2018年になり、バイナンスの運営は難が生じており、サーバー混雑を理由に新規登録受付を2018年1月5日に停止しました。その後1月8日19時頃、再開したものの、またすぐに停止になるというトラブルを繰り返しています。この問題は類似の取引所Bittrexでも同様に発生しており、ユーザー過多によるサーバー障害は改善の見通しがありません。
バイナンスが日本支社を設立との噂
そのような中、バイナンスは突如として日本の求人サイト「WANTEDLY」にエンジニアやマーケティングマネージャーなどの会社の中央ポジションに位置する人材の求人を始めました。この求人が意味することは、恐らく日本に新しい会社を設立するのだと見て取れます。
しかも仮想通貨の相場情報サイト「非小号」が掲載しているバイナンス(中号表記は币安)の本社が東京と表記されており、会社紹介の欄にも「总部位于日本东京」=「本部は日本の東京に位置付けられている」と紹介されている事から、中国から日本へ本社を移転させるものと思われます。
この事実はSNSを中心に話題となり、今まで日本国内の取引所で取り扱いが無かったエイダコインやTRON、Steemなどの有名仮想通貨が取引できるという期待から一時相場にも影響が出ています。
また、日々、仮想通貨を締め出そうという気概が高まる中国内の運営は困難極まり、さらにはユーザー過多の現状からすると、日本の仮想通貨に対する熱気と個人資産の多さは支社を出すのに最適な環境です。仮想通貨への投資は夢を持たせてくれますが、腕に自信のある方はバイナンスの求人に応募して現実的に給料を稼ぐのも良いかもしれません。
バイナンスが長期メンテナンスにユーザーは不安を隠せない
2018年1月までは順調に運営、稼働していたバイナンスですが、日本時間の2月8日、昼に差し掛かり突如としてバイナンスへログインできなくなりました。
ウェブページは正常に表示されログイン画面までは進むのですが、ログインや新規登録を試すとエラーメッセージが表示されて作業を進めることができません。何の告知も無く、突然発生したアクセス障害に日本ユーザーは驚き、困惑の様子を見せています。
この事に対してバイナンス側は「サーバーメンテナンスの為に一時的にサイトをダウンしている。メンテナンス完了には10時間以上かかる」と発表を行いましたが、メンテンナンス時間の長さから「通常のメンテナンスとは異なる」「ただ事ではない」「ハッキングにあったのではないか」という声が上がり、日本への本社移設の期待から上昇していた各仮想通貨の相場は停滞し、一部の仮想通貨は下落へ転じました。
この時を境にバイナンスの動きに陰りが見えはじめ、あまりに長く続くダウンタイムに、バイナンスに甚大なトラブルが発生して倒産してしまうのではないかという不安の声もありマウントゴックス事件になぞらえた「GOX化」の噂が強くなっていきました。
マカフィーがバイナンスを攻撃 ツイッターでバイナンスがハッキングを受けたと発言
バイナンスGOX化の噂をTwitterで聞きつけたセキュリティソフトメーカーMacAfee創設者であるジョン・マカフィー氏はこのバイナンス騒動を懐疑的な目で見るとともに、ツイッターで次のようにコメントしました。
【意訳】
人々を恐れおののかせる訳ではありませんが、私はこのようなトラブルを数十回となく見てきました。私はこの事態を見定めようとしています。セキュリティ研究者として見ると、バイナンスに潜伏しているハッキング障害は簡単に解決できます。数日後には、この事が広く周知されるでしょう。
この発言はマカフィー氏の過去数十回の経験則から導き出された考えであり、今回のメンテナンスに関する情報ソースは一切持っていません。この後に行われたマカフィー氏とバイナンス側のZhao氏のやり取りで、マカフィー氏はひたすらに『このようなトラブルを数十回となく見てきた』と主張していた事から、自身の勘で発言していると考えられます。
この無責任ともいえる根拠を持たないコメントに世間は『有名人として自分の発言力を考えて欲しい』という声があり、バイナンスのツイッター担当が『ハッキングはされていない』と正式なコメントを出す羽目となってしまいました。
バイナンスCEOがマカフィーの発言を完全否定する
マカフィー氏のコメントが行われた直後、バイナンスは即座に反応しました。日本進出を控えるバイナンスにとってこの時期の悪評は非常に厄介であり、なおかつコインチェックのXEM流出騒動の直後という世間が敏感になっているので、騒ぎが過熱すると中国バイナンスの閉鎖にも繋がりかねません。
この事を危惧したバイナンスCEO Changpeng Zhao(チャンフェン・ザオ)氏はツイッターで自身の発言を裏付ける画像をツイートに付け加え、『ハッキングは無く、そのような事は何も起きていない』『私たちはあなたが間違っていることを証明することになる』と、マカフィー氏のコメントを完全否定しました。
加えてマカフィー氏に対して偽情報を流すなと警告を行うも、マカフィー氏は過去の経験則から間違いないと主張を変えなかったために、世間では『マカフィーがバイナンスに喧嘩を売った』と言われました。これに対してザオ氏の対応は非常に迅速かつ明確でした。
ハッキング疑惑払拭の為に30,000BTCをコールドウォレットからホットウォレットに資金を移動し資産公開することで世間の安心感を得たのです。結論を見るとマカフィー氏がバイナンスに謝罪して攻防は終焉を迎えたのですが、この騒動はバイナンスを世間に認知させるに非常に有益だったと見てとれます。
無事にメンテナンスが完了した際は、信頼度をさらに上げてユーザー増加となることでしょう。
メンテナンスは2月9日に完了し、取引手数料を大幅削減
2018年2月9日18時15分頃、バイナンスは「System Upgrade Complete」をアナウンスし、無事にメンテナンスが完了したことを発表しました。今回のトラブルで我々投資家は、世界最大手の取引所の素晴らしい対応に絶賛の声と、取引所に資産を残しておく事のリスクの高さを痛感しています。
一時は『メンテナンスに失敗、まだ数十億レコードの同期が必要』とアナウンスを訂正するほどの大きなトラブルの原因は、DDOS攻撃(過度なサーバーアクセスを行う攻撃)によるものでした。DDOS攻撃への対策はサーバー増強以外に他は無く、対策が困難な為にまた一時的な障害が起きる可能性があるでしょう。我々が対処できる対策は取引所に全ての資産を預けるのではなく、取引用資産と貯蓄資産を分けて専用ウォレットに貯蓄資産を別管理として分ける事です。
今回の緊急メンテナンスに対し、バイナンスは補填として取引手数料の7割をカットしました。元々、他の取引所に比較して低価格の取引手数料0.1%を謳っていただけに、さらなる手数料削減に賞賛の声が飛び交っています。
バイナンスCEOジャオ氏はこの補填を『アップグレードプロセスの間にうけた揺るぎなき支援への謝意』とコメントしており、6か月で世界最大になった信頼性の高さを裏付けました。相次ぐ取引所の不祥事は投資家たちの不安が募り、投資意欲を減退させるものでした。
その気持ちを察したのか、ジャオ氏によるこの補填とコメントは投資意欲を活性化するものであり、実際にメジャーな仮想通貨の相場は軒並み20%近く上昇しました。世間の評判を得たバイナンスが日本本社を完成させた際も、相場向上が期待できて楽しみになります。