匿名性が高い仮想通貨の仕組みとは
千数百種類あるといわれる仮想通貨ですが、その仮想通貨の代表格になるビットコインなどの仮想通貨の取引はブロックチェーンによってその取引は守られていて、ブロックチェーンに取引記録が載ってしまうビットコインや取引記録以外の契約内容が載ってしまうイーサリアムなどの仮想通貨は、誰が誰に行った取引なのかを知られる危険性があります。
しかしその一方匿名通貨と呼ばれる仮想通貨が存在していて、その匿名通貨は送り手や受け取り手が分からないように暗号化などを行って取引を行うことが出来る通貨のことになります。
そしてそのことによって匿名通貨はそのような個人情報が知られることなく取引を行えることがメリットになります。
具体的に取引内容などを匿名にする方法は通貨によって違いがありますが、1つの方法は複数の送金を1つにまとめて、そのまとめたところから個別に送金を行うことで実際の送金者を特定出来なくすることで匿名性を高める方法になります。
次にリング署名と呼ばれる方法があり、複数人が署名することによって送信者の特定をされ難くして匿名性を高める方法もあります。
そして一番匿名性が高い方法がゼロ知識証明と呼ばれる方法になります。
このゼロ知識証明とは第三者がその取引の正当性を評価することが出来なくても当事者がその正当性を分かっていれば良いという考えから、取引内容などを暗号化して正当な取引であるという証明を行うことで匿名性を高める方法になります。
匿名通貨を取り扱っていたことでみなし業者から脱することが出来なかったコインチェック
ところでネムの流出事件を起こしてしまったコインチェックですが、仮想通貨交換業者の登録制が始まる以前から仮想通貨を取り扱った業務を行っていました。
そして仮想通貨交換業者としての申請を行っていましたが、ビットフライヤーなどが認可されたのに対して、コインチェックは認可を受けることが出来ず、みなし業者として営業を行っている段階でした。
そのコインチェックは日本国内の他の取引所では取り扱っていない通貨も取り扱っていてビットコインやリップルなど12種類の仮想通貨を取り扱っていましたが、コインチェックが認可されなかった原因は、今回のネム流出事件に見られるような顧客保護の観点からの不備もあるでしょうが、最大の原因はにダッシュとモネロそしてジーキャッシュという3種類の匿名通貨を取り扱っていることにありました。
そしてこの3種類の通貨がマネーロンダリングに利用される危険性もあるために、仮想通貨交換業者として認められなかったと推定することが出来ます。
コインチェックが取扱いの停止を検討する匿名通貨の今後はG20から始まる新しいルール作りに影響される
そのコインチェックは今回のネム流出事件を受けて金融庁から改善命令が出されることになり、その結果業務の運用手法などを改善し、顧客の保護とマネーロンダリング対策の徹底を行う改善計画を立てました。
そしてそのマネーロンダリング対策の1つとしてコインチェックが取り扱っている匿名通貨であるダッシュとモネロそしてジーキャッシュの取扱いを止めることで調整を始めました。
そして今後はこの3種類の仮想通貨の買い取りを行ったり、本人確認を厳格に行った後に出金に応じるなどの対処を行っていく予定になっています。
一方G20財務相中央銀行総裁会議ではこの仮想通貨におけるマネーロンダリングが議題に上がることが推定され、法整備が進んでいる日本や国際的な規制が必要と考えているフランスやドイツなどが中心となって、マネーロンダリングについて議論がなされると推定されます。
そして、そのときに匿名通貨にどのように対処するのかについて話しがなされることもあり得ますし、例え今回の会合で匿名通貨に対する話しがなされなくても、具体的な新しいルール作りを行っていく段階で、匿名通貨にどのように対処していくのかが決まっていくものと推定することが出来ますから、G20の行方だけでなく今後の新しいルール作りがどのようになっていくかが注目されます。