これまでビットコインは低所得者が出稼ぎに出た国から実家に送金を行う際に国際間の為替に左右されない通貨として、またインターネットサービスの支払い用通貨として利用されていました。今回取り上げる記事は昭和生まれの筆者にとってはにわかに現実とは思えない事実なのですが、仮想通貨が現在世界で使用されている通貨に似た位置づけとなり、税金の支払いに使用されるなど国家対応が必要になるほどの流通力を持ったというものです。言ってしまうと、今のうちに仮想通貨の使用方針を確定しておかないと、為替に左右される自国通貨の利用者が為替に左右されにくい仮想通貨に流れてしまう可能性があると各国が危険視しているものと推測できます。仮想通貨が本格的に世界経済に参入する事で、世界市場はどのように変わっていくのでしょうか。

ビットコインで市民権が取れるオーストラリアの北東諸島のバヌアツ共和国

バヌアツ共和国をご存じでしょうか。少なくとも筆者は今回のニュースで取り上げられるまで知りませんでした。ウィキペディアで調べてみると

「1980年7月30日にイギリス連邦加盟の共和国としてバヌアツが独立、フランスは政情不安を理由に最後まで独立に反対の立場であったが、これにより事実上、イギリス・フランスの共同統治下から独立し、大統領を元首とする「バヌアツ共和国」として出発した。」

と記載があります。

さて、このバヌアツ共和国が世界に先駆けて海外からの来訪者に20万ドル分のビットコインで市民権を取れるようにした背景には、単純に「便利だから」では終わらない暗い闇があります。ウィキペディアに記載の通り独立して月日の浅い国ですから自国で生産できる資源に乏しく収入源は主に輸入関税にかかっています。他に個人が払う税金やキャピタルゲインは無いことからタックスヘブンとして利用される事が多いので、外貨を入れる際に国際送金システムの簡略化の為に仮想通貨の取り扱いを始めたのです。そして国際送金の取引履歴はブロックチェーン上に残るためマネーロンダリング対策(AML)の検証に使われ、オーストラリア当局の管理する取引所を経由してバヌアツ共和国へ送金されます。

このシステムに対しジェフリー・ボンド長官は

「今回のビットコインの支払い受付は我々にとって大きな一歩だ。市民権発行市場でおおいにプレゼンスを発揮しアドバンテージになるだろう」

と発言しています。このような市民権発行市場の市場規模は世界で20億ドル(約2200億円)と言われていて、発展途上国ではバヌアツ共和国の他にタイでも今年の上旬に同様のプログラムを採用しています。

今後は仮想通貨の相場が高騰すると共に、取得した仮想通貨を有形資産に変える場合にかかるキャピタルゲインを抑えたい投資家が続出することが見込まれます。その投資家の需要が尽きない限り、タックスヘブンで仮想通貨の受付を開始する国が続出してもおかしくはないでしょう。

スウェーデンがビットコインを税金支払いに使用

世界各国で対応が進むビットコインスウェーデン政府が10月に入って、会社からの税金約36万円分をビットコイン支払いで受け付けました。スウェーデンのような北欧諸国では物のIT化が進んでいます。大抵のものはインターネットを通してP2Pシステムを使用し、キャッシュレスで使用できますから仮想通貨の参入も寛大に受け入れる事ができたのでしょう。

ちなみにスウェーデンにおいて道路の渋滞は極めて少なく、ETCのようなシステムがコインパーキングにも採用されています。出入り口を通過する際に自動的に個人を識別し、月末にまとめて支払い請求されるという合理的なシステムです。このようなインターネットサービスは大抵、決済方法に仮想通貨を追加するだけで成り立ちますからスウェーデンの仮想通貨流通量は今後も増えていきそうです。

ウクライナではビットコイン規制法案が協議

ウクライナの中央銀行であるウクライナ国立銀行の副総裁オレフ・チュプリイ氏が9月に行われた金融フォーラムでビットコインに対して「中央発行体が存在しないため、通貨ではないと断言できる。また、支払い手段としても認められない」と発言しました。ウクライナでは以前からビットコインに関する実証試験を繰り返しており、10月になって国家主導のブロックチェーン実証試験を実施しています。さらには今年中には150台のCryptomatビットコインATMが導入されると言われており、仮想通貨を受け入れる準備が整いつつある中でのチュプリイ氏の発言なので、ウクライナでは今、規制法案について深刻に協議されています。

ロシアのプーチン大統領、仮想通貨について異例のコメント

ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、以前から仮想通貨のイーサリアムに対して熱烈な賛同者として有名でした。そのプーチン大統領が10月11日に仮想通貨の目覚しい成長性と社会への取り入れ方について次のように述べています。

【意訳】

「いくつかの国では仮想通貨は投資手段としてだけではなく、本格的な決済手段になった、またはなりつつある。仮想通貨の使用はそれと同時に、重大なリスクを負っている。私はそれについての中央銀行の立場を知っているし、中央銀行総裁とは何度か議論してきた。

第一に、犯罪で得られた資金の洗浄、脱税、テロ資金の画策でさえもあり得る。そして当然のことながら、一般市民に明らかに影響を及ぼす可能性のある詐欺的な計画を存続させてしまう。」

このプーチン大統領の発言には、仮想通貨やICOの禁止については何も触れられてはいません。ロシアにとって仮想通貨(特にイーサリアム)はインターネット社会において必要不可欠なものであり、リスクに対する対策を行う事でロシアにとって有益な「デジタル商品」とする方針です。

対してロシア中央銀行第一副総裁のセルゲイ・シェツェツフ氏はロシア政府が仮想通貨に感化される事態を恐れて、ロシア政府が仮想通貨取引所に関するウェブサイトへアクセスする事を禁止するよう求めました。プーチン大統領もシェツェツフ氏の立場を理解できると発言していますが、あくまで仮想通貨を肯定する立場は崩さないようです。

世界各国が対応に追われるビットコイン。ブレーキはどこに?

北欧を中心に、仮想通貨は日常生活に浸透してきています。ロシアでは政府と中央銀行が仮想通貨について議論を繰り返すほどの深刻な問題であり、わが国、日本においてもビッグカメラなど大手が参入を始めてビットコインで買い物ができる環境が次第に整っています。

ビッグカメラにおけるビットコインの支払い方法はインターネットを通してスマートフォンから行う為、スマートフォンを始めとするインターネット社会と仮想通貨は連動して
進化を進めていくでしょう。

そしてこのまま規制が行われないまま仮想通貨が世間に浸透しすぎると、その価値はインフレーションを起こして1ビットが100万円を超える事態を招きかねませんし、世界の為替が仮想通貨に置き換えられるかもしれません。

今、世界は早急に仮想通貨に対する規制法案などの対策を迫られています。自国の通貨を守る為に仮想通貨の取引所が規制対象になる可能性を考えると、仮想通貨に投資をして儲けることができる期間は残りわずかではないでしょうか。暴走する仮想通貨取引所に対して世界政府は非常に危険視しており、今後の動向を探っているのです。