2018年仮想通貨の発展はこのまま続いていくのか

これまで、仮想通貨の市場は現在ほどの注目度がなくても拡大傾向にあり、2017年においては爆発的な拡大となり、時価総額上位の仮想通貨の殆どは価値を上昇させています。その為、仮想通貨の価値の上昇に大きな注目が集まった一方で、数日で価値が半減することもあり、多くの利益を得る人がいる中で、大きな損失を出す人も増加しています。仮想通貨に対する投資は、余剰資金で行う事が推奨されていますが、アメリカでは家を担保にしてまで仮想通貨を購入する人が出始め問題となっています。仮想通貨への期待値は相変わらず高いと言えますが、規制強化の動きが起きるなど楽観視は出来ない状況です。

日本国内大手取引所にて仮想通貨ネムがハッキングによって失われる

2018年1月26日、日本国内の大手取引所で事件が起きました。2017年12月から有名人を起用したCMを放映し、多くの投資家が利用している国内大手仮想通貨取引所Coincheckで仮想通貨ネムがハッキングに受け不正送金されています。被害に遭ったのは5億2千3百万ネム、被害額は500億円を超えており、国内外で前代未聞の事件と言えるでしょう。

Coincheck側は金融庁、警視庁、ネム財団に報告を行っています。しかし、27日に記者会見が行われるまでは、情報が錯綜し、このまま破産する、預けていた通貨や日本円が失われるといった事が囁かれるなど、阿鼻叫喚と言える事態となりました。

記者会見が行われれば、事態は落ち着くかと思われましたが、記者の質問には社長があまり応えることもなく、肝心な質問には検討中を繰り返す等、逆に不安を煽る結果で会見を終えています。セキュリティに関しても、投資家の方からすれば信じられない状況でネムの管理がされており、セキュリティの知識・経営者の意識として信用するに値しないものと言えるものだったでしょう。

現在、Coincheckでは仮想通貨の売買、日本円の出金等ができない状態が続いており、被害に遭ったネム保有者に対する補償方針を打ち出したものの、開始時期が明確になっていません。こうした状況の中で金融庁からの業務改善命令、コインチェックの仮想通貨管理の甘さがテレビなどのメディアで幅広く取り上げられるなど、大きな問題となっており、仮想通貨の価値もこの騒動を受けて軒並み下落が続いています。これに関連して言えば、coincheckに資産を預け入れていた投資家・一般ユーザーも含め、訴訟の動きも活発化しています。

認知度の高まりとともに消費者問題も増加傾向

消費者からの商品やサービスに関する苦情や問い合わせを受ける消費生活センターですが、仮想通貨に関する相談は急激に増加しています。2014年度は194件であったのに対して、2年後の2016年には634件と3倍以上となっています。また、2016年度の集計結果から、問い合わせをしてくる年齢の過半数以上が60歳以上の方であることが分かっており、仮想通貨に関して知識を持っている若年層ではなく、あまり知識を持たない高齢者に的を絞り勧誘などが行われている現状があると言えるでしょう。

2017年4月から集計が開始された金融庁の金融サービス利用者相談室への相談件数は、集計が開始されてからの半年間だけで1,000件を超えている状況です。そして、これから公表される2017年度の消費生活センターへの仮想通貨に関する相談件数はこれまでよりも確実に増加していることは間違いありません。

消費生活センターは相談事例を公表しています。相談事例として多いのは、登録されている交換業者を使用しての取引の相談よりも、知人経由での購入や投資の勧誘をはじめ、投資詐欺グループがこれまでは株式等の投資の名目で資金を集めていたものです。株式の代わりに投資案件として、仮想通貨での投資を謳って資金を集めるようになり、問題となっています。これに関連して、金融庁に登録されている交換業者を利用しての取引であれば、詐欺が起こることはありません。

ICOに対しての規制が厳しくなる可能性が高まっている

仮想通貨にとっての2018年は今後を左右するICOは資金調達手段の一種です。これから新規に発行するコインについてのホワイトペーパーと呼ばれる事業計画書等をネット上に公開し、その上で事業に対して投資家がクラウドセールという募集に応募します。これらの投資には、ビットコイン等の仮想通貨を使用してコインを購入するのが一般的です。

このICOに対し、仮想通貨イーサリアムの共同創業者Joseph Lubin氏やRipple社のCEOであるBrad Garlinghouse氏がICOの多くが詐欺であるという見解を示しています。ICOは資金調達の手段として世界的に行われるようになってきており、既存の資金調達方法と比較しても、資金調達が簡単である事から注目されています。その一方で、株式のように規制が厳格化されておらず、法律上は仮想通貨、寄付という分類で募集されている為、投資家保護の対象ではなく、情報開示が十分に行われていない場合が多いです。

ICOにおける、詐欺などの被害額は決して少なくはありません。数千万円から数十億円まで様々な事例があり、ICOのウェブアドレスを不正に操作し、不正なアドレスに仮想通貨を送金させていたもの、ICOを行って資金調達した後に集めた資金を持ち逃げし行方をくらませたもの等これまで数多くのICOで被害が出ています。

その為、問題が多発しているICOに対して、積極的に規制を行う国は増加傾向となっています。国でICOを行うという場所もありますが、ICOのリスクには世界が警鐘を鳴らしており、今後ICO規制の動きは活発化していきます。

2018年から仮想通貨に対しての規制強化の動きが活発化

韓国では仮想通貨規制が活発化しており、仮想通貨を取引する際には、無記名預金口座の利用が2018年1月30日から禁止となります。また、国内にある全ての仮想通貨取引所の閉鎖を政府が検討している事から、実施された場合、仮想通貨の価値に悪い影響を与えることになります。

規制の動きはEUでも広がっていますが、世界第2位の人口を誇るインドでも仮想通貨の規制強化を検討しています。インド政府は行政や金融等様々な改革を推進している一方、仮想通貨に関しては、テロ資金調達、資金洗浄の手段として仮想通貨が使用される可能性がある事から、仮想通貨に対して非常に強い警戒感を抱いています。

世界中が仮想通貨の規制を強めているため、これまで寛容だった国々も次々と仮想通貨規制に乗り出しており、今後世界各国が連携し、国際的な仮想通貨規制の動きを活発化させる可能性があります。規制が強化される事で現在のような価値の流動性は弱まることが考えれられる為、世界中の投資家は規制の動向を見守っている状況にあります。

仮想通貨の関連技術は注目度が高い

政府や金融機関においては、仮想通貨そのものよりもそれを支えるブロックチェーン技術に注目が集まっています。2017年からブロックチェーンや分散台帳技術の国際標準化が始まるなど、その仕組みに対する関心は高まっており、ICOで資金調達を行うプロジェクトの多くがブロックチェーン技術を採用しています。また、多くの金融機関がブロックチェーンを使った実証実験を行い、2018年はリップルネットが稼働することに加え、金融実務でブロックチェーンを使用する場合の具体的な要件や機能について議論が活発化していくでしょう。

仮想通貨に対しては、規制の強化の動きが活発化し、投機やギャンブル性があるとして問題視され、仮想通貨取引所がハッキング被害に遭うなど、これからの将来性に不安を抱かせる情報が数多く流れています。しかし、仮想通貨の技術は世界的に注目されている為、このまま仮想通貨市場が世界的に衰退していく事はありません。しかし、何も考慮せずに流れに乗るだけでは利益を挙げることは困難でしょう。