DMM Bitcoinの特徴とメリット・デメリット

コインチェック事件で不安が強まった「サードパーティーリスク(取引所リスク)」

「コインチェック事件」では、顧客資産の安全管理体制とセキュリティーが甘かったために、約580億円分のNEMが不正流出しました。コインチェック社は巨額NEM流出を受けて、約462億円分に相当する「日本円による迅速な補償案」を提示しましたが、補償実施の具体的な日程と日本円付与の方法は決まっていません。しかし2月13日に、コインチェックは「日本円出金」を再開する措置を取り、ビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨の価格も若干盛り返してきています。コインチェック事件後、ビットコインは一時、70万円以下まで急落しましたが、2月14日時点では90万円台を回復しています。

現時点のコインチェックは「BTCの売買+日本円の出金」だけは可能な状態ですが、「BTC以外のアルトコイン(仮想通貨全般)の売買+アルトコインの送金・出金」は依然として停止されたままの状態です。2月13日の日本円出金再開によって、コインチェックは「約401億円分の日本円出金要請の処理」を終了し、NEM盗難被害者に対する「約462億円分の補償」も可能と主張しています。大塚雄介取締役によると、コインチェックは金融庁からの業務改善命令(1月29日)に対して顧客保護の「業務改善計画」を提出しており、安全管理体制強化で事業再生を目指すようです。

今後、コインチェックは「日本円出金による資金繰り+みなし業者から登録業者への昇格」が問題になってきますが、NEM流出事件で改めて「サードパーティーリスク(取引所の問題による仮想通貨喪失リスク)」が注目されるようになりました。仮想通貨投資家は資産保護のセキュリティーの観点から、どの取引所を選べば良いのか悩ましい状況にあります。コインチェックが正式に金融庁に認定されていない「みなし業者」だったことを踏まえると、「登録事業者16社」の中から選ぶほうがセキュリティーは相対的に高いといえるでしょう。

取引所DMM Bitcoin(DMMビットコイン)の基本的な特徴

取引所の選び方・アルトコインのレバレッジ取引金融庁の「登録事業者(登録された仮想通貨交換事業者)」とは、改正資金決済法が定めた顧客保護基準を形式的に満たしているとされる業者です。登録事業者の取引所は、正確な会計処理や仮想通貨保管のセキュリティー体制、厳格な顧客資産と会社資産の分別管理、適切な金融庁への報告を行っているとされます。登録事業者も「100%完全なセキュリティー」が保証されているわけではないのですが、相対的に無登録事業者よりも顧客資産の安全管理体制は充実しています。国内で取引所を選ぶときのセキュリティー以外の基準は、「取扱仮想通貨の種類(ビットコイン以外のアルトコインの種類)」と「スプレッド(手数料)の安さ」「レバレッジ取引(倍率取引)の可否」になってきます。

国内の登録事業者で取扱仮想通貨の種類が多くて人気があるのは、bitFlyer、Zaif、GMOコイン、ビットバンク、QUOINEなどです。この記事では、ローラさん出演のネット・テレビのCMで最近知名度が急速に上がっている登録事業者「DMM Bitcoin(DMMビットコイン)」について情報を整理していきます。DMM Bitcoinは日本最大のFX業者である「DMM FXグループ」が東京ビットコイン取引所を子会社化して誕生した登録取引所です。運営母体のDMMはマルチメディアの大企業であり、証券・FXサイトの運営の歴史も長いので安心感があります。

DMM Bitcoinの特徴は、取り扱っている仮想通貨が「7種類」あり、国内の取引所では比較的多いということです。スプレッドとマイナー手数料以外の手数料のほとんどは無料です。DMM Bitcoinで売買できる仮想通貨は「ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)・ビットコインキャッシュ(BCH)・イーサクラシック(ETC)・ネム(XEM)・リップル(XRP)・ライトコイン(LTC)」の7種類ですが、現物取引ができるのはBTCとETHだけなので注意が必要です。それ以外の仮想通貨は、投資リスクがやや高くなる「レバレッジ取引(最大5倍)」で売買することができますが、価格変動によって「元本以上の損失」が発生するリスクもあります。

DMM Bitcoinのメリット1:「コールドウォレット・2段階認証・顧客資産の分別管理」でセキュリティー対策

コインチェック事件が発生したことで、投資家が取引所に第一に求めるものは「顧客資産保護のセキュリティー対策」になっています。自分が取引所に預けている「仮想通貨資産」がハッキングされて盗まれないことが重要なのは言うまでもありませんが、DMM Bitcoinは現時点で実行可能なセキュリティー対策をハイレベルで行っています。コインチェックは、インターネットに接続した「ホットウォレット」で顧客資産のNEMを保管していたことが流出の原因になりましたが、DMM Bitcoinは管理する顧客の仮想通貨をインターネットから遮断した「コールドストレージ(オフラインのコールドウォレット)」で保管しています。オフラインの仮想通貨は、原理的にハッキングで盗むことはできません。

