Bitcoin Gold(BTG)分裂まで一週間を切りました。湧き上がる市場とビットコインの相場はBTGを迎えるかのように急上昇し、21日には1ビット価格が70万円を突破しています。それに伴い各取引所は、BTGに対して未だ取引に値する仮想通貨と見なしておらず、分裂後にどのように扱うべきなのか慎重な様子を見せています。その中でもトラブルが多くて有名な取引所Zaifにおいては極端な対応を取っており、BTGの付与を行わずに別の対策を行う様子です。心配の波は取引所だけでなく新聞社にまで広がっており、日本経済新聞も10月17日の記事にビットコインゴールドについて取り上げました。
日経新聞が取り上げたビットコインゴールドの記事
【原文】
仮想通貨の交換業者で構成する日本仮想通貨事業者協会(JCBA)は17日、25日にも誕生するとみられている「ビットコインゴールド(BTG)」についての対応方針を固めた。顧客に新通貨を付与するかは各社に対応を委ねるとし、顧客への事前の説明責任を果たすこともあわせて決めた。仮想通貨交換業を管轄する金融庁からは特に異論は出なかったという。関係者が日経Quickニュース社の取材に対し明らかにした。
BTGは香港に拠点を置くマイニング(採掘)企業が計画したとされる。実現すれば、8月に誕生したビットコインキャッシュ(BCC)と同様にビットコインから分かれる。
BCCが時価総額4位の仮想通貨に成長し、分裂の「成功例」となったため、ビットコインを新たに分裂させようとする動きが強まっている。ただビットコインを源流とする通貨が増えすぎると、顧客が混乱するとして新通貨を付与しない取引所も出るとみられる。分裂の際には入出金の停止に踏み切る取引所もありそうだ。〔日経Quickニュース(NQN)〕
【原文ここまで】
日経新聞も発信しているように、今後は各取引所の足並みを揃えて対応を進めていく考えですが、BTG分裂の対応ができるまでにはJCBAは設立が間に合っていません。各取引所は急遽、取引所利用中の全ユーザーに向けてBTG対応の考えを述べたメールマガジンを発信しましたが、対応の早さを見るとやはり人気度の高いCoin Checkが最速対応を行ってくれました。なお、国内大手取引所の発信した日時は次の通りです。
10月19日にCoin Checkより発信
10月20日にZaifより発信
10月21日にBitFlyerより発信
海外の取引所でBTG対応について声明を出しているところはほぼ見当たらないので、日本の取引所にビットコインを預けてハードフォークを迎えるのが無難でしょう。今回の記事では、日本の取引所各社の対応を分析してみました。
Coin Checkの対応
【原文抜粋】
Coin CheckではBitcoin Goldの付与を行う予定です。しかしながら、以下のような事象が発生し、弊社にてお客様の資産の保護が困難と判断される場合やサービスの安定した提供が困難と判断される場合においては、Bitcoin Goldの付与を行わない可能性がございます。
・Replay attackに対する対策が不十分であると確認された場合
・マイナーが十分に集まらず、ブロックが安定的に生成されない場合
・何らかの脆弱性が発覚しそれに対する対策が行われない場合
・その他、弊社において付与等の取り扱いが不適切と判断される場合
分岐発生後、弊社にて付与が可能か判断し、付与数量をご確認いただける項目を追加いたします。
【原文ここまで】
付与対象は全ユーザーの取引状況から算出され、ショート取引中のビットコインと信用取引で借入中のビットコインを差し引いた分です。なお、貸仮想通貨で貸出申請中も対象になります。付与される量は各アカウントの対象ビットコインに付与係数をかけたものとなり、計算方法は次の通りです。
(計算方法) 付与係数 = 1 – ① / ②
① = 信用取引による顧客のビットコインの借入数量合計 + 顧客のレバレッジ取引によるショートポジションの数量合計
② = 顧客の取引アカウントのビットコインの残高合計 + 貸し仮想通貨アカウントのビットコインの残高合計 + 決済アカウントのビットコインの残高合計 + 顧客のレバレッジ取引によるロングポジション合計
