投資と言えば、FX投資、株式投資が一般的ですが、投資家や資本家からすれば、仮想通貨に対する投資も有効な投資手段として見られています。
日本では仮想通貨取引所のCMが放映されている他、テレビ、ラジオ、雑誌等の各種メディアに取り上げられており、仮想通貨に対する認知度は飛躍的に向上しています。それに伴い、新規に仮想通貨投資を行う人や投資を検討する人が増加中の傾向にあります。
また、仮想通貨の種類は数多くありますが、その中でも価値や流通量のあるビットコインが最も注目されています。そして、ビットコインは仮想通貨の基軸と言われており、ビットコインの価値の変動が他の仮想通貨の価値に対しても影響を与える事は少なくありません。その為、ビットコインの今後の動向には、投資家やユーザーだけでなく、世界各国の政府、金融機関も注目している状況にあります。
2017年ビットコイン価値の変動について
仮想通貨元年と言われる2017年におけるビットコインの価値は、激動と呼べるほどの変化を見せています。年初のビットコインの価格は10万円程度でしたが、2017年12月半ばには一時200万円を超えるなど、一年間で20倍近く価値が向上しました。しかし、価値の上昇は長くは続かず、現在では160万円台を推移するなどその価値は激しく変動しています。
ビットコインの価値が上昇した要因は、まず、日本で2017年4月から改正資金決済法が施行され仮想通貨に関する制度整備が進んだことが挙げられます。加えて、12月からシカゴ・オプション取引所(CBOE)とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でビットコインの先物取引が開始されるなど、ビットコインの取引の環境整備が進んだことが要因です。また、プラスの要因に加えて、ビットコインの価値の高騰が各種メディアに取り上げられた事で、更に仮想通貨の認知度が向上し、ビットコインに対して新規に投資をする人が増加したことも要因となっています。
しかし、2017年は価値の高騰だけでなく、ビットコインにとって価値の下落を引き起こす情報も流れています。
その中でも世界的なニュースとして、2017年年初、中国政府が大手仮想通貨取引所に立ち入り調査を行い、信用取引が停止されただけでなく、さらに9月初めには、新たな仮想通貨の発行による資金調達を禁止する通達が出され、10月末には中国の仮想通貨取引所は業務停止に追い込まれるなど、中国で厳格な規制が実施されています。
そして、中国の規制の動きだけでなく、北朝鮮が資金源として仮想通貨取引所をハッキングしてビットコインを盗もうとしているという情報があり、実際に韓国の仮想通貨取引所が何回もサイバー攻撃に遭い、破産に陥っています。
価値の変動が大きいビットコインですが、来年もフランスの外相がG20の議題として提案するとしている他、世界各国がビットコインを中心とする仮想通貨の規制に向けてどのような動きをとるのか要注意と言えるでしょう。
ビットコインによる支払いは今後普及するのか
実物取引でビットコインが初めて使用されたのは、2010年5月にピザの購入とされています。この時には、ピザ2枚で1万ビットコインが支払われており、現在の価値からは想像もできない価値でした。
その後ビットコインで支払いができる商品が増えているとはいっても、商品の価格がビットコイン建てで決定されている場合は、ほぼありません。ほとんどの場合は支払い額に関して、価格は何円というように既存の通貨建てで決まっています。
商品やサービスに対するビットコインでの支払額は、その時々のビットコインの相場次第で変動します。現時点ではビットコインへの需要は、モノやサービスの支払いといった取引を目的にはしておらず、価値の上昇を期待した投機的なものがメインと言えるでしょう。
このためビットコインの価値は、投資家の動き次第で大きく変動し非常に不安定な状況に置かれています。
逆に考えれば、更にビットコインによる支払いが普及し、ビットコイン建ての価格表示が行われるようになることで初めてビットコインの価値は安定したものになると言えるでしょう。
そして、ビットコインを使った決済が広く行われるためには、手持ちのビットコインが支払額に足りない場合に、カードなどのようにいつでも簡単に借り入れで賄えることが必要です。
しかし、ビットコインの貸し借りを行う為には、世の中で使用されているビットコインの量を安定的にコントロールできなければ不可能です。その仕組みが現時点では十分に整えられていない為、ビットコインの支払いが今後普及するのかについては不透明です。今後、仕組みが整えられていくようであれば、ビットコイン支払いの普及は進むでしょう。
ビットコインは今後も基軸通貨として扱われるのか
ビットコインは立ち位置として仮想通貨の基軸通貨として扱われていますが、類似の仮想通貨に加え、新たに発行されている仮想通貨もあります。
つまり、仮想通貨として基軸となりうる通貨は他にも存在していることになります。現在、ビットコインのシステムでは取引が確定するまでに10分程度が必要であり、取引速度の遅さが問題視されています。
また、仮想通貨の中で圧倒的に大きなシェアを占めているものの、より進化したシステムを採用した仮想通貨が広く利用されるようになるという可能性もあり、そうなるとビットコインが最後まで基軸通貨として扱われる保証はありません。
また、ビットコインは金のようなものと言われることがありますが、金の場合には、仮に地球上の金を採掘し尽くしてしまっても、電子部品やコネクタなどに使うなど金属としての価値がなくなるとことが無い為、希少性がなくなることはありません。
しかし、ビットコインはマイニングと呼ばれる膨大な計算を伴う取引の検証作業を行う人が誰もいなくなってしまった場合、システムが機能しなくなり、取引を行う事ができなくなる為、無価値になってしまいます。
発行量が上限の2100万ビットコインに達した後は、利用者が支払う取引手数料をマイナーが得ることが可能である事からシステムは維持されると見られています。しかし、実際にシステムの維持ができるのかは予測が出来ず、発行上限枚数に到達してみないと分かりません。
いざとなれば、発行の上限を取り払って、現在のようにマイナーが新規発行のビットコインを手に入れるという仕組みに変えることは不可能ではありません。もっとも、システムの改変に関して言えばその仕組みに変更する段階で、価値の変動などのリスクがあります。
ビットコインの2018年の価格予想
2017年だけでも20倍近く価値が高騰するなど注目を集めているビットコインですが、価値変動の要因を多く抱えた通貨である事は間違いありません。
中国が大規模な規制を行ったように、来年以降各国でも厳しい規制が実施される可能性があるだけでなく、今後も価値の高騰が続けば、ハッキングを始めとしたサイバー攻撃の標的になる可能性があります。
今後、ビットコインは価値の上昇は継続的に続いていくと専門家も予測している為、今後も基軸通貨として注目されていくでしょう。しかし、ビットコインに投資を行う場合は、ビットコインの価値や今後の将来性を見極めた上で投資を行う必要があります。
ビットコインは仮想通貨の中でも価値が一番高い仮想通貨であるために、情報によって価値が大きく変動する傾向があり、一時は利益がでても、一気に資産がなくなる可能性も孕んでいる事を忘れないでください。