今年の1月には9万円の価値だったビットコインですが、10月10日にはついに50万円を突破し、金塊の時価相場を超えるまでになりました。過去には投資会社マウントゴックスの事件やビットコインキャッシュの分裂など様々な信頼喪失の危機にさらされてきましたがそれでも相場は上がり続ける一方なので、その信用力は計り知れないものです。
この仮想通貨市場に現れる投資家心理は、投資バブルの名言に現されています。
「音楽が鳴り止むまでダンスを踊り続けるしかない」
この状態は、市場価値で見ると相場の急落を招く恐れがあり危険状態ではあるものの、世間が驚くくらの高額に上昇する可能性も十分にあるのです。
国際通貨基金『IMF』が見るビットコイン
International Monetary Fund(IMF)とは国際通貨基金と呼ばれ、為替の安定化を目的として1945年にアメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.に設立されました。このIMFは世界189か国が加盟しており、代表である専務理事はフランスの政治家/弁護士のクリスティーヌ・ラガルド氏です。
この『通貨の番人』が2015年のスタッフ・ペーパーで、仮想通貨規制に関してはバランスのとれたアプローチが重要だと語っており、不安要素は残るものの、ビットコインに期待しているとも言える考え方を表したのです。つまり国際通貨の基準がビットコインを通貨として見ているとも取れますね。ビットコインの価格上昇の兆しは2015年に既にあり、IMFに見守られながらその価値を高めていったのです。
IMFの専務理事の発言「ビットコインは発展途上であり、今は静観すべきだ」
9月29日にロンドンで行われたカンファレンスで、IMFの専務理事であるクリスティーヌ・ラガルド氏は「ビットコインは発展途上であり、今は静観すべきだ」との発言を行いました。
【原文】
「仮想通貨は多くの面で、既存の紙幣や金融政策を妨害する存在になるかもしれません。中央銀行がとるべき行動は、国の経済にとって効果的な金融政策を実施しながら、仮想通貨の新たなアイデアや需要を分析し理解することです。」
この言葉の表すように、最近では投資銀行や証券会社の動きが国際間の相場に変動の少ない仮想通貨にシフトする傾向が見られています。特に経済的に弱く通貨が安定しない国に住む人々から一定の需要があると、ラガルド氏は語っています。
確かに、経済的に弱い国は海外に出稼ぎに出る事が多くて田舎に送金を送る際にビットコイン使用する事が多いという事は既知の事実です。そしてビットコインがハードフォークやソフトフォークを繰り返す事によって、より簡単で安全な通貨となる事をラガルド氏は望んでいるのです。
ロシアの暗号通貨が急速に発展中
一方ロシアでは、プーチン大統領が熱狂的に仮想通貨を推進しており、大統領が関連する会社でマイニング事業を行うほどの熱の入れようです。10月10日の会合では、エルヴィラ・ナビウリナ中央銀行、アラン・シルノアノフ財務相、オルガ・スコロボガトバ中央銀行副総裁などのロシアの頭脳がプーチン大統領の元に集まり、暗号通貨の将来に向けた規制とその重要性の確認が行われました。
ただし、ロシア全体が仮想通貨を推進している訳でなく、あくまでプーチン大統領の思想によって仮想通貨の未来が描かれているのであって、消極的な意見や懐疑的な意見も絶えないようです。例えば、ロシア連邦貯蓄銀行(ズベルバンク)の副総裁は次のように発言しています。
【原文】
「われわれは、あらゆる仮想通貨に関する取引はロシア市場にとって悪影響を及ぼすと見ており、仮想通貨を支持できるとは考えていない。ロシア市場では、このような金融手段(仮想通貨)の運用を目指す動きを規制する措置を講じることになるだろう」
このように貨幣を取り扱う銀行が難色を示している為に、ロシアが本格的に仮想通貨に参入してくるのはもう少し先になるでしょう。中国が仮想通貨を規制し、国外に締め出してしまった今では、ロシアの参入が仮想通貨市場の数少ない起爆剤となるのです。
ビットコインSegwit2x分裂における危機感
今年の1月より前から、ビットコインは年末には50万円を超えると予想されており、10月には見事に予想が実現化されました。一部のビットコインホルダーたちはこの相場をビットコインが単独で成し遂げた物と考えて次の値上がりに備えているようですが、今のビットコイン相場はIMFや各国の首相が言うように非常に不安定な状態なので、この価格を維持できるか非常に心配です。
今のビットコインには不安要素が多く、10月25日のビットコインゴールドの分裂やビットコインSegwit2xに再分裂するかもしれないという心配ばかりが募っています。それでも市場を賑わせているエイダコインなどの他の仮想通貨に相場が引っ張られている事や、ハードフォーク中毒者たちが新しく分裂するビットコインを手に入れようとこぞって買い集める事で底値が引き上げられているのです。
ではハードフォークが終わってしまうとどうなるのでしょうか。ビットコインゴールドやsegwit2xに分裂した時の配当を狙うのは賢いでしょう。しかしその後、ハードフォークで利益を出した投資家たちはビットコインに飽き、他の将来性や信用のある仮想通貨にシフトしていく可能性があります。そうなると、ビットコインの価値は途端に急落し、今現在、ビットコインの相場が急上昇している中でロングで保持しているビットコインホルダーたちは大損をする事態となり危険です。
投機化しつつあるハードフォーク
ハードフォークはビットコインのネットワーク改善が本来の目的ですが、投資家としては副産物である新しい仮想通貨を手に入れる事に意義があります。過去にビットコインキャッシュが生まれた時には、8月1日以前からビットコインを保持していた人たちは一夜にして10~20%ほどのビットコイン資産を増やして成功しているのです。
そのため今度のビットコインゴールドやビットコインSegwit2xのハードフォークへの期待も一時的には高くあり、ビットコインゴールドのリード開発者であるH4x3rotab氏はBraveNewCoinのインタビューに対して「今後、Segwit2xやB-cashに加えてC-cash、D-cash、Segwit4x、Segwit8xのようなハードフォークが行われる可能性がある」と見ています。
このようなハードフォークが慢性化してしまうと次第にビットコインのユーザーが分散してしまい、大きなビットコインという本体が次第に切り崩されて他の通貨に劣るほどの勢力に縮小されてしまいます。それでは通貨として存在意義が危ぶまれるので、サトシ・ナカモトがドメインを取得してビットコインの初期にソフトを頒布するために作られたサイト「Bitcoin.org」が立ち上がりSegwit2xを非難するブログを公開する事となりました。
◆Bitcoin.orgがSegwit2xを非難
https://bitcoin.org/en/posts/denounce-segwit2x
自由な仮想通貨ビットコインの規制が始まる
ビットコインキャッシュから始まったビットコインの分裂騒動では、関係者各位で数々の意見対立が行われていたようです。ここで気になるのは、『ビットコインは中心管理システムが無く支配者のコントロールを受けない自由な仮想通貨だったのではないか』という事です。直接的なビットコインの管理でないにしろ、ビットコインの流通量やその方向性に関与できる団体がある事が露見されました。Segwit2xを非難している「Bitcoin.org」もビットコインのファンサイトの一つとはいえ、その団体に関与している可能性も考えられます。
これらの団体が世間の目に付くにも構わずビットコインの動向に抵抗を始めた理由には、ビットコインの自由過ぎる活動に規制をかける動きが始まったのかもしれません。このままビットコインは安定期を迎えるのか、規制の元で相場が左右されるのかは不明ですが、今までのような自由さや相場の大きな動きは縮小される可能性があります。