つまり保有4BTC、貸出申請中2BTC、貸出中1BTCのユーザーが居たとすると計算方法は(4 + 2 + 1) * 0.903となり、6.321 BTGが貰える事になります。
<予定日時>
10月25日以降に所持ビットコインに付与関数を掛け足したBTGを付与。
BTGの入出金や売買機能の提供は未定。
Coin Checkは非常に安定した取引所であり、取引の殺到で高負荷がかかる時のサーバーの
接続しやすさも他の取引所に比較して快適です。不具合対応などのレスポンス性も高くて安心できるので、筆者も愛用している取引所の一つです。今回のBTG付与についても、算出方法まで細かく明示しているので安心できますよね。
Zaifの対応
【原文抜粋】
現時点ではBTGの付与・入出金・取引は行わないと判断いたしました。
・リプレイ攻撃に対する保護・対策が不十分である可能性がある
・マイナーが十分に集まらずブロックが継続的かつ安定的に生成されない可能性がある
・何らかの脆弱性があり、お客様資産の保全が確実ではない可能性がある
今後のBTGにおける対応について
弊社ではBTGに限らず仮想通貨の取り扱いにおいて、お客様資産の保全、市場環境、継続的運営、セキュリティ等の観点を考慮して取り扱い可否の判断をしております。
ただし、前述の懸念される可能性がすべて解消された場合において、他通貨と同様に弊社の判断でBTGの取り扱いの検討を行う予定です。
前述のスナップショットに基づきお客様へBTGの付与を行います。
【原文ここまで】
付与の如何にかかわらず、分岐時点とされるタイミング(2017年10月25日前後)のビットコイン残高のスナップショットを保持していつでも付与できるように情報を保管するとの事です。保管以外の目的でBTGを移動したり処分したりして他通貨に交換するようなことは無いと言っているので安心できそうですが、補足で「BTGのリプレイアタック対策が不十分なことに起因する、こちらで意図しない移動についてはこの限りではありません」という説明には若干の不安を覚えてしまいます。
他の取引所では、どのような結果になろうともBTGの付与は原則行うとしている為、Zaifの対応は極めて珍しいものです。投資家としては、Zaifにビットコインを預けようとは思えません。Coin CheckかBitFlyerにビットコインを預けてBTG分裂に控えておくのが無難でしょう。
<予定日時>
10月25日にスナップショットとしてBTG付与の為の記録を残す。
BTG付与日時や取引開始日時は全て未定。
BitFlyerの対応
【原文抜粋】
当社は、BTG 分岐前にお客様が bitFlyer アカウントで保有されていたビットコイン現物の数量と同量の BTG をお客様に付与します。 BTG 分岐が恒久的であり、お客様の資産保護等の観点においても問題が無いと当社が判断した場合、お客様はビットコイン、及び BTG 両方の資産を持つことになります。
BTG の付与に伴い、BTG の売買サービス、お預入・ご送付サービスの提供を開始する予定です。
【原文ここまで】
<予定日時>
10 月 25 日 21:00 頃にBTG付与量が決定。
11 月 1 日以降にBTGを付与、取引開始。
今後はBitFlyerが分岐後の BTG チェーンの動向をみて安全と判断できた場合に預け入れ、送付を行う予定です。BitFlyerの方針はCoin Checkと同様に、原則BTGの付与を行うとの事ですが、大きな違いはその計算方法を開示しているかどうかです。その点にこだわりが無いのでしたら、後はBitFlyer Lightning FX / Futuresの取引画面が使いやすいと思うか、Coin Checkの取引画面が使い安いと思うかという違いを基に預入先を選んでください。
決して行ってはいけないのは、BitFlyer Lightning以外の画面で売買を行う事。売買項目が多くて間違えやすいのですが、すぐに仮想通貨が手に入る代わりに、多くの手数料を取られてしまいます。