ユーザー側のセキュリティー対策としては、どの取引所も標準装備するようになってきた「2段階認証」を採用しています。一般的な2段階認証とはGoogle Authenticatorのアプリを用いて、「取引所サイトが表示するQRコード」を読み込ませ、そのスマホ端末でしか取引所にログインできないようにする仕組みです。パソコンでログインする場合も、スマホに表示されるコードが必要になるので、パソコンだけでは仮想通貨を動かせなくなります。
DMM Bitcoinでは、アプリ以外にも「メール・SMS」を使って簡単に2段階認証を行うことができます。スマホ端末による2段階認証をクリアしないと顧客の仮想通貨資産にアクセスできないので、別端末からのハッキングを防げます。

2段階認証はスマホ端末を紛失すると自力で解除できなくなります。必ず「シークレットキー(解除パス)」のバックアップを取ったり、複数台のスマホにQRコードを読み取らせたりして、「スマホ紛失リスク」に対処しておきましょう。DMM Bitcoinは「現金・仮想通貨」共に顧客分と会社分を厳密に分別管理して、営業日毎に計算・照合しているとあり(ただし破綻時の顧客資産全額の保証まではない)、顧客資産の安全管理体制でも安心感があります。

DMM Bitcoinのメリット2:アルトコインのレバレッジ投資が可能

DMM Bitcoinのメリットは、「ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)・ビットコインキャッシュ(BCH)・イーサクラシック(ETC)・ネム(XEM)・リップル(XRP)・ライトコイン(LTC)」の7種類すべてでレバレッジ取引とFX(外国為替証拠金取引)ができることです。他の取引所では「BTC・ETH・BCHのみのレバレッジ取引」しかできないことが多く、昨年上昇率が高かったXRPやXEMにレバレッジを効かせられる取引所は少ないのです。他の取引所では注文方法が「指値・成行・逆指値」のみの所も多いのですが、DMM Bitcoinでは「ストリーミング注文(表示中の時価注文)・OCO・IFD(イフダン)・IFO(IFD+OCO)・一括決済」などほぼすべての注文方法を網羅していて、本格的に仮想通貨トレードをしたい人に向いています。

アルトコインの値動きは1日に20~30%以上も上下することがあるほど激しいので、少ない資金で大きな金額(最大5倍)の取引ができる「レバレッジ取引」や「アルトコインFX」なら、大きな利益を出せる可能性が上がります。仮想通貨のレバレッジ取引なら、値上がりに期待する「ロングポジション(買い)」だけでなく、値下がりで利益になる「ショートポジション(売り)」も持てます。基本的にレバレッジ投資は「ハイリスク・ハイリターン」なので、DMM Bitcoinのレバレッジ取引もFX経験があるなど中級者向けです。ただしDMM Bitcoinは強制ロスカットの証拠金維持率が「80%以下」で、最大レバレッジも「5倍(GMOコインなどは最大25倍)」なので、レバレッジ取引としてはリスクが抑えられています。

DMM Bitcoinにはデメリットもあるが、「仮想通貨事業・マイニング」に積極的なDMMは期待大

DMM Bitcoinのデメリットは仮想通貨そのものを購入して保有する現物取引が、「ビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)」だけしかできないことです。それ以外の5種類のアルトコインは買って保有することはできず、「レバレッジ取引」で一時的に借りているに過ぎません。そのため、「ロング(買い)」と「ショート(売り)」のポジションを持つ仮想通貨のレバレッジ取引(仮想通貨FX含む)は、必ず「反対売買」で精算する必要があります。ロングであればいつか売らなければならず、ショートであればいつか買い直さなければならないのです。「含み損」が大きくなって、証拠金維持率が80%以下になれば、強制ロスカットで損失額が確定されるので注意が必要です。

DMM Bitcoinには「ETH以外のアルトコインの現物取引ができない・レバレッジ取引のロスカットの証拠金維持率が高い(80%以上)」というデメリットもありますが、DMMは相当に仮想通貨事業に前向きです。DMMは2月9日から、石川県金沢市で仮想通貨の大規模なマイニングファームの運営を開始しました。今まで電気代の高い日本国内のマイニングファームはペイしないとして参入企業はなかったのですが、DMMは「寒冷地でマシンの発熱(電力消費)を抑える・1,000台規模のマイニングファームをショールーム化する」というアイデアで運営を始めています。大規模なマイニングや販売所cointap開設をはじめ、DMMが仮想通貨事業を本気で精力的に手がけていることで、DMM Bitcoinの今後にも期待が高まります。