さる2018年2月7日、世界億万長者ランキングなどでも知られる、米国の経済紙フォーブスが昨今の仮想通貨バブルの流れを受けてか、仮想通貨世界長者ランキングを発表しました。
これまでのビジネスのように数兆円を超えるような資産を持った長者は今のところいません。ですが、トップのリップル創業者は何と総資産額8,200億円。とてつもない数字です。
当然フォーブスで紹介された億万長者達は単に成金というわけではなく、自身で取引所を運営、あるいは通貨を設立しており、今後この業界のステークホルダーになっていく人間たちです。
そこで今回は、フォーブスが紹介した中でも今後知っておくべきであろう、5人の億万長者達をご紹介していきます。
Changpeng Zhao(バイナンスCEO)、11〜20億ドル
まず一人目は彼,Chanpeng Zhao ジャオ・チャンポンです。中国出身現在41歳CZの愛称で知られる彼は、現在話題が沸騰している、香港に拠点を置く仮想通貨取引所、binanceの創業者であり、現CEOです。多数のノーベル賞受賞者を輩出した名門マギル大学でコンピューターサイエンスを学び、東京証券取引所など、金融系のシステム構築を担当したという確かな経験を持っています。
その後昨今の仮想通貨バブルの流れをいち早く察知し、創業間もない、blockchainに参入し、そこでノウハウを学びました。現在世界最大の仮想通貨取引所として、君臨するbinance。昨年の7月に市場に参入するというおそ咲きながらも、設立当初のblockchainで仮想通貨の何たるかを学んだ彼は見事に現在のバブルを読み切りました。
現在は時価総額13億ドルにものぼっています。中国当局の規制の目をかいくぐるためか現在香港に拠点を置くバイナンス、事業拡大を行っており、揺れ動く中国の仮想通貨業界に影響を与えることが予想されています。
クリス・ラーセン(リップル共同創業者)、75〜80億ドル
次にご紹介するのが、リップルの共同創業者クリス・ラーセンです。現在の総資産額は75~80億(日本円8,200億円)です。今回のランキングでは堂々の1位になっています。
リップル自体は2004年にカナダのプログラマーRyan fuggerによって作られた支払いシステムです。システムを簡単に説明すると内部にあるXRPという仮想通貨を使って、いろいろな通貨との取引が可能になっているというものになっています。国際取引手数料の削減、ビットコインと比べた際にはるかに取引時間が短いというメリットを持っています。
仮想通貨としてはこうされたのは2013年12月。もともと1XRP0.6~7円台をうろうろしているような通過でしたが、PoC(Proof of Consensus)を採用した認証方法など、その信頼度、快適さに優れた仕組みによって評価され、2017年3月に三菱東京UFJ銀行がそのネットワークに加入したことで話題に。
大手メガバンクが加入ということで、XRPの価格は急騰、創業者をはじめ何人もの億り人を生み出しました。現在ビットコイン、イーサリアムと並んで、最も影響力のある仮想通貨の一つで、ビットコインの時価総額を2018年中に抜くのではないかという予測を立てる人も。その創業者であり、運営の鍵を握るクリス・ラーセンの動向にも注目が集まっています。
マイケル・ノボグラッツ(ギャラクシーデジタルCEO)、7〜10億ドル
次にご紹介するのが、ギャラクシーデジタルのCEO,マイケル・ノボクラッツです。今回は10位。現在は53歳。もともとはNCAA(全米大学体育協会)のレスリング部門でチャンピオンになるなどゴリゴリのスポーツマン。その後ヘリコプターの運転手など異色の経歴を歩みますが、1992年に東京にあるゴールドマンサックスの支部でセールスマンの職を得て、金融の世界に足を踏み入れます。
それ以降は着々と歩みを進め、仮想通貨の事業に参入する前はアメリカ大手投資会社Fortress Investment Groupに所属、ファンドマネージャーとして辣腕をふるいました。文字通り、ウォール街の金融屋です。
