2016年下旬、ノア・ファウンデーションが提供するICO案件ノアコインは、当時ICOプレセールを募っていたカルダノ財団提供のエイダコインと評判を2分するほどに高い評価を誇っていました。しかし2017年中旬にさしかかって日本で行っていたセールスに虚偽の内容があることが発覚したことで、フィリピンの日本大使館がノアコインは国家プロジェクトではないと声明を出した時点から、世間はノアコインに対して懐疑的な評価に切り替わっています。

その後、各代理店サイトで公表されていたノアコインスポンサーにも実際に契約していないフィリピン航空グループが掲載されていたことで各スポンサー打ち切りとなるなど、プロジェクトの持続が困難になるほど「詐欺コイン」の悪名が高まりました。その結果2017年7月4日にプロジェクトは進行しつつもICO販売を自粛し、希望者には返金対応する事態となり、ノアコインは一時世間から姿を消しました。

ところが2018年になってほとぼりが冷めたのか、ノア・アーク・コインに名前を変えて本年6月12日に向けて上場確定を発表しました。

ノアコインの目的

ノアコインを一言で表すと、フィリピン人の為の出稼ぎ用通貨と表現できます。現在、国際間で通貨のやり取りを行うにはペイパルやウエスタンユニオンなど多数の送金手段はあるものの、どの送金方法においても1,000円を下回る手段は無く、外国への出稼ぎが多いフィリピンにおいて自国への戻りが少なくなり損をしてしまいます。ビットコインを使用して自国へ送金すると手数料は安く済みますが、それよりも国内で新たな仮想通貨を作る事によって市場に介入できると考えた人々がノア・ファウンデーションを設立し、仮想通貨ノアコインをフィリピンで流通させることで出稼ぎの送料負担を軽減しようとプランニングされました。

そのプランは次第にエスカレーションし、マレーシアで既に流通しているmface(エムフェイス)が提供するMコインの流通システム「Mシティ」を仮想通貨に転用したノアシティを作る計画へとシフトしていきました。その計画は壮大なものでしたが、ノア・ファウンデーションの設立からまもない頃のプランであった為にサポートが追いつかず、事業は失速へと向かっていきました。

ノアコインの失態

ノアコインにおける最大の問題は、プロジェクト構想が非常に壮大であることに対して各代理店をサポートするオフィスがレンタルオフィスであり、サポート人数が極めて少なかったことです。これにより日本の代理店の暴走を止める事ができず、日本の代理店の一部が「国家プロジェクトくらいの規模」と表現すべきところを大々的に「国家プロジェクト」と報道してしまったことにより、フィリピン大使館が報道を訂正する事態となってしまいました。

またほぼ同時期に、別の代理店がノアコインのメインスポンサーとサイト上に宣伝したことに対し、富豪ルシオ タン氏と関連するフィリピンナショナルバンク(PNB)は「法的手続きを辞さない」と、ノア・ファウンデーションとの関連性の全てを否定しました。これらのトラブルに対してまだサポート体制が整っていなかったノア・ファウンデーションは事態を収拾することができず、さらなる問題が浮き彫りになったためにICOプレセールを第三期で終了し、公開日までひっそりとプロジェクトを進行してきました。

これに対し、同時期ICOプレセールを募っていたカルダノは「世界のオンラインゲームにおける不正の無いプラットフォームを作る」という、ノアコインのプロジェクトに比較して国や他社の干渉の少ない小規模プロジェクトであったことが救いなのかもしれません。

ノアコインのモデルになったmfaceのMコインとは

ノア・アーク・コインとして6月12日に上場確定ノアコインの流通、ノアシティの実現に懐疑的な声は、公開日を発表した2018年も未だ続いています。しかしノアコインにはモデルがあったのです。ノアコインのモデルとなったmfaceの提供するMコインは既にマレーシア国内において流通しており、その規模はMシティを作るだけに留まらず世界各国、日本にも市場を伸ばしています。

Mシティでは日本人向けの不動産も出ており、不動産支払いはMコインだけでなくRM(マレーシアリンギット)や、日本円で購入することもできます。その拡大が過ぎた市場はノアコイン同様に詐欺、マルチ商法とメディアに騒ぎ叩かれることも多く、まさにノアコインの未来を見ているようです。ですから、ノアコインもMコインを踏襲することにより、同じようにフィリピンにてノアシティを実現できると考えたのでしょう。ノアコインが行おうとしている未来は既に存在しており、夢物語ではありません。

ノアコインが「ノア・アーク・コイン」として復活し、公開確定

その名前の由来は、「NOAH」の略語を使う仮想通貨が市場に出回っているという噂や、Ark Systems Technology Holdings inc(アークシステムズテクノロジーホールディングス)がスポンサー加盟したことで社名を仮想通貨名称に組み込んだという噂があります。真偽は定かでないものの、既にノアコインは存在しません。この改名で過去の汚名をそそぎ、クリーンな仮想通貨として再スタートを迎えるのでしょうか。その記念すべき上場日は母国であるフィリピンの独立記念日です。晴れ晴れしい日に、大手取引所5か所で同時上場を予定しているとの情報が流れていますが、正式に公表されている情報では無いため、ノア・ファウンデーションの情報公開を待ちましょう。

ノア・ファウンデーションが行う現在の活動状況

ノア・アーク・コインの上場公開を待たずして、ノア・ファウンデーションは既にフィリピン国内で事業活動を開始しています。注目すべきはForbus Asiaが隔週で発行するビジネス誌「Forbus Asia」の2017年12月号に掲載されたノア・リゾートです。このリゾートは一足先にノアシティを体験できるツアーとして既に開発が完了しており、2018年6月にはノア・アーク・コインの支払いに対応し、実際に体験できるようになるとのことです。

ノア・アーク・コインは買うべきか

全身であるノアコインは、プレセール時の不祥事により第四期まで計画されていたプレセールが第三期で中断されています。第四期は2017年12月11日から2018年4月30日となっているためにいつプレセールが再開されてもおかしくないのですが、2月現在、その発表は未だありません。このまま6月の公開日まで購入手段が無いままプロジェクトは進みそうですが、公開後にかつて悪名高かった仮想通貨を購入したいという人はいるのか、SNSの情報をもとにリサーチを行いました。

結果、ノア・アーク・コインに対する評価は極めて好意的な内容が多く、中には「エイダコインもかつては詐欺コインと言われていたが、今では上場を果たして世間の信頼を集めている」「ICOで買っておけば、どの通貨も高騰する」などの声が上がっており、市場はノア・アーク・コインを受け入れる姿勢ができています。それではこの仮想通貨を買うべきか判断するとなると、それは非常に懐疑的なものがあります。仮想通貨の取り締まり規制が世界各国で発足しており、テックビューロが提供するプラットフォーム型仮想通貨COMSAによってICO案件が支配される可能性がある中、果たしてノア・アーク・コインは何の支障もなく上場できるのか定かではありません。もし6月12日に無事に取引所上場しても、リスク回避のために失っても良い金額の投資を行うことをおすすめします。