仮想通貨は、2017年においては注目度の高い金融商品となっています。国が発行する法定通貨や賃金制度への不安は高く、収入に関する不安は会社員であっても尽きることはありません。そして、そのような中2017年ではビットコインの高騰により、大きく利益を挙げる方が急増しています。ビットコインやアルトコイン投資は少額から始められることから、投資の敷居が低いことに加え、大きく利益を上げた方が増加したこともあり、一般ユーザーや投資家を含め、ビットコインやアルトコイン投資の参入者も激増しています。しかし、参入者が激増する前から存在している匿名性や変動制の高さが、2017年後半から2018年初頭にかけて問題視され始め、現状では開放的な国もありつつも、世界的には規制が強くなっているという傾向にあります。匿名コインは、プライバシー保護には必要な機能ですが、悪用される可能性も高いので、どのような対処をしていくのかということについては、各国でも意見が一致していません。

仮想通貨の現在

仮想通貨と匿名系通貨仮想通貨は、価格帯としてビットコインを基幹としながらその価値を大きく下落させています。2017年12月の高値と比較した場合、半分以下となっているコインは多々あります。ビットコインも2017年後半では1BTC230万円ほどを記録していますが、2018年2月初頭では1BTC100万円前後もあれば、購入可能となっているほどです。

また、ビットコインやアルトコインは、もともと価格変動が激しかったのですが、より大きな価格幅で下落していることから、新規の参入者があまり深く考えずに参入し、その後購入したコインの価格が大幅に下落し、大損するというケースが多発しています。仮想通貨に対する投資が寛容的な国においては、売却値段の違いによって大きな損を出した人が自殺する事件も起きています。

そして、ビットコインやアルトコインへの期待値は依然として高い状況にはありますが、日本国内においても前代未聞の事件が発生しており、ある程度の法整備とルール作りは必須のものとなっています。coincheckの事件で同社が破産するようなことがあれば、業界そのものが沈むことを懸念されており、実際にハッキング以外にも対外的な問題は尽きない為、仮想通貨を取り巻く状況はルールの制定が無ければ日々厳しくなるだけでしょう。コインチェックがハッキング被害を受けたことで、そのコインチェックに上場していた匿名通貨も、厳しい状況におかえれているといえます。

仮想通貨の規制内容と世界

仮想通貨の規制内容は、国によってかなり異なるのが現状です。もっとも厳しい国としては、中国が挙げられます。中国においては、人口も多く、裕福層と呼ばれる層も少なくはありません。また、大手の取引所としてBinanceなども存在しているため、2016年までは最も盛んなマーケットとなっていました。ちなみに、Binanceは中国国内にあったとしても中国国内とは別の地域に本社があり、地域として中国の規制への影響を受け付けない為、操業可能となっています。

中国本土では取引所における機能は軒並み停止し、ネットワークを常に監視していることを背景に更なる規制を強いる可能性が非常に高い状況にあります。現在の所、中国本土では取引所を利用した大口の取引は不可能です。また、個人間取引においても現在の所は国外でも可能となっていますが、今後は国外という選択肢が強制的に奪われる可能性が高く、中国におけるビットコインやアルトコイン取引は、非常に閉鎖的なものとなっていくでしょう。

これに関連して、中国では自国において、独自のコインを発行する方針も示しています。その為、現在の規制目的としては、実際には自国の利益追求の為という見方もできます。もっとも、自国内の仮想通貨の投資の全てを規制することに対し、国内外から批判が出る可能性は高いでしょう。そして、閉鎖的な市場である限り、ブロックチェーンを利用した新しい概念が世界で普及してしまった場合には、世界経済から取り残されていくことになります。

匿名性の高い仮想通貨のリスク

世界中で懸念される規制理由を知ろう仮想通貨の機能として、匿名性が高いことは現在ではメリットよりもデメリットが大きいと言わざるを得ませんが、匿名性が一番高いものは「現金である」と評されることもあり、一概に匿名コインが悪いと決めつけてしまうことに、違和感を感じる人がいるのも事実です。匿名性が高いことのメリットとしては、プライバシーという意味で完全に個人情報が守られ、送金経路などを公開しても送信者や受信者の名前をはじめとする個人情報は誰にも知られることなく手続きが完了するということです。