今回ご紹介する他の億万長者達が、技術職上がりであったり、仮想通貨やその基盤となっている、blockchain技術に価値を見出したり、仮想通貨技術が作り出す新たな世界にロマンをはせているタイプの方たちなのですが、彼は違います。仮想通貨に金銭的な成功を見てこの事業に参入してきたのです。
現在は仮想通貨関連の投資会社であるギャラクシーデジタルを設立積極的に投資活動を行っています。現在の仮想通貨の動きを「史上最大のバブルになる」と豪語している彼の動きにも注目です。
ブライアン・アームストロング(コインベースCEO)、9〜10億ドル
ブライアン・アームストロングは現在35歳。アメリカサンフランシスコに拠点を置く、仮想通貨取引所GDAXを運営するcoinbase(コインベース)の共同設立者にしてceoです。もともとは世界最大級の民泊サービスであるAirbnbの旗揚げ時にプログラマーとして参加。2010年にサトシナカモトのブロックチェーン技術に関する論文に感銘を受け、技術を学び2012年に晴れて、coinbaseを立ち上げます。
もともとは、coinbaseで独自に取引所を運営していたのですが、業績の急激な拡大に技術的、人員的な問題で対応できなくなり、取引所部門を別会社として独立。それがGDAXになります。
現在はアメリカ最大手の取引所となっており、ニューヨーク証券取引所や三菱東京UFJ銀行からも出資を受けるなど、事業を急速に拡大させています。利用者数は現在1,300万人。Binanceと同じように日本の大手取引所とは比較にならない大きさです。
現在は企業価値16億ドルをほこり、仮想通貨の業界では初めて企業の価値が10億ドル(約1,250億円)を超えながらも、上場していないユニコーン企業にもなりました。躍進が続いていますが、その一方で昨年からは急速な苦情の増加、アメリカの国税庁IRSと法廷闘争をすることになるなど、なにかと話題には事欠きません。仮想通貨の動向を見守るうえで、注意しておくべき人物の一人でしょう。
ウィンクルボス兄弟(Winklevoss Capital共同創業者)、9〜11億ドル(各自)
最後にご紹介するのがウィンクルボス兄弟です。タイラー・ウィンクルボス、キャメロン・ウィンクルボスの双子の兄弟、彼らは現在winklevossCapitalという、ベンチャーキャピタルを運営し、投資家として活動しています。彼らが主に投資しているのが、ビットコインです。
その総資産額は現在9~11億ドル(約1,250)といわれ、世界最大のビットコイン保持者として知られています。彼らが何よりも有名なのが、Facebook創業者であるマーク・ザッカーバーグとの間で起こした、ソーシャルネットワークのアイデアをめぐる訴訟。彼らザッカーバーグが自らのアイデアを盗み利益を得た、といった内容で彼を提訴。数年に及ぶ法廷闘争になりました。
もともとフェイスブックのアイデアは映画「ソーシャルネットワーク」で描かれたように、ウィンクルボス兄弟と彼らの友人でありのちのビジネスパートナーであるディヴィヤ・ナレンドラがその大本を発案。当時からその腕で名が知れていた、凄腕のプログラマーであったハーバード大学のマーク・ザッカーバーグに実現化を頼んだところできたものです。
その後の流れに関しては真実は神のみぞ知るということですが、訴訟はウィンクルボス兄弟へ約73億相当の賠償金と株式が支払われることで、和解となりました。ウィンクルボス兄弟はその時の資産を元手に、ビットコイン投資を始めたのです。彼らの初期投資は約12億円でした。ビットコインを保持し続けた彼らの資産は膨れ上がり、現在は約1200億円にまで膨れ上がったというわけなのです。
フェイスブックの急激な成長によって差を開けられたウィンクルボス兄弟とザッカーバーグの戦い。現在ザッカーバーグは約9兆円の資産を持っているといわれているので、その差はまだまだ大きいですが彼らとの闘争にも注目です。