仮想通貨「NEM(ネム)」約580憶円が、2017年1月26日に不正アクセスにより流出する事件が起こった。3月12日、仮想通貨交換業者のコインチェックは、仮想通貨「NEM(ネム)」の流出した顧客への補償を同日中に開始した。対象者は約26万人で、合計金額は約466億円。停止していた仮想通貨の引き出しや売却などの取引も一部で再開予定。
仮想通貨「NEM(ネム)」の補償開始
仮想通貨交換業者のコインチェックは、仮想通貨「NEM(ネム)」の補償を12日に開始した。補償は日本円で実施され、顧客が保有しているコインチェックの口座に振り込まれた。資金を口座から引き出すためには、申請が別に必要だ。
12日より、仮想通貨ビッグコインやインサリアムなど6種類を引き出せるようになり、仮想通貨イーサリアムやリップルなど5種類の売却も受け付けた。外部の専門家の技術面や、安全性等の確認が完了したための再開だ。インターネットから切り離し、顧客の資産を管理する仕組みを導入して、安全性を高めた。
預け入れや購入の再開は見送り、計13種類の仮想通貨を同社は取り扱うが、NEM(ネム)などの他の仮想通貨に関しては、引き出しや売却のサービスの再開時期は今だ未定。コインチェックはNEM(ネム)の流出事件後、ビックコインの売買以外の仮想通貨の取引を停止していた。
3月8日の記者会見の内容
1月26日、約580億円分のNEM(ネム)が不正アクセスにより流出。それを受け、金融庁は3月8日に、仮想通貨交換業社コインチェック(東京)に対し、2度目の業務命令を発令して、同日の午後、同社の和田晃一良社長と取締役が共に記者会見を行った。
記者会見では、コインチェックの業務再開の目処の報告、今週予定の補償、NEM(ネム)流出の原因の説明、サービスの再開、金融庁登録に向けての最善の努力などが語られていた。
政府はG20で、仮想通貨の資金洗浄対策を監視強化へ
政府は、19、20日にブエノスアイレス(アルゼンチン)で20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議を開催する。その際、各国は、仮想通貨取引のマネーロンダリング(資金洗浄)対策を体制強化する方針を3月13日に発表した。
資金洗浄対策など国際協力を進める政府間会合、FATF(金融活動作業部会)では、仮想通貨の新しい資金洗浄対策について、G20で報告する予定。日本は、既にFATFの向かうべき方向の指針を示し、2017円4月には仮想通貨交換業の登録制を導入した。交換業者は取引時に本人確認や疑わしい取引の届け出などが義務づけられている。日本はこのような制度が整っている。しかし、世界を見渡すとこのような国はほんの一部だ。
日本の当局内は、国により資金洗浄対策の規制などの体制整備にばらつきがあり、資金洗浄やテロ資金許与などに悪く使われる可能性があると度々指摘してきた。この1月末に起きた国内大手仮想通貨取引所コインチェックの不正アクセス被害などをみても、利用者の保護においては各国の連携は今だとれていない。
今回のG20の会合では、仮想通貨に関する具体的な規制強化で合意し、断固とした対応をとる動きがあると予想される。しかし、仮想通貨は利用者が匿名の場合が多く、犯罪資金の調達などに悪用される。世界で統一した規制が必要であると指摘する声が多く、今後規制に対し、本格化していく可能性が高い。
国際通貨基金(IMF)、G20で仮想通貨規制を推し進める予定
国際通貨基金(IMF)の専務理事・ラガルドは、仮想通貨のようなディジタル通貨をより安全にするステップに踏み切る。IMFは、仮想通貨の世界的な不正な利用を取り締まる規制をまとめ、中心の役割を今後担うことが可能であると3月14日に明かした。
理事・ラガルドはブログで、ディジタルキャッシュの「邪悪の側面」、潜在的にテロリズムの資金調達の源となる可能性、資金洗浄に関する警告や、脅威に対処する措置が必要であると訴えている。
対応の手段は、政策、消費者保護に焦点を揚げ、分散型レジャー・テクノロジーの活用。軽量生物学、人工知能を導入し、速やかに疑わしい取引を特定、消費者保護のため各国で同じ医ルールを導入。
ドイツとフランスは既に、G20で規制案を共同で提案すると発表済み。ルール策定が追いついていない仮想通貨が主な課題となる予定。資金洗浄のほか、投資家保護の観点からも声明で懸念を表明する。