でマイニングされる数が少なくなることを意味していました。

また、segwit採用するとマイニングにかかる費用を節約することができるプログラミングが利用できなくなるためマイニング報酬が少なくなります。こうした理由からViaBTCといったマイニング量の多い、中国に拠点を置くマイニングプールが、segwitの実装に反対していました。もう一つのグループがビットコインの当初の理想に忠実なグループで、ビットコインの設計図に忠実に改善を加えていくことを理念としていたため、オフチェーンで実装できる、segwitを推していました。両社の対立は深く、対立の結果2017年8月1日に生まれたのが、ビットコインからハードフォークしたビットコインキャッシュです。

このように、利権構造による対立が長引いた結果segwitのビットコインへの導入は長引き、結果として2017年の8月24日にやっと導入されることになりました。この導入によって、ライトニングネットワークをビットコインのメインネットに導入する道筋がたち、2018年3月15日の実装につながったわけです。

ライトニングによって何が変わるのか

ライトニングネットワークが実装されることによって、何が変わるのでしょうか。まず手数料の低額化、またほぼ無料化が起こるとされており、高速かつ非常に低額での取引が可能になると言われています。またもう一つがビットコインなど仮想通貨取引以外への拡張です。オフチェーンで実装することができるため、IoTネットワークなどリアルな世界での利用も可能になってくることが予想されています。もちろんこのことによって、ビットコインも復調する可能性があるでしょう。

仮想通貨が大幅に飛躍

今回は3月15日に行われた、ライトニングラボによる、ライトニングネットワークがビットコインのメインネットに実装されたという発表を受けて改めて、ライトニングネットワークがなんであるか、そしてビットコインがこれまで抱えていた問題を概観してきました。スケーラビリティ問題、マリアビリティ問題が改善することで、大幅にビットコインの使いやすさが上がるだけでなく、仮想通貨が本来想定していた様々なユースケースにも実用レベルで対ることができる見通しが立ってきました。

また、2018年度は、イーサリアムが同じように諸問題を解決するために取り組んできたplasmaが大きく実用に向けて動き出すと言われています。
仮想通貨が大幅に飛躍していく年といえるでしょう。