2017年は仮想通貨市場が盛り上がり、ビットコインの価値も急上昇した年でした。また、これまで投資に興味のなかった主婦や学生、会社員なども仮想通貨取引に参加し始めたことで、市場を下支えする要因にもなりました。

そして同時に、2017年4月には、仮想通貨と取引所に関する定義や認可基準・規制などが含まれた、改正資金決済法を施行しました。このことにより、これまで実態が不明な取引所なども自由に運営していましたが、法改正により認可登録を受けた仮想通貨交換業者しか運営が許可出来ないようになりました。

ユーザー側は、被害を受けるリスクが減ったことで、メリットの大きい出来事として市場の健全化という意味で相場も好調な状態でした。しかし、2018年時点でもまだ仮想通貨取引所の中には、無認可のものや、みなし業者もあり3月8日に金融庁が正式な発表を行いました。

仮想通貨業界が大きく動いている2018年の市場で、個人投資家はどのように気を付けていくのが良いのか方法をご紹介します。

3月8日に金融庁がみなし業者に対する処分を発表

【仮想通貨取引所について】仮想通貨取引所の取り締まりと個人が気を付ける点とは2018年3月8日に、金融庁は正式に仮想通貨交換業者の登録が済んでいない5社に対して、処分を発表しました。内容は、5社のうち3社は業務改善命令、2社は業務停止命令となっています。また、認可登録を済んだ、2社の仮想通貨交換業者に対しても業務改善命令を行っていることで、仮想通貨業界全体を健全化させる為の動きが本格化していることが分かります。

この厳正な処分の動きは、2018年1月に起きたコインチェックの仮想通貨流出事件の際にも、同社と17社に対して迅速な処分を行いました。なぜ急ピッチな仮想通貨業界に対する、厳格な規制や取り締まり強化が起きているか、その大きな理由としてはユーザーが多大な被害を受ける可能性の高い、ずさんな管理体制が横行していることです。

仮想通貨取引所は、これまで自由に運営してきた反面顧客の資金管理の甘さや、違法な取引に繋がる懸念があったこと、など問題が多数ありました。そして、1月に起きた大規模な仮想通貨流出事件が起き、金融庁がこの問題を早期に解決する必要がある、という判断をしたと考えられます。

ユーザー側から見た場合、今回の一連の金融庁が行う処分と厳正な審査は、資金がより適正な方法で管理されるようになる良い機会として捉えることが出来ます。コインチェックの事件では、運営側が顧客の通貨をホットウォレット状態にし、更にロックも解除されていたという情報があります。

仮想通貨を安全に取引するには、取引所の管理体制が立ち直らないと問題解決に繋がりません。従って、今後もこの動きに注目して、より安全な取引所を見極める必要があります。

取引所の認可基準とは

仮想通貨取引をしている方も、取引所の認可登録の基準や規制に関して知っておく必要があります。規制等を知っていれば、取引所が行っている作業におかしな点がないか、少しでも把握することが出来る視野が広がります。

仮想通貨に関係する法律は、「改正資金決済法」の中にあります。
ここには、仮想通貨の定義・仮想通貨交換業者の認可基準・仮想通貨交換業者が負う義務などについて記載されています。まず仮想通貨交換業者の認可基準には、4つあります。
1つ目は、仮想通貨取引を行う投資家・ユーザーに対して、仮想通貨の売買を行うことです。

つまり取引所が行っている仮想通貨の売買業務・販売所です。
2つ目は、仮想通貨売買・取引を行いたい人同士を取り次ぐことです。これも、仮想通貨取引所がメインで行っている業務です。ユーザーが普段行っている仮想通貨の買い注文や売り注文を、取り次ぐ業務を行う事業者です。

3つ目は、仮想通貨取引所がユーザーの資金を管理する行為です。4つ目は、前述の1~3を全て含めるか、どれかを継続して行っている事業者を指します。

要約すると、普段ユーザーが利用している取引所の管理・運営が、定義になっています。従って、仮想通貨取引をこれから始めようという方や、現在既に仮想通貨取引を行っている方は、自分の登録している取引所が、これら要件を満たしたうえで認可を受けた業者か確認することがおすすめです。

もし、みなし業者であれば、正式に登録を済ませた取引所へ登録することがリスク回避のポイントです。

仮想通貨交換業者の規制とは

仮想通貨取引所の取り締まりと個人が気を付ける点とは仮想通貨取引所、すなわち仮想通貨交換業者の認可を受けるには、前述の要件を満たす必要があることが分かります。そして、他にも仮想通貨交換業者に対して規制も設けられています。ユーザー側が知っておくべき内容もいくつかあるので、ご紹介します。

1つ目は、仮想通貨交換業者として事業を進めていくには、資本金が一定金額必要なことと、資産がマイナスの状態でないことが定められています。なぜこのような規制があるのか、それは仮想通貨取引には大きな取引が含まれます。

また、仮想通貨取引には一定規模のシステム管理の体制と、それを維持する費用や人材が必要です。その為、1000万円以上の資本金を保有していることが条件となっています。ユーザー側としてもシステム管理がずさんで合った場合、コインチェックのような問題が起きることを懸念してしまいます。自由な市場も必要がですが、一定規模の業者がシステム管理を行うことも定める必要もあります。

2つ目は、仮想通貨交換業者に対して監督規制があります。これは、国に事業を行うという報告や帳簿の提出などの義務が課せられています。この規制がないと、帳簿書類の作成・管理や業務改善命令の指示を聞く義務、報告書提出の義務などが課されなくなってしまうので、非常に重要な規制といえます。

また、ユーザー側としても正式な書類を、国の監督下で管理されていることで信頼出来るといえます。

ICOにも注意

仮想通貨取引初心者は、取引に関する注意だけではいけません。最近注目されているICOについても、注意点を抑える必要があります。ICOとはIPOに近い資金調達方法で、企業側と投資家が直接やりとりをして仮想通貨購入と、資金調達の取引が行われます。

特に海外で盛んにICOが行われているので、ICO募集に関するサイトもほとんどが英語圏になっています。従って、英語が苦手な仮想通貨投資家が安易にICOで、仮想通貨を購入すると見落とす部分があります。

それは、2018年時点で明確な規制がないことにより、企業側は「元本保証」や「必ず価値が上がる」といった、本来ありえないことを記述したICOもあります。それらを見落として仮想通貨を購入してしまうと、資金の持ち逃げや上場後に新規発行された仮想通貨の、発展や改良などの動きが一切見られないといった事例に巻き込まれますし、実際に起きています。

これからICOで利益を得る戦略を考えている、仮想通貨投資家は購入対象の企業概要を調べて、信用情報を確認します。そして、公募されているプロジェクトが本当に存在するのか、自分で調べることも重要です。

ただし、ICOで実際に上場して価値が上昇したことにより、投資家が利益を得られた事例もあります。価値のあるICOに投資をするのも、投資家の見極める目と、経験が必要といえます。

ウォレット管理も重要

仮想通貨業界の健全化を進める為に、国内で行われている規制の動きですが個人でも資産を守る為に対策を考える必要があります。そのひとつが、ウォレット管理です。

仮想通貨取引初心者にありがちな管理が、取引所に全ての資産をあずけたままになっていることです。セキュリティ面を考えるのであれば、取引所に預ける資産は、売買を行う時に必要な分だけと決めます。そして、取引が完了したら全ての資産を自分のウォレットに戻すのが常識です。