仮想通貨でのやり取りは、ハッキングを受けたとしてもブロックチェーン技術により分散管理されていることが殆どである為、匿名コインでなくても、個人の特定はほぼ不可能と言える状況にあります。それに加えて、通貨の機能として匿名性を保持しているということは、企業としてのやり取りでも使用しやすいというメリットがあると言えるでしょう。匿名性を持っていれば、より情報が守られ、外部の人間に漏洩することが少なくなります。

しかし、匿名性の高いコインに対する金融機関・政府の見方は厳しく、匿名性の高いコインは規制を行っている殆どの国においてその対象となります。政府や金融機関が危険視しているのは、その匿名性の高さを悪用したマネーロンダリングや法律に反する薬物などへの決済手段として使用される可能性が高いと見ているからです。しかし、匿名性は、富裕層からは望まれている機能でもあります。自分自身の莫大な財産を管理したり、節税するために、富裕層はあの手この手を使うことで知られています。匿名性がないコインを利用して、自分の資産移動のすべてが明らかになってしまうことは、富裕層にとっては避けたいでしょう。マネーロンダリングだけではなく、富裕層の資産管理の面でも、匿名性は望まれている機能であると言えます。

ビットコインやアルトコインでは、ブロックチェーンを使用している限り、送金履歴は誰でも検索することが出来ます。人によってはそれが誰のアドレスなのかも知り得ることが可能であり、個人情報がそのアドレスに紐づいている場合、ハッキングなどにより改変・閲覧されこともあり得ます。こういったことを好まない人は多くいますので、匿名性は、マネーロンダリング以外にもニーズがある機能なのです。しかし、ハッキングによる改変や閲覧という悪意に対応できるイーサリアムのようなコインもある為、匿名性の高いコインへの各国の対処は今後厳しくなると見て良いでしょう。

匿名性仮想通貨の主たるもの

現在知られている匿名系仮想通貨はZcash、DASH、Vergeなどが挙げられます。この中では、特にZcashの匿名性は非常に高いことで知られています。匿名となるのは、送信アドレス・受信アドレス、送金金額、履歴などほぼ全ての取引となり、すべて匿名で完了することが可能です。もちろん、匿名機能だけではなく、公正な取引を証明するための機能の切り替えも有しており、イーサリアムなども採用しているスマートコントラクトを通貨の機能として保有しています。スマートコントラクトは、ブロックチェーンを利用した契約情報などを記録する機能であり、この機能を利用しての契約は書面での契約と同等の意味をもつことになります。このように、匿名性だけではない色々な機能を実装している仮想通貨も多くあります。

また、匿名系仮想通貨の機能は現在の所、選択してその匿名機能を切り替えるものが多く、規制後においてもその意味を失うことはないでしょう。もっとも匿名性のみがウリであれば、次第に投資家や一般ユーザーから避けられる傾向となります。仮想通貨はどの国にも属さず一定の価値を持つものですが、証明できない・公正ではない取引を認めているわけではありません。むしろ、証明できないような取引であれば、自分にそのマイナスは跳ね返ってきます。

仮想通貨のこれから

仮想通貨における環境として、匿名通貨をはじめとして、今後は規制がより一層強まることが予想されます。それは、取引所でのハッキング事件による脆弱性の露呈や匿名性仮想通貨を使用しての悪用などの問題が看過できないレベルのものへと発展しているためです。しかし、国として、新しいコインの開発を表明している所もあり、今後日本国内においても1単価1円とされるコインが発行される計画もあります。

つまり、仮想通貨市場全体として勢いはあるものの国際的なルールが無い為、各国で対応せざるを得ない状況です。そして、匿名性が高い仮想通貨に関しては、各国がそれぞれ対応していますが、匿名性と犯罪が関連したリスクが高く、規制されやすい対象となっているのが現状と言えるでしょう。

しかし、仮想通貨の機能に関しては各国が注目しておりそれらの機能を利用したシステムはありとあらゆる場所で開発されています。その為、規制内容を踏襲しつつも、コインすべてが全く利用されなくなる可能性は、現状では限りなく低いでしょう。また、現在は厳しい規制を行っていても今後は、最先端技術である仮想通貨を利用した新しいシステムに乗り遅れることに繋がる為、現段階で見切りをつけるのは時期早々です。