りそな銀行は日本のメガバンクでもあり2017年12月にはリップル社の技術を使用した国際送金の実験にも参加しています。XRPを使用しているわけではありませんが、リップルネットワークの「xCurrent」と呼ばれるシステムを使いコスト削減を目指しています。そんなりそな銀行がスマートコントラクトを使った無担保ローンの実証実験をスタートさせました。
ブロックチェーン処理をりそな銀行が実証実験
2018年3月5日の日本経済新聞(デジタル版)にて、りそな銀行はIT企業のデジタルガレージ、弁護士ドットコムと組み、個人向け無担保ローン業務の書類をブロックチェーン上で自動で処理する実証実験を始めた、とニュースになりました。
ブロックチェーンに契約内容を書き込んでおき、自動で契約が執行される「スマートコントラクト」の技術を導入し、業務の効率化を高めることでコスト削減を目指しています。何故、銀行で導入が可能かというと、スマートコイントラクトは契約が自動的に執行されるだけではなく、ブロックチェーンの改ざんされない仕組みを利用し、仲介する第三者機関に証明を取る作業を省くことが可能です。不動産などの登記や、行政、医療にも使うことが可能とされています。
●無担保ローン
担保なしで借りられるローンのことです。「審査と融資までのスピードが早く、最短即日融資も可能」なので顧客側にはメリットがありますが、金融企業側はリスクが高くなるので、返済能力などの審査は慎重に行われ、また担保ローンに比べて金利は高くなっています。
デジタルガレージが仮想通貨事業に着手していた
2017年10月10日の日本経済新聞(デジタル版)にて、デジタルガレージは独自の仮想通貨やポイントを発行するためのシステムを開発したと発表したとニュースになりました。株式会社デジタルガレージはネットビジネス支援やネット広告、投資事業を展開している企業です。ビットコインに使われる分散台帳技術「ブロックチェーン」を活用し、仮想通貨などの仕組みを短期間で立ち上げられるようにし、自治体や企業などに提供するとしています。この時、アイリッジと飛騨信用組合が取り組んだ地域通貨「さるぼぼコイン」の実証実験が行われ、半月でシステムを開発できたそうです。
このようにデジタルガレージはすでにブロックチェーンを活用したシステムを企業向けに開発していました。今回のりそな銀行との実証実験はブロックチェーンを活用した国内初の開発事例となるようです。この実験が成功すれば、契約の条件確認や履行を自動的に実行させ、業務効率におけるコストは1/10程度まで削減できる予定です。
ブロックチェーンを導入することでのコスト削減
特にスマートコイントラクトは企業間での契約内容をブロックチェーン上に予め書き込んでおくことで、業務開始〜報酬支払いまでの過程を自動的に執行できるシステムです。これにより、業務内容を簡略化することができ、コストダウンが期待できると注目が集まっていました。
りそな銀行などの大手メガバンクは、特に人手のかかる審査過程で、延滞や条件変更の際に必要な、複数の部署にまたがった情報のやり取りをブロックチェーン上で処理することで、人件費と多大な時間の削減を目指しています。特に金融企業は、審査や契約実行、その後の管理など各家庭で、部署や担当者の承認を介する業務が多くあります。またその度に書類た増えたりすることで紛失の恐れもあります。
そういった手間やリスク、経費などをネット上のブロックチェーンなら削減が可能になります。りそな銀行はこの「ローン常務での実証実験」が成功した場合、法務面の不動産登記、市場取引、債権管理などの他の業務にも応用できるかどうかを検討するそうです。
国家の経済管理にも導入されている
バルト三国でもあるエストニアは観光地でも有名ですがIT先進国でもあります。納税システムや登記、人口約8割の医療記録や株式会社での議決権行使などにブロックチェーンが導入されています。さらにブロックチェーン・ベースの証券取引所開設も進められています。このようにブロックチェーンを導入することで無駄な作業が減り、効率が良くなることで経済の活性化にも繋がるのだと思われます。
イギリスの病院にブロックチェーン
「メディカルチェーン」という仮想通貨は2018年2月にリリースされました。患者の医療データをブロックチェーンに載せることで、病院やクリニックなどの医療施設、医師や薬剤師などの医療従事者、また患者自身が医療情報にアクセスできる環境を構築したシステムです。メディカルチェーンのサービスは「Discharge Sammary」というツールを使ってスタートされ、すでにイギリス国内の3つの病院で試運転されています。
このツールの目的は、医者と病院間のコミュニケーションを円滑にすることです。例えば、他の病院へ移された患者や、既に健康状態が回復して病院を退院し、今後かかりつけの医師に診察してもらうような患者の場合、次に掛かる病院にこれまでの経緯を説明する必要があります。
そこでメディカルチェーンのアプリを使うことで、効率よく医療記録を確認することができます。全ての患者の医療記録をブロックチェーンで管理することができれば、医療業界内の情報伝達はスムーズになり、コニュニケーション不足での医療ミスもなくなると期待されています。
りそな銀行とブロックチェーンの関係
りそな銀行自体、ブロックチェーンとの関わりはこれが初めてではありません。2016年10月3日、SBIホールディングス傘下の「SBI Ripple Asia」が事務局を務める「国内外為替の一元化検討に関するコンソーシアム」の発足メンバーとしてりそな銀行は参加しています。またりそな銀行だけでなく、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行などのメガバンクが「内外為替一元化コンソーシアム」を発足し、リップル社が開発したプラットフォーム「Ripple Solution」を活用して、外国為替に加えて国内為替も一元的に行う決済プラットフォーム「RCクラウド」を構築しました。
2018年3月に、内外為替一元化コンソーシアムに置けるスマホ向け送金アプリ「マネータップ」というツールが商用化を予定しています。一般公開は夏以降になる予定です。
現時点でのSBI Ripple Asiaによる「内外為替一元化コンソーシアム」のRCクラウドで構築されているのは、「xCurrent」と呼ばれるシステムで、国際送金コストは30%削減可能とされていますが、XRPは使われていません。最終的にはXRPの活用も検討しており、法定通貨を一度仮想通貨(XRP)に変えてから送金することで、送金コストを60%削減できるとされています。
日本の銀行が変化していく
今回の実証実験ではビットコインをベースをするブロックチェーン技術を採用しているとのことです。将来的に銀行内の様々な業務がブロックチェーンで効率化することで結果的に、顧客が支払う手数料が安くなればと思います。また将来的にXRPを利用するユーザーの期待からXRPの価格が上昇する可能性もあるでしょう。